コンフィグレーションガイド

[目次][用語][索引][前へ][次へ]

15.1.3　ギャランティ型イーサネットワーク

＜この項の構成＞
(1)　設定内容の概要
(2)　構成図と設定条件
(3)　コンフィグレーション例

(1)　設定内容の概要

階層化シェーパ機能を使用してユーザごとに帯域を確保しつつ，音声や映像等の遅延に敏感なトラフィックを優先的に中継するギャランティ型ネットワークの構成例を示します。

本構成では広域イーサネット網とユーザの拠点間は，Tag-VLANで接続されています。データセンタからユーザへのトラフィックは最大10Gbit/sから8Mbit/sへ帯域が狭くなるため，輻輳が発生しやすくなります。そこで本装置のユーザ側の出力回線においてQoS制御を適用して，ユーザごとに帯域を確保しつつ重要なパケットが廃棄されないようにします。本装置はユーザごとに木目細かく帯域制御できるため，エッジでの利用に適しています。

広域イーサネット網内は，TOSフィールドの上位3ビットであるプレシデンス値に基づき，優先制御を行うネットワークを想定しています。データセンタおよびユーザ拠点にあるルータが，アプリケーション種別に応じてプレシデンス値を付与します。

(2)　構成図と設定条件

［構成図］

図15-3　構成図

[図データ]

［設定条件］
  1. ユーザ拠点から広域イーサネット網へのトラフィックを上りのトラフィックと呼び，逆に広域イーサネット網からユーザ拠点へのトラフィックを下りのトラフィックと呼びます。本構成では，下りのトラフィックは10Gbit/sから1Gbit/sへ回線帯域が狭くなるため，輻輳が発生しやすくなります。そこで本装置の出力回線においてQoS制御を適用して，重要なパケットが廃棄されないようにします。
  2. 階層化シェーパ機能を備えるNIFを本装置に装備します。
  3. 本装置とユーザ間の通信経路はスタティックとします。
  4. 広域イーサネット網と各ユーザ間は固定帯域8Mbit/sの契約とします。
  5. 上りのトラフィックは，帯域監視機能を使用して8Mbit/sで監視します。契約帯域を超えたトラフィックは，廃棄します。
  6. 下りのトラフィックは，階層化シェーパ機能を使用してユーザごとに8Mbit/sまで送信できるように帯域制御を行います。同時に各ユーザ内でプレシデンス値に応じて優先制御および帯域制御を行います。
  7. 本例ではスケジューリングとして，2LLQ+2WFQを使用します。VoIPは遅延に敏感であるため，PQのキューへキューイングします。映像は遅延に敏感，かつ余剰があれば帯域を使用できるように，VLLQのキューへキューイングします。VoIPおよび映像以外はデータ系のアプリケーションであるため，WFQのキューへキューイングします。
  8. プレシデンス値は，データセンタおよびユーザ拠点にあるルータによって，アプリケーション種別ごとに付与されることとします。本例では，次の表に示すようにアプリケーション種別とプレシデンス値を対応付けます。また，本装置は，次の表に示すようにプレシデンス値に基づき帯域制御を行います。
    アプリケーション種別 プレシデンス値 キュー番号 帯域または重み
    VoIP 6 4
    （PQ）    		 -
    映像 5 3
    （VLLQ）    		 90%
    WWWデータ他 0
    （デフォルト）    		 2 9%
    レイヤ2パケット - 1 1%

(3)　コンフィグレーション例

［コマンドによる設定］
 1    (config)# flow qos Nagoya1001 in
      [flow qos Nagoya1001 in]
 2    (config)# list 20000 mac any any action max_rate 8M
      …
      [flow qos Nagoya1100 in]
 3    (config)# exit
 4    (config)# flow qos Nagoya1001 out
      [flow qos Nagoya1001 out]
 5    (config)# list 110 ip any any precedence 6 action aggregated_queue 1
                priority 4
      [flow qos Nagoya1001 out]
 6    (config)# list 120 ip any any precedence 5 action aggregated_queue 1
                priority 3
      [flow qos Nagoya1001 out]
 7    (config)# list 130 ip any any action aggregated_queue 1 priority 2
      [flow qos Nagoya1001 out]
 8    (config)# list 199 mac any any action aggregated_queue 1 priority 1
      [flow qos Nagoya1001 out]
 9    (config)# exit 
10    (config)# flow qos Nagoya1002 out 
      [flow qos Nagoya1002 out]
11    (config)# list 210 ip any any precedence 6 action aggregated_queue 2
                priority 4
      [flow qos Nagoya1002 out]
12    (config)# list 220 ip any any precedence 5 action aggregated_queue 2
                priority 3
      [flow qos Nagoya1002 out]
13    (config)# list 230 ip any any action aggregated_queue 2 priority 2
      [flow qos Nagoya1002 out]
14    (config)# list 299 mac any any action aggregated_queue 2 priority 1
      [flow qos Nagoya1002 out]
      …
15    (config)# exit
16    (config)# flow yes
17    (config)# shaper port 0/1-3 default peak_rate 2M min_rate 500
18    (config)# shaper rate_limited_queueing
      [shaper rate_limited_queueing]
19    (config)# 0/1-3 1-100 peak_rate 8M 2llq+2wfq 1% 9% 90% priority_queue
      [shaper rate_limited_queueing]
20    (config)# exit

表15-8　本装置のコンフィグレーション解説

解説番号 解説
1 Tag-VLAN連携回線名Nagoya，VLAN ID1001のinbound（受信側）にQoSフロー情報を設定します。
flow qos inモードに移行します。
2 VLAN ID1001〜1100のTag-VLANごとに受信パケットを最大帯域8Mbit/sで監視します。本帯域を超えたパケットは廃棄します。
3 flow qos inモードからグローバルコンフィグモードに戻ります。
4 Tag-VLAN連携回線名Nagoya1001のoutbound（送信側）にQoSフロー情報を設定します。
flow qos outモードに移行します。
5 プレシデンス値が6であるパケットをアグリゲートキュー1のキュー4へキューイングします。
6 プレシデンス値が5であるパケットをアグリゲートキュー1のキュー3へキューイングします。
7 解説番号5，6以外のIPパケット（IP以外のパケットは除く）をアグリゲートキュー1のキュー2へキューイングします。
8 解説番号5〜7以外のパケットをアグリゲートキュー1のキュー1へキューイングします。
9 flow qos outモードからグローバルコンフィグモードに戻ります。
10 Tag-VLAN連携回線名Nagoya1002のoutbound（送信側）にQoSフロー情報を設定します。
flow qos outモードに移行します。
11 プレシデンス値が6であるパケットをアグリゲートキュー2のキュー4へキューイングします。
12 プレシデンス値が5であるパケットをアグリゲートキュー2のキュー3へキューイングします。
13 解説番号11，12以外のIPパケットをアグリゲートキュー2のキュー2へキューイングします。
14 解説番号11〜13以外のパケットをアグリゲートキュー2のキュー1へキューイングします。
15 flow qos outモードからグローバルコンフィグモードに戻ります。
16 フロー制御機能を使用する設定にします。
17 NIF番号0，Line番号1〜3におけるデフォルトのアグリゲートキューへ最大帯域2Mbit/s，最低帯域500kbit/sを割り当てます。
18 shaper rate_limited_queueingモードへ移行します。
19，20 NIF番号0，Line番号1〜3におけるアグリゲートキュー1〜100に最大帯域8Mbit/sを割り当て，2LLQ+2WFQを使用してキュー1からキュー3の重みを1％，9％，90％とします。キュー4は完全優先キューです。

［コンフィグレーションの表示］
flow yes
flow qos Nagoya1001 out
  list 110 ip any any precedence 6 action aggregated_queue 1 priority 4
  list 120 ip any any precedence 5 action aggregated_queue 1 priority 3
  list 130 ip any any action aggregated_queue 1 priority 2
  list 199 mac any any action aggregated_queue 1 priority 1
flow qos Nagoya1002 out
  list 210 ip any any precedence 6 action aggregated_queue 2 priority 4
  list 220 ip any any precedence 5 action aggregated_queue 2 priority 3
  list 230 ip any any action aggregated_queue 2 priority 2
  list 299 mac any any action aggregated_queue 2 priority 1
…
flow Nagoya1001 0/1 in
  list 20000 mac any any action max_rate 8M
…
!
shaper port 0/1 default peak_rate 2M min_rate 500
shaper port 0/2 default peak_rate 2M min_rate 500
shaper port 0/3 default peak_rate 2M min_rate 500
shaper rate_limited_queueing
  0/1 1-100 peak_rate 8M 2llq+2wfq 1% 9% 90% priority_queue
  0/2 1-100 peak_rate 8M 2llq+2wfq 1% 9% 90% priority_queue
  0/3 1-100 peak_rate 8M 2llq+2wfq 1% 9% 90% priority_queue

[目次][前へ][次へ]

[他社商品名称に関する表示]

Copyright (c)2005, 2011, ALAXALA Networks Corporation. All rights reserved.