解説書 Vol.2
レガシーシェーパは次の図に示すとおり,物理回線の帯域をシェーピングするポート帯域制御と,どのキューにあるパケットを次に送信するかを決めるスケジューリングから構成されます。レガシーシェーパ(ディストリビューションスケジューリング未使用)の概念,レガシーシェーパ(ディストリビューションスケジューリング使用)の概念を次の図に示します。ディストリビューションスケジューリングの詳細については,「(3) ディストリビューションスケジューリング」を参照してください。
図1-19 レガシーシェーパ(ディストリビューションスケジューリング未使用)の概念
図1-20 レガシーシェーパ(ディストリビューションスケジューリング使用)の概念
- <この項の構成>
- (1) ポート帯域制御
- (2) スケジューリング
- (3) ディストリビューションスケジューリング
ポート帯域制御は,スケジューリングを実施した後に,回線全体の送信帯域を回線速度以下にシェーピングする機能です。この制御を使用して広域イーサネットサービスへ接続できます。例えば,回線帯域が1Gbit/sでISPとの契約帯域が500Mbit/sの場合,ポート帯域制御機能を使用してあらかじめ帯域を500Mbit/s以下に抑えてパケットを送信できます。物理帯域と契約帯域の差による輻輳を回避できます。
回線種別に対するポート帯域制御の帯域範囲と設定単位を次の表に示します。この仕様は回線種別によって異なります。設定可能なNIF種別については,「1.9 NIF種別とQoS制御機能との対応」を参照してください。
表1-25 回線種別に対するポート帯域制御の帯域範囲と設定単位
回線種別 帯域の範囲 設定単位 10GBASE-R
10GBASE-W
OC-192C/STM-64 POS10M〜10Gbit/s 1Mbit/s 1000BASE-X
1000BASE-T1M〜1Gbit/s 100BASE-TX(全二重) 500k〜100Mbit/s 100kbit/s 10BASE-T(全二重) 500k〜10Mbit/s OC-48c/STM-16 POS 10M〜2400Mbit/s 1Mbit/s
スケジューリングには,3種類の方式があります。スケジューリングの動作仕様を次の表に示します。
スケジューリング種別 概念図 動作説明 適用例 完全優先 ![]()
ポート当たり8キュー。複数のキューにパケットが存在する場合,優先度の高いキューから常にパケットを送信します。完全優先制御がスケジューリングのデフォルトです。 トラフィックの優先順を完全に遵守する場合 ラウンドロビン ![]()
ポート当たり8キュー。複数のキューにパケットが存在する場合,順番にキューを参照し,パケットを送信します。パケット長に関わらず,パケット数が均等になるように制御します。 データ系トラフィックだけの場合 LLQ+3WFQ ![]()
最優先キュー付き,重み付き均等保証。ポート当たり4キュー。最優先キューがキュー4(左図Q#4)と,重み付き帯域均等キューが三つ(左図Q#1,Q#2,Q#3)。
Q#4にパケットが存在する場合,最優先でパケットを送信します。
Q#4が使用していない残りの帯域を設定したx:y:zの比に応じてQ#1,Q#2,Q#3からパケットを送信します。LLQに音声,WFQにデータ系トラフィック スケジューリングの仕様を次の表に示します。
表1-27 スケジューリングの仕様
項目 仕様 内容 キュー数 完全優先
ラウンドロビン8 − LLQ+3WFQ 4 使用可能なNIF種別については,「1.9 NIF種別とQoS制御機能との対応」を参照してください。 キュー長 非公開(固定値) キュー数を変更することで,キュー長を拡張できます。
使用可能なNIF種別については,「1.9 NIF種別とQoS制御機能との対応」を参照してください。シェーピング対象のフレーム長 イーサネット 84〜1538バイト フレーム間ギャップ,プリアンブル,FCSを含みます。 84〜9616バイト フレーム間ギャップ,プリアンブル,FCSを含みます。Jumboフレーム設定時。 POS 12〜9222バイト 開始/終了フラグ,FCSを含みます。 LLQ+3WFQ キュー1〜3の重み 1〜100% 1%単位で指定。キュー1〜3の重みx,y,zについて次の条件を満たすように設定してください。
x+y+z≦100(凡例) −:該当しない
ディストリビューション送信キューを搭載するNIF種別を次の表に示します。
表1-28 ディストリビューション送信キューを搭載するNIF種別
項番 対象NIFの略称 1 NE1G-48T 2 NE1GSHP-4S 3 NE1GSHP-8S ディストリビューションスケジューリングは,スケジューリング動作を完全優先固定で動作します。スケジューリング動作を変更することはできません。
廃棄制御はテールドロップで動作します。詳細については,「1.7.1 テールドロップ」を参照してください。
ディストリビューション送信キューにキューイングされたパケットは,優先度の高いキューから送信キューへキューイングされます。このため,ディストリビューション送信キューのキューに滞留が発生すると,送信キューのスケジューリング動作でラウンドロビンを選択していても完全優先の優先順で送信されます。
階層化シェーパNIFにおいても,4WFQの重みを均等に設定した場合は同様の動作となります。
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