コンフィグレーションガイド Vol.3
次の契機で,OSPFv3のリスタート機能が動作します。
- 装置が系切替したとき。
- ユニキャストルーティングプログラムが再起動したとき。
- <この項の構成>
- (1) GraceLSA
- (2) グレースフル・リスタートの手順
- (3) グレースフル・リスタートが失敗するケース
- (4) 注意事項
(1) GraceLSA
本装置は,グレースフル・リスタートの開始や終了を通知するために,Type11のGraceLSAを広告します。このLSAフォーマットは,draft-ietf-ospf-ospfv3-graceful-restartに準拠しています。
(2) グレースフル・リスタートの手順
OSPFv3のグレースフル・リスタート手順を次の図および表に示します。
図28-5 OSPFv3グレースフル・リスタート手順
表28-4 OSPFv3グレースフル・リスタート手順
項番 項目 契機 処理内容 1 グレースフル・リスタートの開始 装置が系切替したとき。 グレースフル・リスタートを開始します。通常の接続手順と同様に,各インタフェースでOSPFv3情報のパケット交換を行います。 ユニキャストルーティングプログラムが再起動したとき。 2 経路計算 ドメイン内の全OSPFv3インタフェースについて再接続完了し,隣接ルータからすべてのLSAを学習したとき。 ドメインごとに経路計算を行い,ルーティングテーブルを更新します。複数のドメインが存在する場合,経路計算は接続の終わったドメインから随時行います。経路計算が全ドメインで終了したとき,OSPFv3の経路学習が完了します。 1インタフェースでもグレースフル・リスタートに失敗したとき。 その時点での同一ドメイン内の各インタフェースの接続状態に基づいて,経路計算を行います。 3 広告開始 OSPFv3の経路学習が完了し,かつほかのルーティングプロトコルの経路学習が完了したとき。 AS外経路の広告を開始します。広告完了後,通常のOSPFv3動作に戻ります。 OSPFv3のグレースフル・リスタートに失敗したとき。
(3) グレースフル・リスタートが失敗するケース
OSPFv3のグレースフル・リスタートが失敗するケースを次に示します。
- グレースフル・リスタートの開始をヘルパールータへ通知してからリスタート時間(OSPFv3のコンフィグレーションコマンドgraceful-restart restart-timeの指定値)が経過してもLSA学習を完了できなかった場合。
- 再接続を行っているインタフェースがダウンした場合。
- OSPFv3ドメイン上でLSAが変更された場合。
- OSPFv3ドメイン上の別のルータがグレースフル・リスタートした場合。
- グレースフル・リスタートを開始してから経路保持時間(コンフィグレーションコマンドrouting options graceful-restart time-limitの指定値)が経過しても全プロトコルの経路学習が完了しなかった場合。
- コンフィグレーションコマンドのgraceful-restart modeを変更し,リスタートルータ機能を削除した場合。
(4) 注意事項
- リスタートルータとして,グレースフル・リスタートを開始しても,一部のヘルパールータがヘルパー動作を開始しない場合や,途中で止めた場合,同一ドメイン内の全インタフェースでグレースフル・リスタートを止めます。
- OSPFv3のリスタート時間を,系切替所要時間+LSA学習時間を超えるように設定してください。これは,OSPFv3がLSAを学習するためには,系切替が完了してIPインタフェースのUp/Downが確認できるようになっている必要があるためです。グレースフル・リスタート開始後,リスタート時間が経過した時点でLSAの学習が終わってない場合,OSPFv3のグレースフル・リスタートに失敗します。
- 本装置の系切替時ルーティングエントリ保持時間を,OSPFv3のリスタート時間よりも長く設定してください。OSPFv3のリスタート時間よりもルーティングエントリ保持時間のほうが短い場合,経路学習前に系切替前ルーティングエントリが削除されることがあります。
- BGP4+の内部ピアがグレースフル・リスタートを使用している場合,内部ピアのリスタート時間をOSPFv3のリスタート時間よりも長く設定してください。
内部ピアのリスタート時間のほうが短い場合,OSPFv3が経路学習を完了する前に内部ピアを接続することができず,内部ピアのグレースフル・リスタートに失敗することがあります。
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