コンフィグレーションガイド Vol.3

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14.6.1 IPv4マルチキャスト中継

本装置でマルチキャストパケットを中継する場合には次の点に注意してください。

<この項の構成>
(1) プロトコル共通
(2) PIM-SMの使用
(3) PIM-DMの使用

(1) プロトコル共通

(a) 動作インタフェース

IPアドレスのマスク長が8ビットから30ビットのインタフェース上で動作します。

(b) マルチホーム

マルチホームを使用したインタフェースではIPv4マルチキャストは動作しません。

(c) プロトコルの混在

本装置は,PIM-SMとPIM-DMが混在するシステム構成をサポートしていません。そのため,ネットワーク内の全装置で同じマルチキャストプロトコル(PIM-SMまたはPIM-DM)を使用してください。ただし,PIM-SSMはPIM-SMの拡張機能なので,PIM-SMとPIM-SSMは混在できます。

(d) 二重化装置での系切替に伴う中継断

本装置では,二重化装置による運用で系切替する場合,マルチキャスト経路情報を再学習するまでマルチキャスト通信が停止するので注意してください。

(e) ルーティングプログラムの再起動に伴う中継断

運用コマンドrestart ipv4-multicastを実行してIPマルチキャストルーティングプログラムを再起動する場合は,マルチキャスト経路情報を再学習するまでマルチキャスト通信が停止するので注意してください。

(f) ハードウェア中継切り替え時のパケット追い越し

本装置ではハードウェアへのマルチキャスト中継エントリの設定が完了すると,それまでのソフトウェアによるマルチキャストパケットの中継処理がハードウェア中継へと切り替わります。このときに一部のパケットで追い越しが発生し,パケットの順序が入れ替わる場合があります。

(2) PIM-SMの使用

PIM-SMを使用する場合は次の点に注意してください。なお,この注意事項はPIM-SSMには該当しません。

(a) ソフトウェア中継処理時のパケットロス

本装置は,最初のマルチキャストパケット受信でマルチキャスト通信を行うためのマルチキャスト中継エントリをハードウェアに設定します。マルチキャスト中継エントリを作成するまでの間ソフトウェアでマルチキャストパケットを中継するため,マルチキャスト通信のトラフィック量によっては一時的にパケットをロスする場合があります。

(b) パス切り替え時の二重中継またはパケットロス

本装置は,ランデブーポイント経由でのマルチキャストパケット中継時およびランデブーポイント経由から最短パス経由への切り替え時,一時的に二重中継またはパケットロスが発生する場合があります。

ランデブーポイント経由のマルチキャストパケットの中継動作およびランデブーポイント経由から最短パス経由切り替え動作は「14.4.2 IPv4 PIM-SM」を参照してください。

(c) ループバックインタフェースに設定したアドレスへの到達可能性

本装置をランデブーポイントおよびブートストラップルータとして使用する場合,ループバックインタフェースに設定したIPv4アドレスがランデブーポイントとブートストラップルータのアドレスになります。このアドレスは,マルチキャスト通信する全装置でユニキャストでのルート認識および通信ができる必要があります。

(d) PIM-Registerメッセージのチェックサム

本装置以外の装置と混在するシステム構成では,PIM-Registerメッセージ(カプセル化パケット)のチェックサムの計算範囲の相違によってマルチキャスト通信ができない場合があります。ランデブーポイントでPIM-Registerメッセージがチェックサムエラーによってマルチキャスト中継しない場合は,本装置のコンフィグレーションコマンドのip pim register-checksumでPIMチェックサムを計算する範囲を変更してください。

(e) 静的ランデブーポイント

静的ランデブーポイントは,BSRを使用しないでランデブーポイントを指定する機能です。静的ランデブーポイントはコンフィグレーションによって設定します。

静的ランデブーポイントはBSRからPIM-Bootstrapメッセージによって広告されたランデブーポイント候補との共存もできます。共存時,静的ランデブーポイントはBSRからPIM-Bootstrapメッセージによって広告されたランデブーポイント候補よりも優先されます。

なお,ランデブーポイント候補のルータは,ランデブーポイントルータアドレスが自アドレスであることを認識することでランデブーポイントとして動作します。したがって,BSRを使用しないで静的ランデブーポイントを使ってネットワークを設計する場合は,ランデブーポイント候補のルータでも静的ランデブーポイントの設定が必要です。

また,静的ランデブーポイントを使用する場合,同一ネットワーク上の全ルータに対して同じ設定をする必要があります。

(f) 系切替時の通信無停止対応機能使用時の注意事項

系切替時の通信無停止対応機能使用時(コンフィグレーションコマンドip pim nonstop-forwardingの設定時)の注意事項を次に示します。

(g) 系切替時の通信無停止対応機能でのIPv4マルチキャスト中継エントリ再学習時の注意事項

系切替時の通信無停止対応機能を使用している場合に,IPv4マルチキャスト中継エントリを再学習するときの注意事項を次に示します。なお,各注意事項はIPv4マルチキャスト中継エントリの再学習時間終了後(系切替から450秒後)に解消されます。

(3) PIM-DMの使用

PIM-DMを使用する場合は次の点に注意してください。

(a) ソフトウェア中継処理時のパケットロス

本装置は,最初のマルチキャストパケット受信でマルチキャスト通信を行うためのマルチキャスト中継エントリをハードウェアに設定します。マルチキャスト中継エントリを作成するまでの間ソフトウェアでマルチキャストパケットを中継するため,マルチキャスト通信のトラフィック量によっては一時的にパケットをロスする場合があります。

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