コンフィグレーションガイド Vol.3

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14.3 IPv4マルチキャスト中継機能

マルチキャストパケットの中継処理はマルチキャスト中継エントリに従ってハードウェアおよびソフトウェアで行います。一度中継したマルチキャストパケットの中継情報はハードウェアのマルチキャスト中継エントリに登録されます。マルチキャスト中継エントリに登録されたパケットはハードウェアで中継を行い,登録されていないパケットはソフトウェアのマルチキャスト経路情報から生成したマルチキャスト中継エントリに従って中継を行います。

<この節の構成>
(1) ハードウェアによるマルチキャストパケット中継処理
(2) ソフトウェアによるマルチキャストパケット中継処理
(3) マルチキャスト経路情報またはマルチキャスト中継エントリの検索
(4) ネガティブキャッシュ
(5) 系切替時の通信無停止対応機能
(6) VRF機能【OP-NPAR】

(1) ハードウェアによるマルチキャストパケット中継処理

ハードウェアで行うマルチキャストパケット中継処理には次の機能があります。

(2) ソフトウェアによるマルチキャストパケット中継処理

(3) マルチキャスト経路情報またはマルチキャスト中継エントリの検索

受信したマルチキャストパケットのDA(宛先グループアドレス)とSA(送信元アドレス)に該当するエントリをマルチキャスト経路情報またはマルチキャスト中継エントリから検索します。マルチキャスト経路情報またはマルチキャスト中継エントリの検索方法を次の図に示します。

図14-6 マルチキャスト経路情報またはマルチキャスト中継エントリの検索方法

[図データ]

(4) ネガティブキャッシュ

PIM-SM/PIM-SSMでは,中継できないマルチキャストパケットをハードウェアによって廃棄するためにネガティブキャッシュを作成します。

ネガティブキャッシュは中継先インタフェースの存在しない中継エントリです。ネガティブキャッシュは,中継できないマルチキャストパケットを受信すると,ハードウェアに登録します。その後,登録したマルチキャストパケットと同じアドレスのマルチキャストパケットを受信すると,そのパケットをハードウェアによって廃棄します。これによって,大量の中継できないマルチキャストパケットを受信しても,それを原因とする負荷上昇を抑えられます。

(5) 系切替時の通信無停止対応機能

IPv4 PIM-SMは冗長構成運用による系切替時に,マルチキャスト中継を無停止で継続できる通信無停止対応機能をサポートしています。

系切替後,450秒間は系切替前のハードウェアエントリでマルチキャスト中継を継続します。この系切替後の450秒を再学習時間として,再学習時間内に学習されなかったエントリは削除されます。再学習時間の開始時と終了時は運用ログを出力します。

本機能は,コンフィグレーションコマンドip pim nonstop-forwardingを設定した場合だけ有効になります。

また,系切替後のIPv4マルチキャスト中継エントリの再学習状況は,次に示す運用コマンドで確認できます。

(6) VRF機能【OP-NPAR】

複数のVRFでIPv4マルチキャストを動作させた場合,IPv4マルチキャスト中継エントリはVRFごとに独立して設定できます。異なるVRFでは,同じIPアドレスのIPv4マルチキャスト中継エントリを作成できます。また,IPv4マルチキャストエクストラネットによって,異なるVRF間でマルチキャスト通信ができます。

なお,VRFではPIM-DMは動作しません。

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