コンフィグレーションガイド Vol.3

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11.1.2 エリア分割した場合の経路制御

エリアボーダルータは,バックボーンを除くすべての所属しているエリアの経路情報を要約した上で,バックボーンに所属するすべてのルータへ通知します。また,バックボーンの経路情報の要約と,バックボーンに流れている要約されたほかのエリアの経路情報を,バックボーン以外の接続しているエリアのルータへ通知します。

あるルータが,あるアドレスについて,要約された経路情報を基に経路を決定した場合,このアドレス宛ての経路は要約された経路情報の通知元であるエリアボーダルータを経由します。そのため,異なるエリア間を結ぶ経路は必ずバックボーンを経由します。

エリアボーダルータでは,あるエリアの経路情報をほかのエリアに広告するに当たってルータやネットワーク間の接続状態と接続のコストによるトポロジ情報を,エリアボーダルータからルータやネットワークへのコストに要約します。これらの要約された情報をエリア間経路情報と呼びます(ネットワークの情報はType3LSAで,AS境界ルータの情報はType4LSAで広告します)。

<この項の構成>
(1) エリアボーダルータでの経路の集約

(1) エリアボーダルータでの経路の集約

経路の集約および抑止とエリア外への要約を次の表に示します。

表11-1 経路の集約および抑止とエリア外への要約

エリア内のネットワークアドレス 集約および抑止の設定 エリア外へ通知する要約
10.0.1.0/24
10.0.2.0/25
10.0.2.128/25
10.0.3.0/24
なし 10.0.1.0/24
10.0.2.0/25
10.0.2.128/25
10.0.3.0/24
10.0.1.0/24
10.0.2.0/25
10.0.2.128/25
10.0.3.0/24
10.0.0.0/23
10.0.2.0/24
10.0.0.0/23
10.0.2.0/24
10.0.3.0/24
10.0.1.0/24
10.0.2.0/25
10.0.2.128/25
10.0.3.0/24
192.168.3.0/26
192.168.3.64/26
192.168.3.128/26
10.0.0.0/8 (抑止)
192.168.3.0/24
192.168.3.0/24

エリアボーダルータでのエリア内のトポロジ情報を要約するに当たり,アドレスの範囲をコンフィグレーションで設定することによって,その範囲に含まれる経路情報を一つに集約できます。アドレスの範囲は,area rangeコマンドで,マスク付のアドレスを設定します。また,広告を抑止するパラメータを指定できます。

コンフィグレーションで設定したマスク付アドレスの範囲に含まれるネットワークが,エリア内一つでもあった場合,範囲に含まれるすべてのネットワークをこのマスク付アドレスを宛先とする経路情報へ集約し,ほかのエリアへ通知します。範囲に含まれる各ネットワークは,このエリアボーダルータからほかのエリアへは通知されません。このとき,集約した経路情報のコストには範囲に含まれるネットワーク中の最も大きなコストを使用します。

広告を抑止した場合,範囲内の各ネットワークをほかのエリアへは通知しない上に,マスク付アドレスに集約した経路もほかのエリアへは通知しません。この結果,ほかのエリアからはこのエリアボーダルータ経由で指定した範囲に含まれるアドレスへの経路は存在しないように見えます。

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