コンフィグレーションガイド Vol.3

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10.1.8 注意事項

<この項の構成>
(1) ルータID,ネットワークアドレスに関する注意事項
(2) 経路の再配布フィルタと学習フィルタの注意事項
(3) マルチバックボーン機能使用時の注意事項

(1) ルータID,ネットワークアドレスに関する注意事項

OSPFでは,ネットワークのトポロジを構築するに当たって,ルータの識別にルータIDを使用します。

ネットワークの設計時に次に示すような不正がある場合,正確なトポロジを構築できません。

これらの不正がある場合,不正確なトポロジに基づいてネットワーク設計することになり,正確な経路選択ができなくなります。ルータIDの決定方法として,次の方法をお勧めします。

ルータIDの決定方法
各ルータのルータIDの決定に当たり,該当するルータにあるOSPFが動作しているインタフェースに割り当ててあるIPアドレスの中からどれか一つを選択して,これをルータIDとして使用してください。ルータIDは,基本的には任意の32ビットの数値ですが,この方法を使用することでOSPFネットワーク設計時のミスなどによるルータIDの重複を防ぐことができます。
なお,1台のルータが複数のOSPFドメインに接続している場合,すべてのドメインで同一のルータIDを使用しても,問題ありません。

(2) 経路の再配布フィルタと学習フィルタの注意事項

OSPFでは,隣接ルータから学習したすべてのLSAを,ほかの隣接ルータへ広告します。再配布フィルタによって,OSPFで学習した経路の同一ドメイン内での広告を抑止することはできません。また,経路集約機能(ip summary-addressコマンド)を使用してOSPF経路を集約する場合,集約元経路の広告を抑止する設定を行っても,同一ドメイン内でのLSA広告は抑止されません。

また,distribute-list inコマンドでは,フィルタ条件に一致するAS外経路の学習を抑止できます。ただし,LSAの学習,広告を制御できません。そのため,学習しなかった経路も,OSPFで広告されます。

(3) マルチバックボーン機能使用時の注意事項

(a) マルチバックボーン使用についての注意

ネットワークを複数のOSPFドメインに分割して運用した場合,ルーティングループの抑止やコストに基づいた経路選択などのOSPFの特長が,OSPFドメイン間の経路の選択や配布によって失われます。新規ネットワーク構築時など,ネットワークを複数のOSPFドメインに分割して運用する必要がない場合は,単一のOSPFネットワークとして構築することをお勧めします。

(b) 複数ドメインの設定についての注意

装置アドレスを複数のOSPFドメインに広告する必要がある場合は,OSPF AS外経路として広告してください。コンフィグレーションで,一つのインタフェースを同時に複数のOSPFドメインに設定することはできません。

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