解説書 Vol.2

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5.2.3 GSRPの切り替え制御

GSRPスイッチで切り替えを行う際,フレームに対するフォワーディング,およびブロッキングの切り替え制御を行うだけでは,エンド−エンド間の通信は即座に再開できません。これは,周囲のスイッチのFDBにおいて,MACアドレスエントリが切り替え前にマスタ状態であったGSRPスイッチ向けに登録されたままであるためです。通信を即座に再開するためには,GSRPスイッチの切り替えと同時に,周囲のスイッチのFDBエントリをクリアする必要があります。

GSRPでは,周囲のスイッチのFDBエントリをクリアする方法として下記をサポートしています。

<この項の構成>
(1) GSRP Flush requestフレームの送信
(2) ポートリセット機能

(1) GSRP Flush requestフレームの送信

GSRPでは切り替えを行うとき,周囲のスイッチに対してFDBエントリのクリアを要求するためGSRP Flush requestフレームと呼ぶ制御フレームを送信します。このGSRP Flush requestフレームを受信して,自装置内のFDBのクリアを行うことのできるスイッチをGSRP awareと呼びます。本装置は特にコンフィグレーションの設定なしに,常にGSRP awareとして動作します。GSRP awareはGSRP Flush requestフレームをフラッディングします。一方,GSRP Flush Requestフレームに対する機能をサポートしていないスイッチをGSRP unawareと呼びます。周囲のスイッチがGSRP unawareである場合は,「(2) ポートリセット機能」を使用する必要があります。GSRP Flush requestフレームによる切り替え制御の概要を次の図に示します。

図5-3 GSRP Flush requestフレームによる切り替え制御の概要

[図データ]

  1. 本装置Aと本装置Bとの間で切り替えが行われ,本装置BはGSRP Flush requestフレームを本装置Cへ向けて送信します。
  2. 本装置CはGSRP Flush requestフレームを受けて,自装置内のFDBをクリアします。
  3. この結果,本装置C上はPCの送信するフレームに対して,MACアドレスの学習が行われるまでフラッディングを行います。
    当該フレームは,マスタ状態である本装置Bを経由して宛先へフォワーディングされます。
  4. 応答としてPC宛のフレームが戻ってくると,本装置CはMACアドレスの学習を行います。

以後,本装置CはPCからのフレームを本装置Bへ向けてだけフォワーディングするようになります。

(2) ポートリセット機能

ポートリセット機能は,GSRPスイッチにおいて周囲のスイッチと接続する物理ポートのリンクを一時的に切断する機能です。周囲のスイッチがGSRP unawareである場合に利用します。リンクの切断を検出したスイッチが該当物理ポート上で学習したMACアドレスエントリをFDBからクリアする仕組みを利用します。

ポートリセット機能による切り替え制御の概要を次の図に示します。

図5-4 ポートリセット機能による切り替え制御の概要

[図データ]

  1. 本装置Aと本装置Bとの間で切り替えが行われ,本装置Aはポートリセット機能によってリンクを切断します。
  2. GSRP unawareであるLANスイッチ(以下,本説明内では単にGSRP unawareと表記します)はリンクダウンにより該当ポートのFDBをクリアします。
  3. この結果,GSRP unawareはPCの送信するフレームに対して,MAC学習されるまでフラッディングを行います。
    当該フレームは,マスタ状態である本装置Bを経由して宛先へフォワーディングされます。
  4. 応答としてPC宛のフレームが戻ってくると,GSRP unawareはMACの学習を行います。

以後,GSRP unawareはPCからのフレームを本装置Bへ向けてだけフォワーディングするようになります。

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