32.1.3 IPv6マルチキャストエクストラネット
- 〈この項の構成〉
(1) VRF間経路フィルタリング
VRF間で導入する経路をフィルタできます。フィルタした結果,導入しないことになった経路はIPv6マルチキャスト経路情報を生成しません。
(a) フィルタの適用方法
上流側VRFに設定します。中継先VRFからの経路通知に対して,許可するグループアドレスをコンフィグレーションコマンドipv6 import multicast inter-vrfの設定に従ってフィルタします。フィルタした結果がpermitである場合,経路をIPv6マルチキャスト経路情報に導入します。適用するフィルタがない場合,経路を導入しません。
IPv6マルチキャストVRF間経路フィルタリングに使うコンフィグレーションコマンドを次の表に示します。
コマンド名 |
フィルタ対象経路 |
---|---|
ipv6 import multicast inter-vrf |
route-mapに指定されたVRFからの中継要求がフィルタリング対象になります。 |
IPv6マルチキャストエクストラネットでのroute-mapのフィルタ条件を次の表に示します。これ以外の条件は無視します。
条件となる経路属性 |
説明 |
コンフィグレーションコマンド |
---|---|---|
宛先IPv6マルチキャストグループアドレス |
access-listの識別子を条件として指定し,指定したフィルタで宛先のIPv6マルチキャストグループアドレスをフィルタします。 フィルタの動作がpermitの場合,一致したとみなします。 本条件を設定しない場合,すべてのIPv6マルチキャストグループアドレスが許可対象になります。 |
match ipv6 address ipv6 access-list |
VRF ID |
VRF IDを条件として指定し,経路のVRF IDと比較します。これで指定したVRFからの中継要求を許可します。 本コマンドを設定したVRFと同じIDを指定した場合,そのIDだけ無視します。これによって,複数のVRFをグループ化して共通のroute-mapを使用できます。 本条件を設定しない場合,すべてのVRFからの中継要求を許可します。 |
match vrf |
(b) VRF間経路の設定
VRF間経路フィルタを指定します。フィルタ条件に従って,他VRFまたはグローバルネットワークから中継要求のあった経路を自VRFのIPv6マルチキャスト経路情報に導入します。導入した経路は導入先IPv6マルチキャスト経路情報の中継先インタフェースに追加されます。IPv6マルチキャストVRF間経路フィルタにコンフィグレーションコマンドmatch vrfを指定した場合,中継要求元のVRF IDと条件比較します。match vrfコマンドを指定しない場合,他VRFまたはグローバルネットワークすべてでフィルタ条件は同じになります。
(c) プロトコルでのVRF間経路の広告
VRFに経路フィルタを設定すると,他VRFまたはグローバルネットワークからの中継要求を許可できます。他VRFまたはグローバルネットワークから中継要求を受けてフィルタした結果許可された場合,IPv6マルチキャスト経路情報を生成して,上流ルータがあれば上流ルータに中継要求を送信します。
他VRFまたはグローバルネットワークが自VRFに中継要求を送信するためには,ユニキャストエクストラネットで,中継要求元となるVRFに送信元IPアドレスへの経路を自VRFとなるように設定します。