コンフィグレーションガイド Vol.1


20.2.9 フローコントロールの設定

本装置内の受信バッファが枯渇して受信フレームを廃棄することがないようにするためには,ポーズパケットを送信して相手装置に送信規制を要求します。また,相手装置はポーズパケットを受信して送信規制できる必要があります。

相手装置からのポーズパケットを受信したとき,本装置が送信規制するかどうかは設定に従います。また,本装置ではオートネゴシエーションに対応したインタフェースでオートネゴシエーション時に相手装置とポーズパケットを送受信するかどうかを折衝できます。

本装置では,フローコントロールをポート単位に設定したり,装置内の全ポートでフローコントロールを無効にしたりできます。装置内の全ポートでフローコントロールを無効にすると,ポート単位のフローコントロール設定はコンフィグレーションファイルに残りますが,動作しません。

〈この項の構成〉

(1) ポート単位のフローコントロールの設定

[設定のポイント]

フローコントロールの設定内容は,相手装置と矛盾しないように決定してください。

[コマンドによる設定]

  1. (config)# interface tengigabitethernet 1/1/24

    (config-if)# shutdown

    イーサネットインタフェースをシャットダウンします。

  2. (config-if)# flowcontrol send off

    (config-if)# flowcontrol receive off

    相手装置とのポーズパケット送受信を停止します。

  3. (config-if)# no shutdown

    イーサネットインタフェースのシャットダウンを解除します。

(2) 全ポート共通のフローコントロールの設定

[設定のポイント]

装置内の全ポートでフローコントロールを無効にします。

[コマンドによる設定]

  1. (config)# system flowcontrol off

    全ポートで相手装置とのポーズパケット送受信の停止を設定します。

  2. (config)# save

    (config)# exit

    保存して,コンフィグレーションモードから装置管理者モードに移行します。

  3. # restart vlan

    VLANプログラムを再起動します。全ポートで相手装置とのポーズパケット送受信を停止します。すべてのイーサネットインタフェースが再初期化され,VLANを構成しているポートは,一時的にデータの送受信ができなくなります。

(3) フローコントロールのルーズモード設定

サーバへの接続などで,パケットの損失をできるだけ防ぎたい場合は,厳密なフローコントロールが求められます。しかし,相互に厳密なフローコントロールを行うと,瞬間的なループ状態を契機として次の図に示すようにお互いが送信規制されたままの状態となるおそれがあります。フローコントロールのルーズモードは,このようなネットワークでフローコントロールを行う場合に適したモードです。

図20‒3 相互に送信規制する例

[図データ]

デフォルト動作の場合,"ポーズパケット送信間隔≦送信規制時間"となるため,ポーズパケットの受信側では送信が完全に停止します。デフォルトでの動作シーケンスを次の図に示します。

図20‒4 デフォルトでの動作シーケンス

[図データ]

ルーズモードの場合,"ポーズパケット送信間隔>送信規制時間"となるため,本装置同士の接続でも送信が完全に停止し続けることがありません。ルーズモードでの動作シーケンスを次の図に示します。

図20‒5 ルーズモードでの動作シーケンス

[図データ]

[設定のポイント]

フローコントロールのルーズモードを設定します。

[コマンドによる設定]

  1. (config)# interface tengigabitethernet 1/1/24

    (config-if)# shutdown

    イーサネットインタフェースをシャットダウンします。

  2. (config-if)# flowcontrol send on loose

    相手装置とのポーズパケット送信をルーズモードにします。

  3. (config-if)# no shutdown

    イーサネットインタフェースのシャットダウンを解除します。