コンフィグレーションガイド Vol.3

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13.1.4 OSPF【OS-L3CA】

<この項の構成>
(1) OSPF学習経路フィルタリング
(2) OSPF広告経路フィルタリング

(1) OSPF学習経路フィルタリング

OSPFでは,SPF計算で求められた経路の中で,AS外経路とNSSA経路だけフィルタできます。フィルタした結果,学習しないことになったAS外経路やNSSA経路は,ルーティングテーブルに無効経路として導入されます。

エリア内経路・エリア間経路は,フィルタされることなくルーティングテーブルに入ります。

学習経路フィルタリングで経路を無効にしても,ほかのルータには該当経路ができます。これは,経路の元となったLSAがOSPFドメイン内のほかのルータへ伝わるためです。学習経路フィルタリングは,LSAから計算したAS外経路やNSSA経路は経路フィルタリングしますが,経路の元になったLSAはフィルタしません。

(a) フィルタの適用方法と適用順

学習した経路の中でAS外経路とNSSA経路をdistribute-list inで指定したフィルタでフィルタします。OSPF学習経路フィルタリングに使うコンフィグレーションコマンドを次の表に示します。

適用するフィルタがない場合,またはフィルタした結果がpermitである場合,経路を有効経路としてルーティングテーブルに導入します。フィルタした結果がdenyである場合,その経路は無効経路になります。

表13-10 OSPF学習経路フィルタリングのコンフィグレーションコマンド

コマンド名 フィルタ対象経路
distribute-list in(OSPF) 設定したOSPFドメインで求められたAS外経路とNSSA経路がフィルタリング対象になります。

(b) 学習経路フィルタリングで変更可能な経路属性

OSPF学習経路フィルタリングで変更可能な属性を次の表に示します。

OSPF学習経路フィルタリングでは,ディスタンス値だけを変更できます。変更したディスタンス値は,ルーティング種別間の優先経路選択に用います。

表13-11 OSPF学習経路フィルタリングで変更可能な経路の属性

属性 デフォルト値
ディスタンス値 distance ospf (OSPF) に指定した値。
指定していない場合は110。

(2) OSPF広告経路フィルタリング

OSPFでは,OSPFインタフェースの直結経路をエリア内経路またはエリア間経路として広告します。これは,広告経路フィルタリングでは制御できません。

また,OSPF経路もほかのルータに伝わります。これも,経路フィルタリングでは制御できません。これは,経路フィルタリングにかかわらず,経路の元であるLSAは無条件で伝達するためです。

上記以外の優先経路は,広告経路フィルタリングによってOSPFへ広告できます。AS外経路またはNSSA経路として広告します。

広告経路フィルタリングの設定をしていない場合,OSPFインタフェースの直結経路とOSPF経路のほかは,どの経路も広告しません。

(a) 広告経路フィルタリングで変更可能な経路属性

OSPFの広告経路フィルタリングで変更可能な属性を次の表に示します。

表13-12 OSPF広告経路フィルタリングで変更可能なOSPF AS外経路の属性

属性 経路学習元プロトコル デフォルト値
メトリック値 直結経路 20
BGP4経路 default-metric(OSPF)で設定した値。
default-metric設定がない場合は1。
その他 default-metric(OSPF)で設定した値。
default-metric設定がない場合は20。
OSPF経路種別 全プロトコル共通 AS外経路またはNSSA経路のType 2
タグ値 全プロトコル共通 経路情報のタグ値を引き継ぎます。

注意
メトリック値を16777215以上に変更するように設定することもできます。しかし,変更後のメトリック値が16777215以上の経路は広告されません。

(b) フィルタの適用方法と適用順

広告経路フィルタリングは,次に示す手順に分かれています。

  1. まず,OSPFで広告したい経路を選択します。広告したい経路の学習元プロトコルを指定します。プロトコルを指定するには,コンフィグレーションコマンドredistributeを使用します。ただし,OSPFの当該ドメインを指定しても,そのドメインの経路を再広告することはありません。
    redistributeに経路種別を指定することで,指定した種別の経路だけを広告対象にすることができます。また,route-mapを指定することで,route-mapでフィルタした結果がpermitである経路だけを広告対象にすることもできます。redistributeでは,条件の比較にルーティングテーブル上の経路属性値を使用します。
    redistributeに経路属性を変更するroute-mapや経路属性を直接指定することによって,広告する経路の属性を変更することもできます。
  2. メトリック値とOSPF経路種別をプロトコルで決められたデフォルト値に設定します。ただし,redistributeで属性値を変更している場合は,redistributeで変更した値をそのまま使用します。
    OSPFの広告経路属性のデフォルト値については,「表13-12 OSPF広告経路フィルタリングで変更可能なOSPF AS外経路の属性」を参照してください。
  3. redistributeで選択した経路にdistribute-list outに従ってフィルタを適用します。パラメータにプロトコルを指定することで,指定したプロトコルで学習した経路にだけフィルタを適用します。コンフィグレーションコマンドを次の表に示します。
    経路をOSPFドメインへ広告するに当たり,経路の学習元プロトコルに応じてフィルタを選択し,それを表の順番に適用します。適用するフィルタが一つもない場合,またはフィルタした結果がすべてpermitである場合,その経路を広告します。適用した結果がdenyであるフィルタが一つでもある場合,その経路を広告しません。
    distribute-list outにroute-mapを指定した場合,広告デフォルト値やredistributeで変更したあとの属性値に従って経路をフィルタします。
    distribute-list outに経路属性を変更するroute-mapを指定することで,広告する経路の属性を変更することもできます。

注意
手順3のdistribute-list outによる広告経路フィルタリング時に”match route-type”を実行すると,”external”と,”external 1”“external 2”のどちらかに一致するようになります。これは,経路属性の中のOSPF経路種別が,redistributeまたは広告デフォルト属性値によって外部経路のType 1またはType 2に書き換えられたあとだからです。

表13-13 OSPF広告経路フィルタリングのコンフィグレーションコマンド

コマンド名 パラメータ フィルタ対象経路
distribute-list out(OSPF) <Protocol> 広告先に関係なく,指定したプロトコルの経路にフィルタを適用します。
なし 広告先に関係なく,すべての経路にフィルタを適用します。

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