コンフィグレーションガイド Vol.3
OSPFでは,ルーティングに必要なトラフィックと,経路選択に使用するアルゴリズムの処理に必要な時間を削減するために,ASを複数のエリアに分割できます。エリア分割を使用したOSPFネットワークトポロジの例を次の図に示します。
図11-1 エリア分割を使用したOSPFネットワークトポロジの例
ルータ2やルータ5のように,複数のエリアに所属しているルータを,エリアボーダルータと呼びます。
あるエリア内の接続状態の情報は,ほかのエリアには通知されません。また,ルータには,接続していないエリアの接続状態の情報はありません。
- <この項の構成>
- (1) バックボーン
- (2) エリア分割についての注意事項
- (3) エリアボーダルータについての注意事項
エリアIDが0であるエリアをバックボーンと呼びます。ASが複数のエリアに分割されている場合,バックボーンには特別な役割があります。ASを複数のエリアに分割する場合は,エリアのどれか一つをバックボーンエリアとして設定する必要があります。ただし,一つのASにバックボーンを二つ以上ある構成にしないでください。そのような構成の場合,情報がそれぞれのバックボーンに分散されるため,到達不能である経路が発生したり,最適な経路を選択しなかったりすることがあります。
エリアボーダルータは,バックボーンを通じてエリア間の経路情報の交換を行うため,必ずバックボーンに所属する必要があります。
エリア分割を行うと,ルータや経路情報トラフィックの負荷が減る一方で,OSPFのアルゴリズムが複雑になります。特に,障害に対して適切な動作をする構成が困難になります。ルータやネットワークの負荷に問題がない場合は,エリア分割を行わないことをお勧めします。
- エリアボーダルータでは,所属しているエリアの数だけ,SPFアルゴリズムを動作させます。エリアボーダルータには,あるエリアのトポロジ情報を要約し,ほかのエリアへ通知する機能があります。そのため,所属するエリアの数が多くなるとエリアボーダルータの負荷が高くなります。そのため,エリアボーダルータにあまり多くのエリアを所属させないようなネットワーク構成にすることをお勧めします。
- あるエリアにエリアボーダルータが一つしかない場合,このエリアボーダルータに障害が発生するとバックボーンから切り放され,ほかのエリアとの接続性が失われます。重要な機能を提供するサーバや重要な接続のあるAS境界ルータの存在するエリアには,複数のエリアボーダルータを配置し,エリアボーダルータの配置に対して十分な迂回路が存在するように,ネットワークを構築することをお勧めします。
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