コンフィグレーションガイド Vol.1
- <この節の構成>
- (1) コンフィグレーション
- (2) 運用コマンドの実行
- (3) ユーザアカウント
- (4) メンバスイッチへのログイン
- (5) メンバスイッチの時刻
- (6) ソフトウェアの管理
- (7) 運用情報のバックアップ・リストア
- (8) 運用メッセージの画面出力とログ保存
- (9) MIBとSNMP通知
(1) コンフィグレーション
(a) メンバスイッチのコンフィグレーション
スタックでは,スタックを構成するすべてのメンバスイッチが同じコンフィグレーションで動作します。各メンバスイッチにはスタートアップコンフィグレーションとランニングコンフィグレーションがありますが,ランニングコンフィグレーションをすべてのメンバスイッチで同じ状態にしてスタックは動作します。
(b) ランニングコンフィグレーションの編集
スタック構成時のランニングコンフィグレーションはマスタスイッチだけで編集できます。マスタスイッチ以外では,ランニングコンフィグレーションを編集できません。マスタスイッチで編集したランニングコンフィグレーションは,ほかのメンバスイッチのランニングコンフィグレーションと同期します。また,マスタスイッチでsaveコマンドを実行すると,すべてのメンバスイッチのランニングコンフィグレーションがそれぞれのスタートアップコンフィグレーションに保存されます。
(c) あとから起動したメンバスイッチとの同期までの流れ
スタック運用中に,メンバスイッチがあとから起動したときは,マスタスイッチのランニングコンフィグレーションとあとから起動したメンバスイッチのスタートアップコンフィグレーションが同じかどうかを確認します。
- コンフィグレーションが同じ場合
あとから起動したメンバスイッチはそのままスタックの一部となります。
- コンフィグレーションが異なる場合
次の図に示すような手順でコンフィグレーションを一致させ,メンバスイッチをスタックの一部にします。
図7-3 コンフィグレーションの一致まで流れ
- マスタスイッチのランニングコンフィグレーションとあとから起動したメンバスイッチのスタートアップコンフィグレーションを比較すると不一致である。
- メンバスイッチではマスタスイッチのランニングコンフィグレーションをスタートアップコンフィグレーションにコピーし,再起動する。
- マスタスイッチのランニングコンフィグレーションと再起動したメンバスイッチのスタートアップコンフィグレーションが一致したため,メンバスイッチはマスタスイッチのランニングコンフィグレーションに同期したランニングコンフィグレーションで動作する。
(2) 運用コマンドの実行
スタックでは,マスタスイッチから運用コマンドを使用して,メンバスイッチの情報を表示したり,操作したりできます。スタック構成での運用コマンドの動作については,「運用コマンドレファレンス」の[スタック構成時の運用]を確認してください。また,運用コマンドremote commandを使用しても,マスタスイッチから指定したメンバスイッチに対して運用コマンドを実行できます。
なお,remote commandコマンドを実行するときは,次に示す点に注意してください。
- マスタスイッチ以外のメンバスイッチでは,ほかのメンバスイッチに対して運用コマンドを実行できません。
- remote commandコマンドは,初期化が完了したメンバスイッチに対して実行できます。初期化中のメンバスイッチに対しては実行できません。その場合は,初期化が完了してから再度実行してください。
- remote commandコマンドを含む運用コマンドを連続して実行する場合は,remote commandコマンドが終了してプロンプトが表示されたあとに,次の運用コマンドを実行してください。remote commandコマンドを含む運用コマンドをコピー&ペーストで入力して実行した場合,remote commandコマンドよりあとの運用コマンドが実行されないことがあります。その場合は実行されなかった運用コマンドを再度入力して実行してください。
(3) ユーザアカウント
スタックでは,マスタスイッチ以外のメンバスイッチのユーザアカウントはマスタスイッチのユーザアカウントに同期します。したがって,マスタスイッチ以外のメンバスイッチだけに存在するユーザアカウントは,スタックを構成するときに削除されます。なお,ホームディレクトリ配下のファイルは同期しません。
(4) メンバスイッチへのログイン
スタックでは,運用コマンドsessionを使用するか,またはコンソールを接続してそれぞれのメンバスイッチにログインできます。
どのメンバスイッチにログインしているかは,コマンドプロンプトで識別できます。例えば,コンフィグレーションコマンドhostnameでOFFICE1を設定していて,スイッチ番号1がマスタスイッチ,スイッチ番号2がバックアップスイッチの場合,コマンドプロンプトは次のようになります。
- マスタスイッチのコマンドプロンプト:OFFICE1>
- バックアップスイッチのコマンドプロンプト:OFFICE1-02B>
バックアップスイッチのコマンドプロンプトのハイフン“-”以降は,スイッチ番号(2文字)とスイッチ状態(1文字)を意味します。
なお,あとから起動したメンバスイッチにログインできるのは,マスタスイッチと起動したメンバスイッチの接続が完了してからです。あとから起動したメンバスイッチにログインできないときは,運用コマンドshow switchでメンバスイッチの状態を確認するか,またはログイン用のコマンドプロンプトが表示されるまで待ってください。
リモート運用端末からログインする場合は,マスタスイッチにログインします。
運用コマンドsessionで接続しているときに一定時間キーの入力がない場合,自動ログアウトの対象となって,接続を終了して接続元のスイッチに戻ります。
(5) メンバスイッチの時刻
マスタスイッチ以外のメンバスイッチの時刻は,マスタスイッチの時刻に同期します。ただし,時刻は秒単位で同期するため,メンバスイッチ間で誤差が発生することがあります。
マスタスイッチで運用コマンドset clockを実行すると,ほかのメンバスイッチの時刻は,最大で1分後に同期します。
(6) ソフトウェアの管理
(a) ソフトウェアのアップデート
ソフトウェアをアップデートするときは,1台のメンバスイッチのアップデートが完了してそのポートがアップしたあと,もう1台をアップデートしてください。なお,バックアップスイッチ,マスタスイッチの順でアップデートすることをお勧めします。
運用コマンドshow switchでアップデートの完了を確認してください。アップデートを実施したメンバスイッチの初期化が完了していれば,アップデートが完了しています。また,運用コマンドshow portでポートがアップしていることを確認してください。
(b) ソフトウェアのアップグレード
L3SライトソフトウェアのメンバスイッチをL3Sアドバンスドソフトウェアに変更するときは,1台のメンバスイッチのアップグレードが完了してそのポートがアップしたあと,もう1台をアップグレードしてください。なお,バックアップスイッチ,マスタスイッチの順でアップグレードすることをお勧めします。
運用コマンドshow switchでアップグレードの完了を確認してください。アップグレードを実施したメンバスイッチの初期化が完了していれば,アップグレードが完了しています。また,運用コマンドshow portでポートがアップしていることを確認してください。
(c) オプションライセンス
オプションライセンスを設定したあと再起動して適用するときは,バックアップスイッチ,マスタスイッチの順で再起動することをお勧めします。
なお,バックアップスイッチの再起動からマスタスイッチの再起動まで時間が掛かると,スタックを構成できないことがあります。
(7) 運用情報のバックアップ・リストア
バックアップ・リストアの対象には,メンバスイッチ個別のスタック情報ファイルと呼ぶ情報を含みます。
(8) 運用メッセージの画面出力とログ保存
メンバスイッチで発生したイベント情報は,運用メッセージとして,各メンバスイッチの運用端末に表示されるほか,運用ログとして各メンバスイッチに保存されます。
このうち,メッセージ種別ERRおよびEVTの運用メッセージは,マスタスイッチにも通知されます。つまり,すべてのメンバスイッチの運用メッセージが,マスタスイッチの運用端末に表示されるほか,運用ログとしてマスタスイッチに保存されます。また,運用メッセージはsyslogインタフェースを使用してネットワーク上のサーバへ出力できます。
なお,運用メッセージのフォーマットには,スイッチ番号とスイッチ状態が含まれます。これによって,イベントが発生したメンバスイッチやその状態を区別できます。
(9) MIBとSNMP通知
スタックでは,スタンドアロンと同様にSNMPの設定でMIBの取得や設定,SNMP通知の送信ができます。
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