コンフィグレーションガイド Vol.1


31.4.2 IPアドレス制御方式

本装置ではswrt_multicast_tableコマンドを設定することによって,IPv6マルチキャストとMLD snoopingの両方を同一のVLAN上で同時に使用できます。IPv6マルチキャストとMLD snoopingを同時に使用する場合,該当するVLANに必ずIPv6マルチキャストを使用してください。

〈この項の構成〉

(1) IPアドレスの学習

MLD snoopingが設定されたVLANでMLDメッセージを受信することによってマルチキャストIPアドレスをダイナミックに学習します。学習したマルチキャストIPアドレスの情報はIPv6マルチキャストのマルチキャスト中継エントリに設定します。

(a) エントリの登録

MLDv1 ReportメッセージおよびMLDv2 Report(加入要求)メッセージを受信すると,メッセージに含まれるマルチキャストグループアドレスからマルチキャストIPアドレスを学習し,MLDv1/MLDv2 Reportメッセージを受信したポートにだけマルチキャストグループ宛てのトラフィックを転送するエントリを作成します。

(b) エントリの削除

学習したマルチキャストIPアドレスは次のどれかの場合に,すべてのポートにグループメンバーが存在しなくなった時点で削除されます。

  • MLDv1 Doneメッセージを受信した場合

    MLDv1 Doneメッセージを受信したポートに対して,本装置からGroup-Specific Queryメッセージを1秒間隔で2回送信します(Group-Specific Queryメッセージの送信は,本装置が代表クエリアのときだけです)。応答がない場合にエントリからこのポートだけを削除します(このポートへのマルチキャストトラフィックの中継を抑止します)。VLAN内のすべてのポートにグループメンバーが存在しなくなった場合にエントリ自体を削除します。

  • MLDv2 Report(離脱要求)メッセージを受信した場合

    MLDv2 Report(離脱要求)メッセージでマルチキャストアドレスレコードタイプがCHANGE_TO_INCLUDE_MODEのMLDv2 Report(離脱要求)メッセージを受信した場合,受信したポートに対して,本装置からGroup-Specific Queryメッセージを1秒間隔で2回送信します(Group-Specific Queryメッセージの送信は,本装置が代表クエリアのときだけです)。応答がない場合にエントリからこのポートだけを削除します。VLAN内のすべてのポートにグループメンバーが存在しなくなった場合にエントリ自体を削除します。マルチキャストアドレスレコードタイプがBLOCK_OLD_SOURCESのMLDv2 Reportメッセージを受信した場合は,本装置からGroup-and-Source-Specific Queryメッセージを1秒間隔で2回送信します(Group-and-Source-Specific Queryメッセージの送信は,本装置が代表クエリアの時だけです)。Group-and-Source-Specific Queryメッセージの応答に関わらず,エントリはタイムアウトで削除処理を行います。

    タイムアウト時間は,Multicast Listener Interval時間とします。

  • MLDv1/MLDv2 Report(加入要求)メッセージを受信してから一定時間経過した場合

    マルチキャストルータは直接接続するインタフェース上にグループメンバーが存在するかを確認するために,定期的にMLD Queryメッセージを送信します。本装置はルータからのMLD Queryメッセージを受信した場合,VLAN内の全ポートに中継します。MLD Queryメッセージに対する応答がない場合,エントリからこのポートだけを削除します。すべてのポートから応答がない場合は,エントリ自体を削除します。

    本装置ではMulticast Listener Interval時間,MLDv1/MLDv2 Report(加入要求)メッセージを受信しない場合,対応するエントリを削除します。

    Multicast Listener Intervalは,Robustness Variable(RV)×Query Interval(QI)+Query Response Interval(QRI)で算出します。

    RV,QI,QRIの値を次に示します。

    ・他装置が代表クエリアでMLDv2で運用している場合

     RV,QI=受信したQueryメッセージから取得

     QRI=10秒

    ・本装置が代表クエリアでMLDv2で運用している場合,またはMLDv1で運用している場合

     RV=2

     QI=自装置に設定したQuery Interval(コンフィグレーションコマンドipv6 mld query-

     intervalの設定値)。設定していなければ125秒。

     QRI=10秒

(2) IPv6マルチキャストパケットのレイヤ2中継

IPv6マルチキャストパケットの受信VLAN内のレイヤ2中継はIPアドレスベースで処理します。MLD snoopingの結果によるレイヤ2中継は,MLD Report(加入要求)メッセージを受信したポートすべてに中継します。

(3) IPv6マルチキャストパケットのレイヤ3中継

IPv6マルチキャストによるVLAN間のレイヤ3中継時に,中継先のVLANでMLD snoopingが動作している場合,レイヤ3中継されたマルチキャストトラフィックは,中継先のVLAN内でMLD snoopingの学習結果に従って中継されます。

(4) IPv6マルチキャスト同時使用時のSpecific Query送信

IPv6マルチキャストが動作することで本装置がVLAN内の代表クエリアである場合,MLD DoneメッセージまたはMLDv2 Report(離脱要求)メッセージ受信によるGroup-Specific QueryまたはGroup-and-Source-Specific Queryの送信は,受信ポートだけでなくVLAN内の全ポートに送信します。