コンフィグレーションガイド Vol.1


27.4.4 PVST+のパラメータ設定

各パラメータは「2×(forward-time−1) ≧ max-age ≧ 2×(hello-time+1)」という関係を満たすように設定する必要があります。パラメータを変える場合は,スパニングツリーを構築するすべての装置でパラメータを合わせる必要があります。

〈この項の構成〉

(1) BPDUの送信間隔の設定

BPDUの送信間隔は,短くした場合はトポロジー変更を検知しやすくなります。長くした場合はトポロジー変更の検知までに時間が掛かるようになる一方で,BPDUトラフィックや本装置のスパニングツリープログラムの負荷を軽減できます。

[設定のポイント]

設定しない場合,2秒間隔でBPDUを送信します。通常は設定する必要はありません。

[コマンドによる設定]

  1. (config)# spanning-tree vlan 10 hello-time 3

    VLAN 10のPVST+のBPDU送信間隔を3秒に設定します。

[注意事項]

BPDUの送信間隔を短くすると,トポロジー変更を検知しやすくなる一方でBPDUトラフィックが増加することによりスパニングツリープログラムの負荷が増加します。本パラメータをデフォルト値(2秒)より短くすることでタイムアウトのメッセージ出力やトポロジー変更が頻発する場合は,デフォルト値に戻して使用してください。

(2) 送信する最大BPDU数の設定

スパニングツリーでは,CPU負荷の増大を抑えるために,hello-time(BPDU送信間隔)当たりに送信する最大BPDU数を決めることができます。トポロジー変更が連続的に発生すると,トポロジー変更を通知,収束するために大量のBPDUが送信され,BPDUトラフィックの増加,CPU負荷の増大につながります。送信するBPDUの最大数を制限することでこれらを抑えます。

[設定のポイント]

設定しない場合,hello-time(BPDU送信間隔)当たりの最大BPDU数は3で動作します。本パラメータのコンフィグレーションはRapid PVST+だけ有効であり,PVST+は3(固定)で動作します。通常は設定する必要はありません。

[コマンドによる設定]

  1. (config)# spanning-tree vlan 10 transmission-limit 5

    VLAN 10のRapid PVST+のhello-time当たりの最大送信BPDU数を5に設定します。

(3) BPDUの最大有効時間の設定

ルートブリッジから送信するBPDUの最大有効時間を設定します。BPDUのカウンタは装置を経由するたびに増加し,最大有効時間を超えたBPDUは無効なBPDUとなって無視されます。

[設定のポイント]

最大有効時間を大きく設定することで,多くの装置にBPDUが届くようになります。設定しない場合,最大有効時間は20で動作します。

[コマンドによる設定]

  1. (config)# spanning-tree vlan 10 max-age 25

    VLAN 10のPVST+のBPDUの最大有効時間を25に設定します。

(4) 状態遷移時間の設定

PVST+モードまたはRapid PVST+モードでタイマによる動作となる場合,ポートの状態が一定時間ごとに遷移します。PVST+モードの場合はBlockingからListening,Learning,Forwardingと遷移し,Rapid PVST+モードの場合はDiscardingからLearning,Forwardingと遷移します。この状態遷移に必要な時間を設定できます。小さい値を設定すると,より早くForwarding状態に遷移できます。

[設定のポイント]

設定しない場合,状態遷移時間は15秒で動作します。本パラメータを短い時間に変更する場合,BPDUの最大有効時間(max-age),送信間隔(hello-time)との関係が「2×(forward-time−1) ≧ max-age ≧ 2×(hello-time+1)」を満たすように設定してください。

[コマンドによる設定]

  1. (config)# spanning-tree vlan 10 forward-time 10

    VLAN 10のPVST+の状態遷移時間を10に設定します。