25.1.4 動的監視機能
スタティック経路は,ゲートウェイと直接接続されたインタフェースの状態,またはゲートウェイへの経路の有無によって経路の生成・削除を制御します。したがって,経路が生成されている場合でも,該当するゲートウェイへの到達保証はありません。本装置は,生成されたスタティック経路のゲートウェイに対する,ICMPv6のエコー要求およびエコー応答メッセージを使用した周期的なポーリングによって,到達性を動的に監視する機能を持ちます。この機能を使用することによって,「25.1.3 スタティック経路の中継経路指定」の経路生成・削除条件に加え,該当するゲートウェイへの到達性が確保できている場合だけ,スタティック経路を生成するように制御できます。
また,該当するゲートウェイへ到達不可能から到達可能となった場合でも,その時点で経路を生成するのではなく,一定期間該当するゲートウェイへの到達性を監視して安定性が認められた場合に経路を再生成できます。
(1) スタティック経路の動的監視による経路切り替え
スタティック経路の動的監視の例を次の図に示します。
この図では,本装置AでネットワークBへのスタティック経路が本装置B経由(優先),本装置C(非優先)で設定されているものとします。動的監視を行っていない状態で,本装置Aと本装置B間の本装置B側のインタフェースに障害が発生した場合,本装置A側のインタフェースは正常なため,本装置B経由のスタティック経路は削除されません。これによって,本装置C経由のスタティック経路への切り替えが行われないで,本装置A−ネットワークB間の通信が停止します。
動的監視を行っている場合,本装置A側のインタフェースが正常であっても,動的監視機能によって本装置Bへの到達不可を検知し,本装置B経由のスタティック経路を削除します。これによって,本装置C経由のスタティック経路への切り替えが行われ,本装置A−ネットワークB間の通信を確保できます。
(2) スタティック経路の動的監視による経路の生成,削除および再生成タイミング
スタティック経路の動的監視による経路の生成,削除および再生成タイミングはコンフィグレーションコマンドのipv6 route static poll-intervalおよびipv6 route static poll-multiplierの設定値に依存します。
以降,ipv6 route static poll-intervalの設定値をpollinterval,およびipv6 route static poll-multiplierの設定値をそれぞれinvalidcount,restorecountと表します。
(a) 経路生成タイミング
インタフェースアップなどの経路生成要因を契機としてゲートウェイにポーリングします。該当するポーリングに対する応答を受信した場合,次のポーリング周期(pollinterval)に経路を生成します。スタティック経路の動的監視による経路生成の例を次の図に示します。
(b) 経路削除タイミング
pollinterval周期でのポーリングに対し,invalidcount回数連続して応答がない場合に経路を削除します。invalidcount=3の場合は,ポーリングに対して3回連続して応答がなければ経路を削除します。なお,インタフェースダウンなどの経路生成要因がなくなった場合にもポーリングを使用しない(pollパラメータ未指定)スタティック経路と同様に,経路を削除します。スタティック経路の動的監視による経路削除の例を次の図に示します。
(c) 経路再生成タイミング
スタティック経路の動的監視によって削除された経路のゲートウェイへのpollinterval周期のポーリングに対し,restorecount回数連続して応答があった場合に経路を再生成します。restorecount =2の場合は,ポーリングに対して2回連続して応答があれば経路を再生成します。スタティック経路の動的監視による経路再生成の例を次の図に示します。