コンフィグレーションガイド Vol.3


24.4.3 ロードバランス使用時の注意事項

  1. Hash値によって一意に16パスの内1パスを選択するため,宛先ネットワークに対するそれぞれのパスのパケット分配比率は必ずしも均等になりません。

  2. 各パスに重み付けを付けないため,回線速度が異なる場合は速度に比例した分配は行いません。ただし,マルチホーム接続することによって回線速度の速い回線に重み付けできますが,障害の発生を考慮して冗長構成にする必要があります。

  3. Hash値によって選択した該当するパスの出力帯域を超えて,継続的にパケットを送出しようとした場合,パケット廃棄が発生します。別のパスには振り分けません。

  4. traceroute(IPv6)コマンドによって,ロードバランスで使用する選択パスを確認する場合,次の注意が必要です。

    • traceroute(IPv6)コマンドを受信したインタフェースのIPv6アドレスを送信元IPv6アドレスとして,応答を返しますが,そのインタフェースを使用して応答を返すとは限りません。

    • traceroute(IPv6)コマンドを受信したインタフェースがマルチホームの場合,隣接装置がどのサブネットで送信したのか判断できません。そのため,マルチホーム内の1アドレスを送信元IPv6アドレスとして応答します。

  5. ロードバランス使用時に,特定の中継経路(ゲートウェイ)だけに通信が集中するような場合,中継性能が極端に低下することがあります。そのような場合には,すべての中継経路(ゲートウェイ)に対してスタティックNDPを設定してください。

  6. BGP4+経路が,Nullインタフェースを指定したIGP経路でネクストホップ解決されることによってBGP4+経路のマルチパスにNullインタフェースを含む場合,該当経路を使用して中継されません。そのような場合,BGPコンフィグレーションコマンドbgp nexthopで,Nullインタフェースを指定したIGP経路をBGP4+経路のネクストホップ解決に使用しないように設定してください。

    また,マルチパスのスタティック経路に直接接続していないネクストホップが含まれており,そのネクストホップがNullインタフェースをネクストホップとする経路で解決されている場合も,該当経路を使用して中継されません。

  7. 本装置で収容できるマルチパス経路の最大数は,装置起動後に変更できません。変更する場合は,各ユニキャストルーティングプロトコル(スタティックルーティング,OSPFv3,BGP4+)のコンフィグレーションで最大マルチパス数を変更したあとに,装置を再起動してください。

  8. コンフィグレーションでネクストホップに複数のVRFが混在するスタティック経路を設定できますが,生成される経路のマルチパスは単一のVRFだけで構成されます。

    パスは,現在有効でかつ最も高いweight値を持つネクストホップを基準として,それと同じVRFのネクストホップの中から選択されます。【SL-L3A】

  9. 同一マルチパス経路は,経路変更時に複数のマルチパス経路になることがあります。また,障害などでマルチパス経路が切り替わった場合,新しく登録されるマルチパス経路は,変更前のマルチパス経路を残したまま,経路登録をします。そのため,一時的に新旧合計したマルチパス経路数のリソースを消費します。

    経路変更発生時に収容条件を超えないように,余裕を持ったマルチパス経路数で運用してください。