12.5.3 リスタート機能
次の契機で,OSPFのリスタート機能が動作します。
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スタック構成時,マスタスイッチの切り替えが発生したとき
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ユニキャストルーティングプログラムが再起動したとき
(1) OpaqueLSA
グレースフル・リスタートの開始および終了時に,Type9のOpaque LSAの学習や広告を行います。ただし,Type9のOpaque LSAについては,OSPFのグレースフル・リスタートに使用するgrace-LSA以外の機能はサポートしていません。
(2) グレースフル・リスタートの手順
OSPFのグレースフル・リスタート手順を次の図および表に示します。
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項番 |
項目 |
契機 |
処理内容 |
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1 |
グレースフル・リスタートの開始 |
スタック構成時,マスタスイッチの切り替えが発生したとき。 |
グレースフル・リスタートを開始します。通常の接続手順と同様に,各インタフェースでOSPF情報のパケットを交換します。 |
ユニキャストルーティングプログラムが再起動したとき。 |
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2 |
経路計算 |
ドメイン内の全OSPFインタフェースについて再接続が完了して,隣接ルータからすべてのLSAを学習したとき。 |
ドメインごとに経路計算をして,ルーティングテーブルを更新します。複数のドメインが存在する場合,経路計算は接続の終わったドメインから随時します。経路計算が全ドメインで終了したとき,OSPFの経路学習が完了します。 |
1インタフェースでもグレースフル・リスタートに失敗したとき。 |
その時点での同一ドメイン内の各インタフェースの接続状態に基づいて,経路計算をします。 |
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3 |
広告開始 |
OSPFの経路学習が完了して,かつほかのルーティングプロトコルの経路学習が完了したとき。 |
AS外経路の広告を開始します。広告完了後,通常のOSPF動作に戻ります。 |
OSPFのグレースフル・リスタートに失敗したとき。 |
(3) グレースフル・リスタートが失敗するケース
OSPFのグレースフル・リスタートが失敗するケースを次に示します。
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グレースフル・リスタートの開始をヘルパールータへ通知してからリスタート時間(OSPFのコンフィグレーションコマンドgraceful-restart restart-timeの指定値)が経過してもLSA学習を完了できなかった場合
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再接続しているインタフェースがダウンした場合
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OSPFドメイン上でLSAが変更された場合
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OSPFドメイン上の別のルータがグレースフル・リスタートした場合
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グレースフル・リスタートを開始してから経路保持時間(コンフィグレーションコマンドrouting options graceful-restart time-limitの指定値)が経過しても全プロトコルの経路学習が完了しなかった場合
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コンフィグレーションコマンドgraceful-restart modeを変更して,リスタート機能を削除した場合
(4) 注意事項
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リスタートルータとしてグレースフル・リスタートを開始しても,一部のヘルパールータがヘルパー動作を開始しない場合や途中で止めた場合,同一ドメイン内の全インタフェースでグレースフル・リスタートを止めます。
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OSPFのリスタート時間を,マスタスイッチの切り替え所要時間+LSA学習時間を超えるように設定してください。これは,OSPFがLSAを学習するためには,マスタスイッチの切り替えが完了してIPインタフェースのUp/Downが確認できるようになっている必要があるためです。グレースフル・リスタート開始後,リスタート時間が経過した時点でLSAの学習が終わっていない場合,OSPFのグレースフル・リスタートに失敗します。
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本装置のグレースフル・リスタート時のルーティングエントリ保持時間を,OSPFのリスタート時間よりも長く設定してください。OSPFのリスタート時間よりもルーティングエントリ保持時間のほうが短い場合,経路学習前にグレースフル・リスタート前のルーティングエントリが削除されることがあります。
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BGP4の内部ピアがグレースフル・リスタートを使用している場合,内部ピアのリスタート時間をOSPFのリスタート時間よりも長く設定してください。内部ピアのリスタート時間のほうが短い場合,OSPFが経路学習を完了する前に内部ピアを接続できなくなって,内部ピアのグレースフル・リスタートに失敗することがあります。