コンフィグレーションガイド Vol.2


24.1.2 サポート仕様

〈この項の構成〉

(1) 接続できるLLDP規格

本装置では次に示す二つの規格をサポートします。

デフォルトではIEEE Std 802.1AB-2009で動作して,IEEE 802.1AB Draft 6のLLDPDUだけを受信したポートからはIEEE 802.1AB Draft 6のLLDPDUを送信します。なお,IEEE Std 802.1AB-2005とも接続できます。規格別の受信LLDPDUと送信LLDPDUの関係を次の表に示します。

表24‒1 規格別の受信LLDPDUと送信LLDPDUの関係

受信LLDPDUの規格

送信LLDPDUの規格

IEEE Std 802.1AB-2009

IEEE Std 802.1AB-2005

IEEE 802.1AB Draft 6

受信なし

受信なし

IEEE Std 802.1AB-2009

受信あり

IEEE 802.1AB Draft 6

受信あり

受信なし

IEEE Std 802.1AB-2009

受信あり

IEEE Std 802.1AB-2009

注※ System Capabilities TLVだけはIEEE Std 802.1AB-2005の規格で送信します。

(2) サポートTLV

本装置でのTLVのサポート状況を次の表に示します。

表24‒2 TLVのサポート状況

TLV name

IEEE 802.1AB Draft 6

IEEE Std 802.1AB-2009

IEEE Std 802.1AB-2005

説明

送信

受信

送信※1

受信

Chassis ID

装置のMACアドレスを送信します。

Port ID

ポートのMACアドレスを送信します。

Time To Live

本装置が送信する情報の保持時間はコンフィグレーションで変更できます。

Port Description

interfaceグループMIBのifDescrと同じ値を送信します。

System Name

systemグループMIBのsysNameと同じ値を送信します。

System Description

systemグループMIBのsysDescrと同じ値を送信します。

System Capabilities

×

×

利用できる機能と有効な機能の情報を送信します。

Management Address

×

×

管理アドレスを送信します。

Organizationally-defined TLV extensions

  • VLAN情報

  • VLAN Address情報

×

×

設定されているVLAN IDやVLANに関連づけられたIPアドレスを送信します。

IEEE802.1 Organizationally Specific TLVs

Port VLAN ID

×

×

設定されているポートVLANのVLAN ID情報を送信します。

Port And Protocol VLAN ID

×

×

設定されているプロトコルVLANのVLAN ID情報を送信します。

VLAN Name

×

×

※2

設定されているポートVLANのVLAN ID,およびVLANの名前を送信します。

(凡例) ○:サポート △:一部サポート ×:非サポート

注※1

IEEE Std 802.1AB-2009の規格でLLDPDUを送信します。ただし,System CapabilitiesはIEEE Std 802.1AB-2005の規格で送信します。

注※2

VLAN Name Lengthの情報を0で送信し,VLANの名前は送信しません。

LLDPでサポートする情報の詳細を以下に示します。

なお,MIBについては「MIBレファレンス」を参照してください。

(a) Chassis ID(装置の識別子)

装置を識別する情報です。この情報にはsubtypeが定義され,subtypeによって送信内容が異なります。subtypeと送信内容を次の表に示します。

表24‒3 Chassis IDのsubtype一覧(IEEE Std 802.1AB-2009)

subtype

種別

送信内容

1

Chassis component

Entity MIBのentPhysicalAliasと同じ値

2

Interface alias

interface MIBのifAliasと同じ値

3

Port component

Entity MIBのportEntPhysicalAliasと同じ値,またはEntity MIBのbackplaneEntPhysicalAliasと同じ値

4

MAC address

LLDP MIBのmacAddressと同じ値

5

Network address

LLDP MIBのnetworkAddressと同じ値

6

Interface name

interface MIBのifNameと同じ値

7

Locally assigned

LLDP MIBのlocalと同じ値

表24‒4 Chassis IDのsubtype一覧(IEEE 802.1AB Draft 6)

subtype

種別

送信内容

1

Chassis component

Entity MIBのentPhysicalAliasと同じ値

2

Chassis interface

interface MIBのifAliasと同じ値

3

Port

Entity MIBのportEntPhysicalAliasと同じ値

4

Backplane component

Entity MIBのbackplaneEntPhysicalAliasと同じ値

5

MAC address

LLDP MIBのmacAddressと同じ値

6

Network address

LLDP MIBのnetworkAddressと同じ値

7

Locally assigned

LLDP MIBのlocalと同じ値

Chassis IDについての送受信条件は次のとおりです。

  • 送信:送信するsubtypeの種別はMAC addressだけです。送信するMACアドレスは装置MACアドレスを使用します。また,スタック構成時はスタックの装置MACアドレスを使用します。

  • 受信:上記に示した全subtypeについて受信できます。

  • 受信データ最大長:255オクテット

(b) Port ID(ポート識別子)

ポートを識別する情報です。この情報にはsubtypeが定義され,subtypeによって送信内容が異なります。subtypeと送信内容を次の表に示します。

表24‒5 Port IDのsubtype一覧(IEEE Std 802.1AB-2009)

subtype

種別

送信内容

1

Interface alias

Interface MIBのifAliasと同じ値

2

Port component

Entity MIBのportEntPhysicalAliasと同じ値,またはEntity MIBのbackplaneEntPhysicalAliasと同じ値

3

MAC address

LLDP MIBのmacAddrと同じ値

4

Network address

LLDP MIBのnetworkAddressと同じ値

5

Interface name

interface MIBのifNameと同じ値

6

Agent circuit ID

RFC3046のCircuit ID

7

Locally assigned

LLDP MIBのlocalと同じ値

表24‒6 Port IDのsubtype一覧(IEEE 802.1AB Draft 6)

subtype

種別

送信内容

1

Port

Interface MIBのifAliasと同じ値

2

Port component

Entity MIBのportEntPhysicalAliasと同じ値

3

Backplane component

Entity MIBのbackplaneEntPhysicalAliasと同じ値

4

MAC address

LLDP MIBのmacAddrと同じ値

5

Network address

LLDP MIBのnetworkAddrと同じ値

6

Locally assigned

LLDP MIBのlocalと同じ値

Port IDについての送受信条件は次のとおりです。

  • 送信:送信するsubtypeの種別はMAC addressだけです。送信するMACアドレスは該当PortのMACアドレスを使用します。

  • 受信:上記に示した全subtypeについて受信できます。

  • 受信データ最大長:255オクテット

(c) Time-to-Live(情報の保持時間)

配布する情報を受信装置側で保持する時間を示します。

保持時間はコンフィグレーションで変更できますが,初期状態で使用することをお勧めします。

(d) Port description(ポート種別)

ポートの種別を示す情報です。この情報にはsubtypeはありません。

送信内容および受信条件は次のとおりです。

  • 送信内容:「Interface MIBのifDescrと同じ値」

  • 受信データ最大長:255オクテット

(e) System name(装置名称)

装置名称を示す情報です。この情報にはsubtypeはありません。

送信内容および受信条件は次のとおりです。

  • 送信内容:「systemMIBのsysNameと同じ値」

  • 受信データ最大長:255オクテット

(f) System description(装置種別)

装置の種別を示す情報です。この情報にはsubtypeはありません。

送信内容および受信条件は次のとおりです。

  • 送信内容:「systemMIBのsysDescrと同じ値」

    スタック構成時はマスタスイッチのsysDescr情報を使用します。

  • 受信データ最大長:255オクテット

(g) System Capabilities(装置の機能)

利用できる機能と有効な機能を識別する情報です。この情報は規格によってsubtypeの有無が異なります。

IEEE Std 802.1AB-2009

subtypeが定義され,subtypeにはchassis ID subtypeを使用します。

IEEE Std 802.1AB-2005

subtypeはありません。

System Capabilitiesについての送信内容および受信条件は次のとおりです。

  • 送信

    IEEE Std 802.1AB-2005の規格で送信します。System Capabilities TLVの送信内容を次の表に示します。

    表24‒7 System Capabilities TLVの送信内容

    データ名

    説明

    送信内容

    system capabilities

    機能識別子(装置が有する機能)

    MAC Bridge(1)有

    Router(1)有

    enabled capabilities

    機能識別子のうち,有効になっている機能

    MAC Bridge(1)有効

    Router(1)有効

  • 受信

    IEEE Std 802.1AB-2009,およびIEEE Std 802.1AB-2005の規格で受信できます。IEEE Std 802.1AB-2009の規格では,すべてのsubtypeについて受信できます。

(h) Management Address(管理アドレス)

装置のIPアドレスやMACアドレスを識別する情報です。この情報にはsubtypeが定義され,subtypeによって送信内容が異なります。

Management Addressについての送信内容および受信条件は次のとおりです。

  • 送信

    Management Address TLVの送信内容を次の表に示します。

    表24‒8 Management Address TLVの送信内容

    データ名

    説明

    設定値

    management address subtype

    管理アドレス種別

    1:IP(IPv4アドレス)または

    2:IP6(IPv6アドレス)

    management address

    管理アドレス

    コンフィグレーションコマンドlldp management-addressで設定したアドレスを使用します

    interface numbering subtype

    インタフェース番号サブタイプ

    1:Unknown

    OID string length

    OID情報長

    0

  • 受信

    すべてのsubtypeについて受信できます。LLDPDU上に複数のManagement Address TLVが付く場合は,最後の情報だけを保持します。

  • 受信データ最大長

    167オクテット

(i) Organizationally-defined TLV extensions

本装置独自に次の情報をサポートしています。

  • VLAN ID

    該当ポートが使用するVLAN TagのVLAN IDを示します。Tag変換を使用している場合は,変換後のVLAN IDを示します。この情報はトランクポートだけ有効な情報です。

  • VLAN Address

    この情報は,該当ポートでIPアドレスが設定されているVLANのうち,最も小さいVLAN IDとそのIPアドレスを一つ示します。

(j) IEEE802.1 Organizationally Specific TLVs

本装置では次の情報をサポートしています。

  • Port VLAN ID

    該当ポートのポートVLANの情報です。

    アクセスポートの場合,該当するポートVLANのVLAN IDを送信します。アクセスポート以外の場合,ネイティブVLANが有効なときはネイティブVLANのVLAN IDを送信します。受信データ最大長は,6オクテットです。

  • Port And Protocol VLAN ID

    該当ポートのプロトコルVLANの情報です。

    プロトコルポートの場合,該当するプロトコルVLANのVLAN IDを送信します。送信するVLAN IDの情報は,最新の状態です。プロトコルVLANの設定がないときは,プロトコルVLANの情報を送信しません。受信データ最大長は,7オクテットです。

  • VLAN Name

    該当ポートのポートVLANの情報です。

    アクセスポートの場合,該当するポートVLANのVLAN IDを送信します。トランクポートの場合,VLAN TagのVLAN IDを送信します。また,ネイティブVLANが有効なときは,ネイティブVLANのVLAN IDも同様に送信します。アクセスポートおよびトランクポート以外の場合,各種ポートのVLAN IDを送信します。また,ネイティブVLANが有効なときは,ネイティブVLANのVLAN IDも同様に送信します。

    送信するVLAN IDの情報は,最新の状態です。また,Tag変換を使用している場合は,変換後のVLAN IDを送信し,VLANトンネリング機能を使用している場合は,VLANトンネリング機能で付けたVLAN TagのVLAN IDを送信します。受信データ最大長は,39オクテットです。