コンフィグレーションガイド Vol.1


31.5 IGMP snooping/MLD snooping使用時の注意事項

〈この節の構成〉

(1) 他機能との共存

22.3 レイヤ2スイッチ機能と他機能の共存について」を参照してください。

(2) 制御パケットのフラッディング

IGMP snooping/MLD snoopingが抑止対象とするマルチキャストトラフィックはデータトラフィックであり,ルーティングプロトコルなどの制御パケットはVLAN内の全ルータや全ホストが受信できるようにVLAN内にfloodingする必要があります。そのため,本装置では,次の表に示すアドレス範囲に含まれる宛先IPアドレスを持つパケットは,VLAN内の全ポートに中継します。次の表に示すアドレス範囲外の宛先IPアドレスを持つパケットは,IGMP snooping/MLD snoopingの学習結果に従って中継します。

表31‒7 制御パケットのフラッディング

プロトコル

アドレス範囲

IGMP snooping

224.0.0.0/24

MLD snooping

ff02::/16

ただし,制御パケットのマルチキャストMACアドレスと重複するマルチキャストグループアドレスは使用できません。上の表に示したアドレス範囲以外のアドレスで,使用できないマルチキャストグループアドレスを次の表に示します。

表31‒8 MACアドレス制御方式で使用できないマルチキャストグループアドレス

プロトコル

マルチキャストグループアドレス

IGMP snooping

224.128.0.0/24

225.0.0.0/24

225.128.0.0/24

226.0.0.0/24

226.128.0.0/24

227.0.0.0/24

227.128.0.0/24

228.0.0.0/24

228.128.0.0/24

229.0.0.0/24

229.128.0.0/24

230.0.0.0/24

230.128.0.0/24

231.0.0.0/24

231.128.0.0/24

232.0.0.0/24

232.128.0.0/24

233.0.0.0/24

233.128.0.0/24

234.0.0.0/24

234.128.0.0/24

235.0.0.0/24

235.128.0.0/24

236.0.0.0/24

236.128.0.0/24

237.0.0.0/24

237.128.0.0/24

238.0.0.0/24

238.128.0.0/24

239.0.0.0/24

239.128.0.0/24

上の表に示したアドレスをマルチキャストグループアドレスに使用した場合,該当マルチキャストグループアドレス宛てのマルチキャストデータは,VLAN内の全ポートに中継します。

トランクポートを設定している場合は,Untagged制御パケットを受信しないように注意してください。構成上,トランクポートでUntagged制御パケットを扱う場合は,ネイティブVLANを設定してください。

(3) マルチキャストルータポートの設定

(a) 冗長構成時

スパニングツリーによって冗長構成を採り,スパニングツリーによってトポロジー変更でルータとの接続が変わる可能性がある場合は,ルータと接続する可能性のある全ポートに対してマルチキャストルータポートの設定をしておく必要があります。

(b) レイヤ2スイッチ間の接続時

複数のレイヤ2スイッチだけで構成されるVLANで,マルチキャストトラフィックの送信ホストを収容するレイヤ2スイッチと接続するポートをマルチキャストルータポートに設定しておく必要があります。

冗長構成を採る場合は,送信ホストを収容するレイヤ2スイッチと接続する可能性のある全ポートに対してマルチキャストルータポートの設定をしておく必要があります。

(4) IGMPバージョン3ホストとの接続

本装置にIGMPv3ホストを接続する場合,次のどちらかの対応が必要です。

また,IGMPv3ホストからのIGMPv3メッセージがフラグメント化されない構成で運用してください。

(5) MLDバージョン2ホストとの接続

本装置にMLDv2ホストを接続する場合,次のどちらかの対応が必要です。

また,MLDv2ホストからのMLDv2メッセージがフラグメント化されない構成で運用してください。

(6) 運用コマンド実行によるエントリの再学習

IGMP/MLD snoopingの運用コマンドのほかに,下記のコマンドを実行した場合,それまでに学習したエントリをクリアし,再学習を行います。運用コマンド実行後は,一時的にマルチキャスト通信が中断します。

(7) IPv4マルチキャスト機能との同時使用

(a) コンフィグレーションコマンドswrt_multicast_tableの設定

IPv4マルチキャスト機能とIGMP snoopingを同時に使用する場合,コンフィグレーションコマンドswrt_multicast_tableを設定して,該当するVLANにIPv4マルチキャストを使用してください。

(b) IGMP snooping設定追加時の一時的通信停止

IPv4マルチキャストを使用しているVLANにIGMP snoopingを追加設定した場合,一時的にマルチキャスト通信が停止します。IGMP snooping設定後,IGMP Report(加入要求)を受信することでマルチキャスト通信が再開します。

(c) 静的グループ参加機能との併用

IPv4マルチキャストの静的グループ参加機能を使用しているVLANでは,ホストからIGMP Report(加入要求)が送信されないおそれがあります。IGMP snoopingと同時使用する場合,IGMP Report(加入要求)が送信されないとマルチキャスト通信ができないため,静的グループ参加機能を使用しているVLANでマルチキャスト通信が必要なポートにはマルチキャストルータポートを設定してください。

(d) IPv4マルチキャストパケットのフラッディング

IPv4マルチキャストとIGMP snoopingを同時に使用しているVLANで,次に示すIPv4マルチキャストパケットは,受信したVLAN内の全ポートに中継されます。

  • IPv4マルチキャストがマルチキャスト中継エントリ(ネガティブキャッシュも含む)を登録するまでに受信したIPv4マルチキャストパケット

  • TTLが1のIPv4マルチキャストパケット

(e) 上流インタフェース以外で受信したIPv4マルチキャストパケットのフラッディング

IPv4マルチキャストとIGMP snoopingを同時に使用してマルチキャスト中継をしている場合,登録したマルチキャスト中継エントリの上流インタフェース以外のVLANでIPv4マルチキャストパケットを受信すると,該当するIPv4マルチキャストパケットは受信したVLAN内の全ポートに中継されます。

(8) IPv6マルチキャスト機能との同時使用

(a) コンフィグレーションコマンドswrt_multicast_tableの設定

IPv6マルチキャスト機能とMLD snoopingを同時に使用する場合,コンフィグレーションコマンドswrt_multicast_tableを設定して,該当するVLANにIPv6マルチキャストを使用してください。

(b) MLD snooping設定追加時の一時的通信停止

IPv6マルチキャストを使用しているVLANにMLD snoopingを追加設定した場合,一時的にマルチキャスト通信が停止します。MLD snooping設定後,MLD Report(加入要求)を受信することでマルチキャスト通信が再開します。

(c) 静的グループ参加機能との併用

IPv6マルチキャストの静的グループ参加機能を使用しているVLANでは,ホストからMLD Report(加入要求)が送信されないおそれがあります。MLD snoopingと同時使用する場合,MLD Report(加入要求)が送信されないとマルチキャスト通信ができないため,静的グループ参加機能を使用しているVLANでマルチキャスト通信が必要なポートにはマルチキャストルータポートを設定してください。

(d) IPv6マルチキャストパケットのフラッディング

IPv6マルチキャストとMLD snoopingを同時に使用しているVLANで,次に示すIPv6マルチキャストパケットは,受信したVLAN内の全ポートに中継されます。

  • IPv6マルチキャストがマルチキャスト中継エントリ(ネガティブキャッシュも含む)を登録するまでに受信したIPv6マルチキャストパケット

  • ホップリミットが1のIPv6マルチキャストパケット

(e) 上流インタフェース以外で受信したIPv6マルチキャストパケットのフラッディング

IPv6マルチキャストとMLD snoopingを同時に使用してマルチキャスト中継をしている場合,登録したマルチキャスト中継エントリの上流インタフェース以外のVLANでIPv6マルチキャストパケットを受信すると,該当するIPv6マルチキャストパケットは受信したVLAN内の全ポートに中継されます。

(9) IGMP即時離脱機能

IGMP即時離脱機能を使用した場合,IGMPv2 LeaveおよびIGMPv3 Report(離脱要求)メッセージを受信すると,該当ポートへのマルチキャスト通信をすぐに停止します。このため,本機能を使用する場合は,接続ポートに各マルチキャストグループの受信者の端末を1台だけ設置することを推奨します。

接続ポートに同一マルチキャストグループの受信者の端末を複数台設置した場合は,一時的にほかの受信者へのマルチキャスト通信が停止します。この場合,受信者からのIGMP Report(加入要求)メッセージを再度受信することで,マルチキャスト通信は再開します。

(10) スタックでのIGMP snoopingの使用

スタックでIGMP snoopingを使用する場合,IPアドレス制御方式を使用する必要があります。そのため,コンフィグレーションコマンドswrt_multicast_tableを設定し,該当するVLANにIPv4マルチキャストを使用してください。