31.3.1 MACアドレス制御方式
- 〈この項の構成〉
(1) MACアドレスの学習
IGMP snoopingが設定されたVLANでIGMPメッセージを受信することによってマルチキャストMACアドレスをダイナミックに学習します。学習したマルチキャストMACアドレスはMACアドレステーブルに登録します。
(a) エントリの登録
IGMPv1/IGMPv2 Reportメッセージおよび,IGMPv3 Report(加入要求)メッセージを受信すると,メッセージに含まれるマルチキャストグループアドレスからマルチキャストMACアドレスを学習し,IGMPv1/IGMPv2/IGMPv3 Reportメッセージを受信したポートにだけマルチキャストグループ宛てのトラフィックを転送するエントリを作成します。
IPv4マルチキャストデータの宛先MACアドレスはIPアドレスの下位23ビットをMACアドレスにコピーして生成します。そのため,下位23ビットが同じIPアドレスはMACアドレスが重複します。例えば,224.10.10.10と225.10.10.10はどちらもマルチキャストMACアドレスは0100.5E0A.0A0Aとなります。これらのアドレスについては,レイヤ2中継で同一MACアドレス宛てのパケットとして取り扱います。IPv4マルチキャストアドレスとMACアドレスの対応を次の図に示します。
(b) エントリの削除
学習したマルチキャストMACアドレスは次のどちらかの場合に,すべてのポートにグループメンバーが存在しなくなった時点で削除されます。
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IGMPv2 Leaveメッセージを受信した場合
IGMPv2 Leaveメッセージを受信したポートに対して,本装置から Group-Specific Queryメッセージを1秒間隔で2回送信します(Group-Specific Queryメッセージの送信は,クエリア設定時だけです。未設定時は代表クエリアから送信されます)。応答がない場合にエントリからこのポートだけを削除します(このポートへのマルチキャストトラフィックの中継を抑止します)。VLAN内のすべてのポートにグループメンバーが存在しなくなった場合にエントリ自体を削除します。
IGMP即時離脱機能を使用している場合は,IGMPv2 Leaveメッセージを受信すると,エントリから該当ポートをすぐに削除します。クエリアを設定していても,Group-Specific Queryメッセージは送信しません。
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IGMPv3 Report(離脱要求)メッセージを受信した場合
IGMPv3 Report(離脱要求)メッセージを受信したポートに対して,本装置からGroup-Specific Queryメッセージを1秒間隔で2回送信します(Group-Specific Queryメッセージの送信は,クエリア設定時だけです。未設定時は代表クエリアから送信されます)。応答がない場合にエントリからこのポートだけを削除します(このポートへのマルチキャストトラフィックの中継を抑止します)。VLAN内のすべてのポートにグループメンバーが存在しなくなった場合にエントリ自体を削除します。ただし,マルチキャストアドレスレコードタイプがBLOCK_OLD_SOURCESのIGMPv3 Reportメッセージを受信した場合は,自装置へのクエリア設定を行っている場合だけGroup-Specific Queryメッセージの送信および,エントリ削除処理を実行します。
IGMP即時離脱機能を使用している場合は,マルチキャストアドレスレコードタイプがCHANGE_TO_INCLUDE_MODEのIGMPv3 Report(離脱要求)メッセージを受信すると,エントリから該当ポートをすぐに削除します。クエリアを設定していても,Group-Specific Queryメッセージは送信しません。
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IGMPv1/IGMPv2/IGMPv3 Report(加入要求)メッセージを受信してから一定時間経過した場合
マルチキャストルータは直接接続するインタフェース上にグループメンバーが存在するかを確認するため,定期的に Queryメッセージを送信します。本装置はルータからのIGMP Queryメッセージを受信した場合,VLAN内の全ポートに中継します。IGMP Queryメッセージに対する応答がない場合,エントリからこのポートだけを削除します。すべてのポートから応答がない場合は,エントリ自体を削除します。
本装置では260秒間IGMPv1/IGMPv2/IGMPv3 Report(加入要求)メッセージを受信しない場合,対応するエントリを削除します。
IGMPv3で運用しているVLANで他装置が代表クエリアの場合,タイムアウト時間は代表クエリアからのIGMPv3 Queryメッセージ(QQICフィールド)から算出します。自装置が代表クエリアの場合またはIGMPv2で運用している場合は,125秒となります。この場合,該当するVLANではQuery Intervalを125秒で運用してください。
- 注
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タイムアウト時間は,Query Interval(QQICフィールドの値)×2+Query Response Intervalで算出します。
(2) IPv4マルチキャストパケットのレイヤ2中継
IPv4マルチキャストパケットの受信VLAN内のレイヤ2中継はMACアドレスベースで処理します。IGMP snoopingの結果によるレイヤ2中継は,同一MACアドレスにマッピングされるIPマルチキャストアドレスのIGMP Report(加入要求)メッセージを受信したポートすべてに中継します。
「(1) MACアドレスの学習 (a) エントリの登録」の例で述べた224.10.10.10と225.10.10.10のマルチキャストMACアドレスはどちらも0100.5E0A.0A0Aとなるので,224.10.10.10宛てのマルチキャストデータをレイヤ2中継する際に,225.10.10.10へのIGMP Report(加入要求)メッセージを受信したポートへも中継します。