コンフィグレーションガイド Vol.1


28.2.1 ネットワーク構成

Ring Protocolを使用する場合の基本的なネットワーク構成を次に示します。

〈この項の構成〉

(1) シングルリング構成

シングルリング構成について,次の図に示します。

図28‒4 シングルリング構成

[図データ]

マスタノード1台とトランジットノード数台から成る一つのリング構成をシングルリング構成と呼びます。リングを構成するノード間は,リングポートとして,物理ポートまたはリンクアグリゲーションで接続されます。また,リングを構成するすべてのノードに,制御VLANとして同一のVLAN,およびデータフレームの転送用として共通のVLANを使用する必要があります。マスタノードから送信した制御フレームは,制御VLAN内を巡回します。データフレームの送受信に使用するVLANは,VLANグループと呼ばれる一つの論理的なグループに束ねて使用します。VLANグループは複数のVLANをまとめることができ,一つのリングにマスタノードを基点とした右回り用と左回り用の最大2グループを設定できます。

(2) マルチリング構成

マルチリング構成のうち,隣接するリングの接点となるノードが一つの場合の構成について次の図に示します。

図28‒5 マルチリング構成

[図データ]

それぞれのリングを構成しているノードは独立したシングルリングとして動作します。このため,リング障害の検出および復旧の検出はそれぞれのリングで独立して行われます。

(3) 共有リンクありのマルチリング構成

マルチリング構成のうち,隣接するリングの接点となるノードが二つ以上の場合の構成について次の図に示します。

図28‒6 共有リンクありのマルチリング構成

[図データ]

複数のシングルリングが,二つ以上のノードで接続されている場合,複数のリングでリンクを共有することになります。このリンクを共有リンクと呼び,共有リンクのあるマルチリング構成を,共有リンクありのマルチリング構成と呼びます。これに対し,(2)のように,複数のシングルリングが一つのノードで接続されている場合には,共有リンクがありませんので,共有リンクなしのマルチリング構成と呼びます。

共有リンクありのマルチリング構成では,隣接するリングで共通のVLANをデータ転送用のVLANグループとして使用した場合に,共有リンクで障害が発生すると隣接するリングそれぞれのマスタノードが障害を検出し,複数のリングをまたいだループ(いわゆるスーパーループ)が発生します。このため,本構成ではシングルリング構成とは異なる障害検出,および切り替え動作を行う必要があります。

Ring Protocolでは,共有リンクをリングの一部とする複数のリングのうち,一つを共有リンクの障害および復旧を監視するリング(共有リンク監視リング)とし,それ以外のリングを,共有リンクの障害および復旧を監視しないリング(共有リンク非監視リング)とします。また,共有リンクの両端に位置するノードを共有リンク非監視リングの最終端ノード(または,共有ノード)と呼びます。このように,各リングのマスタノードで監視対象リングを重複させないことによって,共有リンク間の障害によるループの発生を防止します。

(4) スタック構成のノードを含むリング構成

スタック構成のノードを含むリング構成について,次の図に示します。

図28‒7 スタック構成のノードを含むリング構成

[図データ]

スタック構成時は,メンバスイッチ2台で一つのノードとして動作します。スタック構成のノードは,マスタスイッチ側とバックアップスイッチ側でそれぞれリングポートとして接続して,スタックリンクを経由する形でリングを構成します。なお,スタック構成のノードは,共有リンクありのマルチリング構成での共有ノードをサポートしていません。

スタック構成のノードでは,制御フレームおよびデータフレームの転送にスタックリンクを使用します。そのため,2本以上のスタックリンクを設定して,リングのトラフィックに対して余裕を持った帯域を確保してください。なお,スタックポートの最大回線数については,「2.2 収容回線数」を参照してください。