コンフィグレーションガイド Vol.1


8.1.2 スタンドアロンからの構築

次の図に示すように,スタンドアロンの本装置Aおよび本装置Bからスタックを構築します。

図8‒1 スタンドアロンからの構築

[図データ]

スタンドアロンからスタックを構築する流れを次の表に示します。

表8‒3 スタンドアロンからスタックを構築する流れ

操作の流れとその内容

設定対象

(1) 本装置Aと本装置Bのライセンスとソフトウェアを確認

  • ソフトウェアライセンスおよびオプションライセンスの確認

  • ソフトウェアバージョンの確認

本装置A

(メンバスイッチA)

本装置B

(メンバスイッチB)

(2) 本装置Aをスイッチ番号1として1台スタックへ移行

  • スタック機能の設定

  • 装置の再起動

本装置A

(メンバスイッチA)

(3) メンバスイッチAとメンバスイッチBのコンフィグレーションの設定

  • メンバスイッチAのスタックポートの設定

  • メンバスイッチAのマスタ選出優先度の設定

  • メンバスイッチBのモデルの設定

  • メンバスイッチBのスタックポートの設定

  • メンバスイッチBのマスタ選出優先度の設定

本装置A

(メンバスイッチA)

(4) 本装置Bをスイッチ番号2として1台スタックへ移行

  • スイッチ番号の設定

  • スタック機能の設定

  • 装置の再起動

本装置B

(メンバスイッチB)

(5) メンバスイッチAと接続するためのメンバスイッチBのコンフィグレーションの設定

  • スタックポートの設定

  • マスタ選出優先度の設定(1に設定)

本装置B

(メンバスイッチB)

(6) メンバスイッチAとメンバスイッチBの2台スタックへ移行

  • スタックポートの接続

(凡例)−:該当なし

注※

スタック専用ポートを実装するモデルでは,この操作は不要です。

スタック機能を設定してから装置を再起動すると,ランニングコンフィグレーションに対してスタックポートを設定したイーサネットインタフェース(スタック専用ポート)が反映された状態で装置が起動します。

〈この項の構成〉

(1) 本装置Aと本装置Bのライセンスとソフトウェアを確認

本装置Aと本装置Bのソフトウェアライセンスとオプションライセンス,およびソフトウェアのバージョンを確認します。

本装置Aと本装置Bとでソフトウェアライセンスおよびオプションライセンスによって有効化される機能が異なる場合は,ソフトウェアライセンスおよびオプションライセンスを設定し直して一致させてください。本装置Aと本装置Bとでソフトウェアのバージョンが異なる場合には,ソフトウェアのバージョンをアップデートして一致させてください。

[手順]
1. > show license
   Date 20XX/10/26 12:00:00 UTC
     Available: SL-L3L-004
       Serial Number        Licensed software
       1500-abcd-0009-0000  SL-L3L-004(AX-P3660-G8)

本装置Aでソフトウェアライセンスおよびオプションライセンスを確認します。

2. > show version software
   Date 20XX/10/26 12:01:00 UTC
   S/W: OS-L3M Ver. 12.0

本装置Aでソフトウェアのバージョンを確認します。

3. > show license
   Date 20XX/10/26 13:00:00 UTC
     Available: SL-L3L-004
       Serial Number        Licensed software
       1500-abcd-0009-0000  SL-L3L-004(AX-P3660-G8)

本装置Bでソフトウェアライセンスおよびオプションライセンスを確認します。手順1で確認した本装置Aのソフトウェアライセンスおよびオプションライセンスと同じであることを確認してください。

4. > show version software
   Date 20XX/10/26 13:01:00 UTC
   S/W: OS-L3M Ver. 12.0

本装置Bでソフトウェアのバージョンを確認します。手順2で確認した本装置Aのソフトウェアのバージョンと同じであることを確認してください。

(2) 本装置Aをスイッチ番号1として1台スタックへ移行

本装置Aで,スタック機能を有効にする設定をします。

[設定のポイント]

本装置をスタックで動作させるには,stack enableコマンドを設定します。stack enableコマンドの設定を有効にするには,本装置の再起動が必要です。そのため,運用を開始する前に設定してください。また,stack enableコマンドを設定すると,本装置を再起動するまですべてのコンフィグレーションが変更できません。

なお,stack enableコマンドを設定すると,同時に次のコンフィグレーションが自動で設定されます。

  • no service ipv6 dhcp

このため,stack enableコマンドを設定する前に,IPv6 DHCPサーバ機能などスタックでサポートしていない機能を使用していないことを確認してください。

[コマンドによる設定]

  1. (config)# stack enable

    After this command execute, please save configuration editing now in startup-config, and please reboot a device.

    Do you wish to continue ? (y/n):

    スタックで動作させる設定をします。コンフィグレーションの変更確認メッセージに対してyを入力します。

  2. (config)# save

    (config)# exit

    コンフィグレーションを保存して,コンフィグレーションコマンドモードから装置管理者モードに戻ります。

  3. # reload

    本装置を再起動します。再起動後,本装置は1台構成のスタックのメンバスイッチとして動作します。

(3) メンバスイッチAとメンバスイッチBのコンフィグレーションの設定

メンバスイッチAに,スタックを構成するすべてのメンバスイッチのコンフィグレーションを設定します。

[設定のポイント]

バックアップスイッチとなるメンバスイッチBのコンフィグレーションは,マスタスイッチとなるメンバスイッチAのコンフィグレーションに同期します。そのため,メンバスイッチAでは次のコンフィグレーションを設定する必要があります。

  • メンバスイッチAのスタックポート

  • メンバスイッチAのマスタ選出優先度

  • メンバスイッチBのモデル

  • メンバスイッチBのスタックポート

  • メンバスイッチBのマスタ選出優先度

メンバスイッチBのモデルを設定すると,指定したモデルに対応するイーサネットインタフェースのコンフィグレーションが自動で作成されます。また,メンバスイッチAがマスタスイッチになるように,メンバスイッチAのマスタ選出優先度をメンバスイッチBより大きい値に設定します。

[コマンドによる設定]

  1. (config)# interface hundredgigabitethernet 1/0/49

    (config-if)# switchport mode stack

    (config-if)# exit

    (config)# interface hundredgigabitethernet 1/0/50

    (config-if)# switchport mode stack

    (config-if)# exit

    メンバスイッチA(スイッチ番号1)のイーサネットインタフェースにスタックポートを設定します。

  2. (config)# switch 1 priority 20

    メンバスイッチA(スイッチ番号1)のマスタ選出優先度を20に設定します。

  3. (config)# switch 2 provision 3660-48xt4qw

    メンバスイッチBとして予定している装置のモデルを設定します。ここでは,モデルをAX3660S-48XT4QWで設定しています。

  4. (config)# interface hundredgigabitethernet 2/0/49

    (config-if)# switchport mode stack

    (config-if)# exit

    (config)# interface hundredgigabitethernet 2/0/50

    (config-if)# switchport mode stack

    (config-if)# exit

    メンバスイッチB(スイッチ番号2)のイーサネットインタフェースにスタックポートを設定します。

  5. (config)# switch 2 priority 10

    メンバスイッチB(スイッチ番号2)のマスタ選出優先度を10に設定します。

  6. (config)# save

    (config)# exit

    コンフィグレーションを保存して,コンフィグレーションコマンドモードから装置管理者モードに戻ります。

(4) 本装置Bをスイッチ番号2として1台スタックへ移行

本装置Bのスイッチ番号を2にして,スタック機能を有効にする設定をします。

[設定のポイント]

本装置Bのスイッチ番号を2に設定します。その後,stack enableコマンドでスタックで動作させる設定をしてから本装置を再起動する必要があります。

[コマンドによる設定]

  1. # set switch 2

    # configure

    スイッチ番号を2に設定します。

  2. (config)# stack enable

    After this command execute, please save configuration editing now in startup-config, and please reboot a device.

    Do you wish to continue ? (y/n):

    スタックで動作させる設定をします。コンフィグレーションの変更確認メッセージに対してyを入力します。

  3. (config)# save

    (config)# exit

    コンフィグレーションを保存して,コンフィグレーションコマンドモードから装置管理者モードに戻ります。

  4. # reload

    本装置を再起動します。再起動後,本装置は1台構成のスタックのメンバスイッチとして動作します。

(5) メンバスイッチAと接続するためのメンバスイッチBのコンフィグレーションの設定

メンバスイッチBに,メンバスイッチAと接続してスタックを構成するための最小限のコンフィグレーションを設定します。

[設定のポイント]

メンバスイッチAと接続したときにメンバスイッチAが障害などで再起動してもメンバスイッチBがマスタスイッチとして動作しないように,メンバスイッチBのマスタ選出優先度を1に設定します。

なお,ここで設定したコンフィグレーションは,マスタスイッチとなるメンバスイッチAで設定したコンフィグレーションに置き換えられます。

[コマンドによる設定]

  1. (config)# interface hundredgigabitethernet 2/0/49

    (config-if)# switchport mode stack

    (config-if)# exit

    (config)# interface hundredgigabitethernet 2/0/50

    (config-if)# switchport mode stack

    (config-if)# exit

    メンバスイッチB(スイッチ番号2)のイーサネットインタフェースにスタックポートを設定します。

  2. (config)# switch 2 priority 1

    メンバスイッチB(スイッチ番号2)のマスタ選出優先度を1に設定します。

  3. (config)# save

    (config)# exit

    コンフィグレーションを保存して,コンフィグレーションコマンドモードから装置管理者モードに戻ります。

(6) メンバスイッチAとメンバスイッチBの2台スタックへ移行

それぞれ1台構成のスタックのメンバスイッチとして動作しているメンバスイッチAとメンバスイッチBのスタックポートを接続して,2台構成のスタックに移行します。

メンバスイッチBのマスタ選出優先度が1のため,メンバスイッチAはマスタスイッチとして動作を継続して,メンバスイッチBは自動で再起動します。

再起動後,メンバスイッチAのコンフィグレーションに同期するためにメンバスイッチBは自動で再起動します。その後,メンバスイッチAがマスタスイッチ,メンバスイッチBがバックアップスイッチとなるスタック構成で動作します。

[手順]

  1. メンバスイッチAとメンバスイッチBのスタックポートを接続します。

  2. # show switch detail

    運用コマンドshow switch detailを実行して,メンバスイッチAがマスタスイッチ,メンバスイッチBがバックアップスイッチとなるスタックで動作していることを確認します。