コンフィグレーションガイド Vol.1
- <この項の構成>
- (1) 概要
- (2) サポート仕様
- (3) 基本動作
- (4) クロックの切り替え動作
- (5) Sync-E状態のLED表示
- (6) 禁止構成
- (7) 注意事項
(1) 概要
Sync-E(Synchronous Ethernet)は,PHY(Physical Interface)で使用するクロック周波数の同期をイーサネットインタフェースでする技術です。一次基準クロック(PRC:Precision Reference Clock)を頂点としたマスタ−スレーブのネットワークでクロック周波数を同期し,システムを構成する全装置のイーサネットのクロックが単一のクロックを参照します。これによって,ネットワークの装置間で同じクロック周波数で通信ができ,システム全体の転送性能が向上します。
Sync-Eによる同期には,ポートで受信した信号に同期する方法と,フレームに記されたタイムスタンプを元に同期する方法があります。本装置では,ポートで受信した信号に同期する方法を使用します。
コンフィグレーションで外部クロックの受信ポートを指定すると,ほかのポートは外部クロックの周波数で動作します。外部クロックの受信ポートには,SFP+/SFP共用ポートを指定します。外部クロックの入力がなくなった場合や,コンフィグレーションで外部クロックの受信ポートを指定していないなどSync-Eが無効な場合は,本装置の内部クロックで動作します。Sync-Eの概要を次の図に示します。
図20-6 Sync-Eを適用したネットワーク
この図の構成では,外部クロックとクロック周波数の同期を取り,同期したクロック周波数で下流の装置と同期します。外部クロックとの同期が外れると,内部クロックで動作します。
(2) サポート仕様
本装置のSync-Eは,ITU-T G.8261およびG.8262に準拠しています。Sync-Eのサポート状況を次の表に示します。
表20-17 Sync-Eのサポート状況
項目 仕様 サポート可能なモデル AX3660S-48X4QW 外部クロックを受信できるインタフェース※1
- 10GBASE-R(SFP+)
- 10GBASE-CU(SFP+)
外部クロックを適用できるインタフェース※2
- 10GBASE-R(SFP+)
- 10GBASE-CU(SFP+)
- 注※1
- マネージメントポートおよびQSFP28/QSFP+共用ポートは未サポートです。SFP+/SFP共用ポートでSFPまたはSFP-Tを使用した場合,そのポートでのクロック同期の動作は保証外です。
- 注※2
- マネージメントポートは未サポートです。QSFP28/QSFP+共用ポートおよびSFP+/SFP共用ポートでSFPまたはSFP-Tを使用した場合,そのポートでのクロック同期の動作は保証外です。
(3) 基本動作
Sync-Eの動作状態によって,使用するクロック周波数が異なります。
- Sync-Eが有効
- 指定した受信ポートで外部クロックと同期が取れた場合に,全ポートが外部クロックで動作します。指定したすべての受信ポートで外部クロックとの同期が外れると,内部クロックで動作します。
- Sync-Eが無効
- 内部クロックで動作します。
(4) クロックの切り替え動作
本装置では,Sync-Eの外部クロックを優先度を付けて二つまで指定でき,内部クロックと合わせて最大三つのクロックソースから同期先を選択します。選択の優先度が高い順に,クロックソースを次に示します。
- 高優先の外部クロック
- 低優先の外部クロック
- 内部クロック
クロックソースとして選択しているクロックで障害が発生して同期が外れた場合,その時点で同期が取れているクロックのうち,最も優先度が高いクロックへすぐに自動で切り替えます。また,クロックソースとして優先度が低いクロックを選択している状態で優先度が高いクロックの同期が取れた場合,自動切り戻しを抑止する時間を経過してから,自動で切り替えます。Sync-Eでのクロックの切り替え動作を次の表に示します。
表20-18 Sync-Eでのクロックの切り替え動作
切り替え契機 切り替え前同期先 切り替え後同期先 切り替え動作 選択しているクロックソースの同期が外れた場合 高優先の外部クロック 低優先の外部クロック すぐに自動で切り替え 高優先の外部クロック 内部クロック 低優先の外部クロック 内部クロック 選択しているクロックソースよりも優先度が高いクロックと同期が取れた場合 低優先の外部クロック 高優先の外部クロック 切り戻し抑止時間経過後に自動で切り替え 内部クロック 低優先の外部クロック 内部クロック 高優先の外部クロック
(5) Sync-E状態のLED表示
装置正面パネルのST2 LEDで外部クロック状態を確認できます。ただし,スタック構成時のST2 LEDはスタック状態を表示します。ST2 LEDの状態と意味については,「ハードウェア取扱説明書」を参照してください。
(6) 禁止構成
外部クロックを指定するときは,同期先が同期元となるような構成にしないでください。そのような構成では,外部クロックが正しく同期できません。
図20-7 Sync-Eの禁止構成例1(双方で外部クロックとして指定する構成)
図20-8 Sync-Eの禁止構成例2(本装置で指定した外部クロックの同期先が本装置となる構成)
(7) 注意事項
- スタックポートを経由した外部クロック同期は未サポートです。メンバスイッチごとに外部クロックを指定してください。
- 一次基準クロックを端末に同期するには,マスタ−スレーブのネットワークで同期するため,ネットワークのすべての装置がSync-Eに対応する必要があります。
- ポートのリンク状態に関係なく,同期が取れているポートをクロックソースとして選択します。そのため,プロトコルによる経路切り替えが発生しても,外部クロックは切り替わらない場合があります。
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