コンフィグレーションガイド Vol.3


29.3.2 IPv6マルチキャストパケット中継処理

IPv6マルチキャストのパケット中継はハードウェアの中継処理,ソフトウェアの中継処理によって行われます。

〈この項の構成〉

(1) ハードウェアの中継処理

ハードウェアによるIPv6マルチキャストのパケット中継処理は次に示す四つの手順で実行されます。

  1. IPv6マルチキャスト中継エントリの検索

    IPv6マルチキャストグループ宛てのパケットを受信した場合,ハードウェアのIPv6マルチキャスト中継エントリから該当エントリを検索します。

  2. パケット受信インタフェースの正常性チェック

    1の手順でエントリが存在した場合,そのIPv6パケットが正しいインタフェースから受信されているかどうかをチェックします。

  3. フィルタリング

    IPv6フィルタリングテーブルに登録された情報を参照して中継するかどうかを判断します。

  4. ホップリミットに基づいた中継判断とTTL値のデクリメント

    パケット中のホップリミット値から中継するかを判断し,中継する場合は該当するパケットのホップリミット値をデクリメントします。

(2) ソフトウェアの中継処理

ソフトウェアによるIPv6マルチキャストパケット中継処理は次に示す場合ごとに処理が異なります。

(3) IPv6マルチキャスト経路情報またはIPv6マルチキャスト中継エントリの検索

受信したIPv6マルチキャストパケットのDA(宛先グループアドレス)とSA(送信元アドレス)に該当するエントリをIPv6マルチキャスト経路情報またはIPv6マルチキャスト中継エントリから検索します。IPv6マルチキャスト経路情報またはIPv6マルチキャスト中継エントリの検索方法を次の図に示します。

図29‒5 IPv6マルチキャスト経路情報またはIPv6マルチキャスト中継エントリの検索方法

[図データ]

(4) ネガティブキャッシュ

ネガティブキャッシュは,中継できないマルチキャストパケットをハードウェアによって廃棄する機能です。ネガティブキャッシュは中継先インタフェースの存在しない中継エントリです。ネガティブキャッシュは,中継できないマルチキャストパケットを受信すると,ハードウェアに登録します。その後,登録したマルチキャストパケットと同じアドレスのマルチキャストパケットを受信すると,そのパケットをハードウェアによって廃棄します。これによって,大量の中継できないマルチキャストパケットを受信しても,それを原因とする負荷上昇を抑えられます。