25.1.1 OSPFv3の特長
OSPFv3は,通常一つのAS内での経路決定に使用されます。OSPFv3では,AS内のすべての接続状態から構成するトポロジのデータベースが各ルータにあり,このデータベースに基づいて最短経路を計算します。そのため,OSPFv3はRIPngと比較して,次に示す特長があります。
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経路情報トラフィックの削減
OSPFv3では,ルータ間の接続状態が変化したときだけ,接続状態の情報をほかのルータに通知します。そのため,OSPFv3はRIPngのように定期的にすべての経路情報を通知するルーティングプロトコルと比較して,ルーティングプロトコルが占有するトラフィックが小さくなります。なお,OSPFv3では30分周期で,自ルータの接続状態の情報を他ルータに通知します。
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ルーティングループの抑止
OSPFv3を使用しているすべてのルータは,同じデータから成るデータベースを保持しています。各ルータは共通のデータに基づいて経路を選択します。したがって,RIPngのようなルーティングループ(中継経路の循環)は発生しません。
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コストに基づく経路選択
OSPFv3では,宛先まで到達できる経路が複数存在する場合,宛先までの経路上のコストの合計が最も小さい経路を選択します。これによって,RIPngと異なり経路へのコストを柔軟に設定できるため,中継段数に関係なく望ましい経路を選択できます。
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大規模なネットワークの運用
OSPFv3では,コストの合計が16777214以内の経路を扱えます。そのため,メトリックが1〜15の範囲であるRIPngと比較して,より大規模で経由ルータ数の多い経路が存在するネットワークの運用に適しています。