24.1.3 sFlowパケットフォーマット
本装置がコレクタに送信するsFlowパケット(フローサンプルとカウンタサンプル)について説明します。コレクタに送信するフォーマットはRFC3176で規定されています。sFlowパケットのフォーマットを次の図に示します。
|
なお,本装置では,一つのsFlowパケットにフローサンプルとカウンタサンプルは同時に入りません。
- 〈この項の構成〉
(1) sFlowヘッダ
sFlowヘッダへ設定される内容を次の表に示します。
設定項目 |
説明 |
サポート |
---|---|---|
バージョン番号 |
sFlowパケットのバージョン(バージョン2,4をサポート) |
○ |
アドレスタイプ |
エージェントのIPタイプ(IPv4=1,IPv6=2) |
○ |
エージェント IPアドレス |
エージェントのIPアドレス |
○ |
シーケンス番号 |
sFlowパケットの生成ごとに増加する番号 |
○ |
生成時刻 |
現在の時間(装置の起動時からのミリセカンド) |
○ |
サンプル数 |
この信号に含まれるサンプリング(フロー・カウンタ)したパケット数 (「図24‒4 sFlowパケットフォーマット」の例ではn+mが設定されます) |
○ |
(凡例)○:サポートする
(2) フローサンプル
フローサンプルとは,受信パケットのうち,他装置へ転送または本装置宛てと判定されるパケットの中から一定のサンプリング間隔でパケットを抽出し,コレクタに送信するためのフォーマットです。ただし,本装置は,本装置宛てのパケットのフローサンプルはサポートしません。フローサンプルにはモニタしたパケットに加えて,パケットには含まれていない情報(受信インタフェース,送信インタフェース,AS番号など)も収集するため,詳細なネットワーク監視ができます。フローサンプルのフォーマットを次の図に示します。
|
(a) フローサンプルヘッダ
フローサンプルヘッダへ設定する内容を次の表に示します。
設定項目 |
説明 |
サポート |
---|---|---|
sequence_number |
フローサンプルの生成ごとに増加する番号 |
○ |
source_id |
フローサンプルの装置内の発生源(受信インタフェース)を表すSNMP Interface Index |
○ |
sampling_rate |
フローサンプルのサンプリング間隔 |
○ |
sample_pool |
インタフェースに到着したパケットの総数 |
○ |
drops |
廃棄したフローサンプルの総数 |
○ |
input |
受信インタフェースのSNMP Interface Index。 インタフェースが不明な場合0を設定 |
○ |
output |
送信インタフェースのSNMP Interface Index※。 送信インタフェースが不明な場合は0を設定。 |
× |
(凡例)○:サポートする ×:サポートしない
注※ 本装置ではoutputをサポートしていないため0固定です。
(b) 基本データ形式
基本データ形式はヘッダ型,IPv4型およびIPv6型の3種類があり,このうち一つだけ設定できます。基本データ形式のデフォルト設定はヘッダ型です。IPv4型,IPv6型を使用したい場合はコンフィグレーションコマンドで設定してください。各形式のフォーマットを以降の表に示します。
設定項目 |
説明 |
サポート |
---|---|---|
packet_information_type |
基本データ形式のタイプ(ヘッダ型=1) |
○ |
header_protocol |
ヘッダプロトコル番号(ETHERNET=1) |
○ |
frame_length |
オリジナルのパケット長 |
○ |
header_length |
オリジナルからサンプリングした分のパケット長(デフォルト128) |
○ |
header<> |
サンプリングしたパケットの内容 |
○ |
(凡例)○:サポートする
注 IPパケットとして解析できない場合には,本フォーマットになります。
設定項目 |
説明 |
サポート※ |
---|---|---|
packet_information_type |
基本データ形式のタイプ(IPv4型=2) |
○ |
length |
IPv4パケットの長さ |
○ |
protocol |
IPプロトコルタイプ(例:TCP=6,UDP=17) |
○ |
src_ip |
送信元IPアドレス |
○ |
dst_ip |
宛先IPアドレス |
○ |
src_port |
送信元ポート番号 |
○ |
dst_port |
宛先ポート番号 |
○ |
tcp_flags |
TCPフラグ |
○ |
TOS |
IPのタイプオブサービス |
○ |
(凡例)○:サポートする
注※ 2段以上のVLAN Tag付きフレームが対象になった場合は,sFlowパケットに収集されません。
設定項目 |
説明 |
サポート※ |
---|---|---|
packet_information_type |
基本データ形式のタイプ(IPv6型=3) |
○ |
length |
低レイヤを除いたIPv6パケットの長さ |
○ |
protocol |
IPプロトコルタイプ(例:TCP=6,UDP=17) |
○ |
src_ip |
送信元IPアドレス |
○ |
dst_ip |
宛先IPアドレス |
○ |
src_port |
送信元ポート番号 |
○ |
dst_port |
宛先ポート番号 |
○ |
tcp_flags |
TCPフラグ |
○ |
priority |
優先度 |
○ |
(凡例)○:サポートする
注※ 2段以上のVLAN Tag付きフレームが対象になった場合は,sFlowパケットに収集されません。
(c) 拡張データ形式
拡張データ形式はスイッチ型・ルータ型・ゲートウェイ型・ユーザ型・URL型の5種類があります。拡張データ形式のデフォルト設定ではすべての拡張形式を収集し,コレクタに送信します。本形式はコンフィグレーションにより変更可能です。各形式のフォーマットを以降の表に示します。
拡張データ種別 |
説明 |
サポート |
---|---|---|
スイッチ型 |
スイッチ情報(VLAN情報など)を収集する。 |
○ |
ルータ型 |
ルータ情報(NextHopなど)を収集する。 |
○※1※2 |
ゲートウェイ型 |
ゲートウェイ情報(AS番号など)を収集する。 |
○※1※2 |
ユーザ型 |
ユーザ情報(TACACS/RADIUS情報など)を収集する。 |
○※2 |
URL型 |
URL情報(URL情報など)を収集する。 |
○※2 |
(凡例)○:サポートする
注※1 L2中継時はsFlowパケットに収集されません。
注※2 2段以上のVLAN Tag付きフレームが対象になった場合は,sFlowパケットに収集されません。
設定項目 |
説明 |
サポート |
---|---|---|
extended_information_type |
拡張データ形式のタイプ(スイッチ型=1) |
○ |
src_vlan |
受信パケットの802.1Q VLAN ID |
○ |
src_priority |
受信パケットの802.1p優先度 |
○ |
dst_vlan |
送信パケットの802.1Q VLAN ID |
×※ |
dst_priority |
送信パケットの802.1p優先度 |
×※ |
(凡例)○:サポートする ×:サポートしない
注※ 未サポートのため0固定です。
設定項目 |
説明 |
サポート |
---|---|---|
extended_information_type |
拡張データ形式のタイプ(ルータ型=2) |
○ |
nexthop_address_type |
次の転送先ルータのIPアドレスタイプ |
○※ |
nexthop |
次の転送先ルータのIPアドレス |
○※ |
src_mask |
送信元アドレスのプレフィックスマスクビット |
○ |
dst_mask |
宛先アドレスのプレフィックスマスクビット |
○ |
(凡例)○:サポートする
注※ 宛先アドレスへの経路がマルチパス経路の場合は0で収集されます。
設定項目 |
説明 |
サポート |
---|---|---|
extended_information_type |
拡張データ形式のタイプ(ゲートウェイ型=3) |
○ |
as |
本装置のAS番号 |
○ |
src_as |
送信元のAS番号 |
○※1 |
src_peer_as |
送信元への隣接AS番号 |
○※1※2 |
dst_as_path_len |
AS情報数(1固定) |
○ |
dst_as_type |
AS経路種別(2:AS_SEQUENCE) |
○ |
dst_as_len |
AS数(2固定) |
○ |
dst_peer_as |
宛先への隣接AS番号 |
○※1 |
dst_as |
宛先のAS番号 |
○※1 |
communities<> |
本経路に関するコミュニティ※3 |
× |
localpref |
本経路に関するローカル優先※3 |
× |
(凡例)○:サポートする ×:サポートしない
注※1 送受信先がダイレクト経路の場合は,AS番号が0で収集されます。
注※2 本装置から送信元を検索した場合の隣接AS番号です。実際に通過した隣接AS番号と異なる場合があります。
注※3 未サポートのため0固定です。
設定項目 |
説明 |
サポート |
---|---|---|
extended_information_type |
拡張データ形式のタイプ(ユーザ型=4) |
○ |
src_user_len |
送信元のユーザ名の長さ |
○ |
src_user<> |
送信元のユーザ名 |
○ |
dst_user_len |
宛先のユーザ名の長さ※ |
× |
dst_user<> |
宛先のユーザ名※ |
× |
(凡例)○:サポートする ×:サポートしない
注※ 未サポートのため0固定です。
設定項目 |
説明 |
サポート |
---|---|---|
extended_information_type |
拡張データ形式のタイプ(URL型=5) |
○ |
url_direction |
URL情報源 (source address=1,destination address=2) |
○ |
url_len |
URL長 |
○ |
url<> |
URL内容 |
○ |
(凡例)○:サポートする
(3) カウンタサンプル
カウンタサンプルは,インタフェース統計情報(到着したパケット数や,エラーの数など)を送信します。また,インタフェースの種別よりコレクタに送信するフォーマットが決定されます。カウンタサンプルのフォーマットを次の図に示します。
|
(a) カウンタサンプルヘッダ
カウンタサンプルヘッダへ設定される内容を次の表に示します。
設定項目 |
説明 |
サポート |
---|---|---|
sequence_number |
カウンタサンプルの生成ごとに増加する番号 |
○ |
source_id |
カウンタサンプルの装置内の発生源(特定のポート)を表すSNMP Interface Index |
○ |
sampling_interval |
コレクタへのカウンタサンプルの送信間隔 |
○ |
(凡例)○:サポートする
(b) カウンタサンプル種別
カウンタサンプル種別はインタフェースの種別ごとに分類され収集されます。カウンタサンプル種別として設定される内容を次の表に示します。
設定項目 |
説明 |
サポート |
---|---|---|
GENERIC |
一般的な統計(counters_type=1) |
×※1 |
ETHERNET |
イーサネット統計(counters_type=2) |
○ |
TOKENRING |
トークンリング統計(counters_type=3) |
×※1 |
FDDI |
FDDI統計(counters_type=4) |
×※1 |
100BaseVG |
VG統計(counters_type=5) |
×※1 |
WAN |
WAN統計(counters_type=6) |
×※1 |
VLAN |
VLAN統計(counters_type=7) |
×※2 |
(凡例)○:サポートする ×:サポートしない
注※1 本装置で未サポートなインタフェースタイプのためです。
注※2 本装置ではVLAN統計はサポートしていません。
(c) カウンタサンプル情報
カウンタサンプル情報はカウンタサンプル種別により収集される内容が変わります。VLAN統計以外はMIBで使われている統計情報(RFC)に従って送信されます。カウンタサンプル情報として設定される内容を次の表に示します。
設定項目 |
説明 |
サポート |
---|---|---|
GENERIC |
一般的な統計[RFC2233参照] |
× |
ETHERNET |
イーサネット統計[RFC2358参照] |
○※ |
TOKENRING |
トークンリング統計[RFC1748参照] |
× |
FDDI |
FDDI統計[RFC1512参照] |
× |
100BaseVG |
VG統計[RFC2020参照] |
× |
WAN |
WAN統計[RFC2233参照] |
× |
VLAN |
VLAN統計[RFC3176参照] |
× |
(凡例)○:サポートする ×:サポートしない
注※ イーサネット統計のうちifDirection,dot3StatsSymbolErrorsは収集できません。