コンフィグレーションガイド Vol.2


22.1.2 MIB概説

装置が管理し,SNMPマネージャに提供するMIBは,RFCで規定されたものと,装置の開発ベンダーが独自に用意する情報の2種類があります。

RFCで規定されたMIBを標準MIBと呼びます。標準MIBは規格化されているため提供情報の内容の差はあまりありません。装置の開発ベンダーが独自に用意するMIBをプライベートMIBと呼び,装置によって内容が異なります。ただし,MIBのオペレーション(情報の採取・設定など)は,標準MIB,プライベートMIBで共通です。オペレーションは,装置と目的のMIB情報を指定するだけです。装置はIPアドレスで,MIB情報はオブジェクトIDで指定します。

〈この項の構成〉

(1) MIB構造

MIBの構造はツリー構造になっています。MIBはツリー構造のため,各ノードを識別するために番号を付けて表す決まりになっています。rootから各ノードの数字を順番にたどって番号を付けることで個々のMIB情報を一意に識別できます。この番号列をオブジェクトIDと呼びます。オブジェクトIDはrootから下位のオブジェクトグループ番号をドットで区切って表現します。例えば,sysDescrというMIBをオブジェクトIDで示すと1.3.6.1.2.1.1.1になります。MIBツリーの構造例を次の図に示します。

図22‒6 MIBツリーの構造例

[図データ]

(2) MIBオブジェクトの表し方

オブジェクトIDは数字と.(ドット)(例:1.3.6.1.2.1.1.1)で表現します。しかし,数字の羅列ではわかりにくいため,マネージャによっては,sysDescrというニーモニックで指定できるものもあります。ニーモニックで指定する場合,SNMPマネージャがどのMIBのニーモニックを使えるか確認してから使用してください。また,本装置のSNMPコマンドで使用できるニーモニックについては,snmp lookupコマンドを実行することで確認できます。

(3) インデックス

MIBを指定するときのオブジェクトIDを使用しますが,一つのMIBに一つの意味だけある場合と一つのMIBに複数の情報がある場合があります。MIBを特定するためにはインデックス(INDEX)を使用します。インデックスは,オブジェクトIDの後ろに数字を付加して表し,何番目の情報かなどを示すために使用します。

一つのMIBに一つの意味だけがある場合,MIBのオブジェクトIDに".0"を付加して表します。一つのMIBに複数の情報がある場合,MIBのオブジェクトIDの後ろに数字を付加して何番目の情報であるか表します。例えば,インタフェースのタイプを示すMIBにifType(1.3.6.1.2.1.2.2.1.2)があります。本装置には複数のインタフェースがあります。特定のインタフェースのタイプを調べるには,"2番目のインタフェースのタイプ"というように具体的に指定する必要があります。MIBで指定するときは,2番目を示すインデックス.2をMIBの最後に付加してifType.2(1.3.6.1.2.1.2.2.1.2.2)と表します。

インデックスの表し方は,各MIBによって異なります。RFCなどのMIBの定義で,INDEX{ xxxxx,yyyyy,zzzzzz }となっているMIBのエントリは,xxxxxとyyyyyとzzzzzzをインデックスに持ちます。それぞれのMIBについて,どのようなインデックスを取るか確認してMIBのオペレーションを行ってください。

(4) 本装置のサポートMIB

本装置では,装置の状態,インタフェースの統計情報,装置の機器情報など,管理に必要なMIBを提供しています。なお,プライベートMIBの定義(ASN.1)ファイルは,ソフトウェアとともに提供します。

各MIBの詳細については,「MIBレファレンス」を参照してください。