21.1.3 ドメインの設計
CFMを使用する際には,まずドメインを設計します。ドメインの構成と階層構造を設計し,次に個々のドメインの詳細設計をします。
ドメインの設計には,ドメインレベル,MA,MEPおよびMIPの設定が必要です。
(1) ドメインの構成と階層構造の設計
ドメインの境界となるMAのポートをMEPに設定し,低いドメインと重なるポートをMIPに設定します。次に示す図の構成例を基に,ドメインの構成および階層構造の設計手順を示します。
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事業者A,事業者B,事業者全体,ユーザという単位でドメインを設計し,区分に応じたドメインレベルを設定します。また,次の項目を想定しています。
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事業者A,事業者B,事業者全体は,ユーザに提供する回線が利用できることを保障するために,ユーザに提供するポートを含めた接続性を管理
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ユーザは,事業者の提供する回線が使用できるかどうかを監視するために,事業者から提供される回線の接続性を管理
ドメインの設計は,次に示すように低いレベルから順に設定します。
• ドメインレベル1,2の設定
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ドメインレベル1でMA“Group_A”を設定します。
この例では,一つのドメインを一つのMAで管理していますが,ドメイン内をVLANグループ単位に分けて詳細に管理したい場合は,管理する単位でMAを設定します。
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ドメインの境界に当たる装置B,Dで,MAのポートにMEPを設定します。
事業者はユーザに提供するポートを含めた接続性を管理するため,Up MEPを設定します。
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ドメインレベル2も同様に,MAを設定し,装置E,GにUp MEPを設定します。
図21‒13 ドメインレベル1,2の設定
• ドメインレベル4の設定
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ドメインレベル4でMA“Group_C”を設定します。
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ドメインレベル4の境界に当たる装置B,Gで,MAのポートにMEPを設定します。
事業者はユーザに提供するポートを含めた接続性を管理するため,Up MEPを設定します。
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ドメインレベル4はドメインレベル1と2を包含しているため,それぞれの中継点である装置D,EにMIPを設定します。
低いドメインのMEPを高いドメインでMIPに設定すると,LoopbackやLinktraceを使って自分で管理するドメインでの問題か,低いレベルで管理するドメインでの問題かを切り分けられるため,調査範囲を特定しやすくなります。
図21‒14 ドメインレベル4の設定
• ドメインレベル7の設定
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ドメインレベル7でMA“Group_D”を設定します。
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ドメインレベル7の境界に当たるA,Hで,MAのポートにMEPを設定します。
ユーザは事業者から提供される回線の接続性を管理するため,Down MEPを設定します。
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ドメインレベル7はドメインレベル4を包含しているため,中継点である装置B,GにMIPを設定します。
ドメインレベル1と2は,ドメインレベル4の中継点として設定しているため,ドメインレベル7では設定する必要はありません。
図21‒15 ドメインレベル7の設定
(2) 個々のドメインの詳細設計
個々の詳細設計では,Loopback,Linktraceを適用したい個所にMIPを設定します。
MIP設定前の構成およびMIP設定後の構成の例を次の図に示します。
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ドメインの内側でLoopback,Linktraceの宛先にしたいポートをMIPに設定します。この例では,装置B,DにMIPを設定しています。この設定によって装置B,DのMIPに対し,Loopback,Linktraceを実行できます。また,Linktraceのルート情報として応答を返すようになります。
MIPを設定していない装置CはLoopback,Linktraceの宛先として指定できません。また,Linktraceに応答しないためルート情報に装置Cの情報は含まれません。
(3) ドメインの構成例
ドメインは階層的に設定できますが,階層構造の内側が低いレベル,外側が高いレベルとなるように設定する必要があります。
ドメインの構成例と構成の可否を次の表に示します。
構成状態 |
構成例 |
構成の可否 |
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ドメインの隣接 |
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可 |
ドメインの接触 |
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可 |
ドメインのネスト |
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可 |
ドメインの隣接とネストの組み合わせ |
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可 |
ドメインの交差 |
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不可 |