14.4.1 概要
レイヤ3冗長切替機能は,2台のスイッチが同一のIPアドレスとMACアドレスを引き継いで切り替えることで,PCなどからのデフォルトゲートウェイを経由した通信を継続できるようにします。
GSRPレイヤ3冗長切替機能の概要を次の図に示します。なお,ここではPCなどを接続するネットワークを下流ネットワークと呼び,そこからIP中継する先のネットワークを上流ネットワークと呼びます。GSRPのマスタ/バックアップ切り替えは下流ネットワーク側に反映します。
(1) デフォルトゲートウェイのIPアドレス
GSRPで冗長化するデフォルトゲートウェイのIPアドレスは,2台のGSRPスイッチで同じVLANに同じアドレスを設定します。マスタ状態のGSRPスイッチはVLANがアップ状態となり,デフォルトゲートウェイとしてIP中継を行います。バックアップ状態のGSRPスイッチのVLANはダウン状態となりIP中継を行いません。
(2) デフォルトゲートウェイのMACアドレス
GSRPで冗長化するデフォルトゲートウェイのMACアドレスはGSRPのプロトコル専用の仮想MACアドレスを使用します。仮想MACアドレスは,VLANグループIDごとに異なるアドレスを使用します。
マスタ状態の装置は,下流のLANスイッチに仮想MACアドレスを学習させるために,仮想MACアドレスを送信元MACアドレスとしたGSRP制御フレーム(仮想MACアドレス学習用フレーム)を定期的に送信します。
GSRPで使用する仮想MACアドレスを次の図と表に示します。
VLANグループIDが8以下の場合は,次に示す方法で仮想MACアドレスを生成します。
項目 |
値 |
---|---|
GSRPグループID |
GSRPグループID1〜4に対して,0〜3の値を設定します。レイヤ3冗長切替機能では,GSRPグループIDは1〜4の値である必要があります。 |
VLANグループID |
VLANグループID1〜8に対して,0〜7の値を設定します。 |
固定(3ビット) |
最下位3ビットは7固定とします。 |
VLANグループIDが9以上の場合は,0000.8758.1311〜0000.8758.1350の範囲の仮想MACアドレスをVLANグループID 9〜64に順番に割り当てます。
(3) 仮想MACアドレス学習用フレームの送信VLANポートと送信間隔
マスタ状態のVLANグループに所属するVLANのVLANポート単位に,設定した送信間隔で仮想MACアドレス学習用フレームを送信します。設定した送信間隔で送信対象のVLANポートにフレームを送信できるように,1秒間に送信するフレーム数(送信レート)を決定します。送信レートは,次に示す算出式に従い,自動的に100pps以内で変動します。なお,最大値(100pps)を超える送信レートではフレームを送信しません。
- [仮想MACアドレス学習用フレームの送信レート算出式]
-
送信レート(pps)=送信対象のVLANポート数÷送信間隔(秒)
例えば,送信対象のVLANポート数が200(VLANポート)で送信間隔を5秒に設定した場合,送信レートは40ppsになります。
送信レートの算出で100ppsを超えた状態では,仮想MACアドレス学習用フレームを送信しないVLANポートが存在するため,注意してください。