コンフィグレーションガイド Vol.1
- <この節の構成>
- (1) 他機能との共存
- (2) 制御パケットのフラッディング
- (3) マルチキャストルータポートの設定
- (4) IGMPバージョン3ホストとの接続
- (5) MLDバージョン2ホストとの接続
- (6) 運用コマンド実行によるエントリの再学習
- (7) IPv4マルチキャスト機能との同時使用
- (8) IPv6マルチキャスト機能との同時使用
- (9) IGMP即時離脱機能
- (10) QoSとの共存
(1) 他機能との共存
「16.3 レイヤ2スイッチ機能と他機能の共存について」を参照してください。
(2) 制御パケットのフラッディング
IGMP snooping/MLD snoopingが抑止対象とするマルチキャストトラフィックはデータトラフィックであり,ルーティングプロトコルなどの制御パケットはVLAN内の全ルータや全ホストが受信できるようにVLAN内にfloodingする必要があります。そのため,本装置では,次の表に示すアドレス範囲に含まれる宛先IPアドレスを持つパケットは,VLAN内の全ポートに中継します。次の表に示すアドレス範囲外の宛先IPアドレスを持つパケットは,IGMP snooping/MLD snoopingの学習結果に従って中継します。
表24-7 制御パケットのフラッディング
プロトコル アドレス範囲 IGMP snooping 224.0.0.0/24 MLD snooping ff02::/16 ただし,制御パケットのマルチキャストMACアドレスと重複するマルチキャストグループアドレスは使用できません。上の表に示したアドレス範囲以外のアドレスで,使用できないマルチキャストグループアドレスを次の表に示します。
表24-8 MACアドレス制御方式で使用できないマルチキャストグループアドレス
プロトコル マルチキャストグループアドレス IGMP snooping 224.128.0.0/24 225.0.0.0/24 225.128.0.0/24 226.0.0.0/24 226.128.0.0/24 227.0.0.0/24 227.128.0.0/24 228.0.0.0/24 228.128.0.0/24 229.0.0.0/24 229.128.0.0/24 230.0.0.0/24 230.128.0.0/24 231.0.0.0/24 231.128.0.0/24 232.0.0.0/24 232.128.0.0/24 233.0.0.0/24 233.128.0.0/24 234.0.0.0/24 234.128.0.0/24 235.0.0.0/24 235.128.0.0/24 236.0.0.0/24 236.128.0.0/24 237.0.0.0/24 237.128.0.0/24 238.0.0.0/24 238.128.0.0/24 239.0.0.0/24 239.128.0.0/24 上の表に示したアドレスをマルチキャストグループアドレスに使用した場合,該当マルチキャストグループアドレス宛てのマルチキャストデータは,VLAN内の全ポートに中継します。
トランクポートを設定している場合は,Untagged制御パケットを受信しないように注意してください。構成上,トランクポートでUntagged制御パケットを扱う場合は,ネイティブVLANを設定してください。
(3) マルチキャストルータポートの設定
(a) 冗長構成時
スパニングツリーによって冗長構成を採り,スパニングツリーによってトポロジー変更でルータとの接続が変わる可能性がある場合は,ルータと接続する可能性のある全ポートに対してマルチキャストルータポートの設定をしておく必要があります。
(b) レイヤ2スイッチ間の接続時
複数のレイヤ2スイッチだけで構成されるVLANで,マルチキャストトラフィックの送信ホストを収容するレイヤ2スイッチと接続するポートをマルチキャストルータポートに設定しておく必要があります。
冗長構成を採る場合は,送信ホストを収容するレイヤ2スイッチと接続する可能性のある全ポートに対してマルチキャストルータポートの設定をしておく必要があります。
(4) IGMPバージョン3ホストとの接続
本装置にIGMPv3ホストを接続する場合,次のどちらかの対応が必要です。
- 該当するVLANにIPv4マルチキャストを使用して,IGMPバージョンを3に設定してください。
- IGMPv3ルータを接続して該当するルータが代表クエリアになるようにIPアドレスを設定してください。
また,IGMPv3ホストからのIGMPv3メッセージがフラグメント化されない構成で運用してください。
(5) MLDバージョン2ホストとの接続
本装置にMLDv2ホストを接続する場合,次のどちらかの対応が必要です。
- 該当するVLANにIPv6マルチキャストを使用して,MLDバージョンを2に設定してください。
- MLDv2ルータを接続して該当するルータが代表クエリアになるようにIPアドレスを設定してください。
また,MLDv2ホストからのMLDv2メッセージがフラグメント化されない構成で運用してください。
(6) 運用コマンド実行によるエントリの再学習
IGMP/MLD snoopingの運用コマンドのほかに,下記のコマンドを実行した場合,それまでに学習したエントリをクリアし,再学習を行います。運用コマンド実行後は,一時的にマルチキャスト通信が中断します。
- copyコマンドでrunning-configに上書きした場合
- restart vlanコマンド
(7) IPv4マルチキャスト機能との同時使用
(a) IGMP snooping設定追加時の一時的通信停止
IPv4マルチキャストを使用しているVLANにIGMP snoopingを追加設定した場合,一時的にマルチキャスト通信が停止します。IGMP snooping設定後,IGMP Report(加入要求)を受信することでマルチキャスト通信が再開します。
(b) 静的グループ参加機能との併用
IPv4マルチキャストの静的グループ参加機能を使用しているVLANでは,ホストからIGMP Report(加入要求)が送信されないおそれがあります。IGMP snoopingと同時使用する場合,IGMP Report(加入要求)が送信されないとマルチキャスト通信ができないため,静的グループ参加機能を使用しているVLANでマルチキャスト通信が必要なポートにはマルチキャストルータポートを設定してください。
(8) IPv6マルチキャスト機能との同時使用
(a) MLD snooping設定追加時の一時的通信停止
IPv6マルチキャストを使用しているVLANにMLD snoopingを追加設定した場合,一時的にマルチキャスト通信が停止します。MLD snooping設定後,MLD Report(加入要求)を受信することでマルチキャスト通信が再開します。
(b) 静的グループ参加機能との併用
IPv6マルチキャストの静的グループ参加機能を使用しているVLANでは,ホストからMLD Report(加入要求)が送信されないおそれがあります。MLD snoopingと同時使用する場合,MLD Report(加入要求)が送信されないとマルチキャスト通信ができないため,静的グループ参加機能を使用しているVLANでマルチキャスト通信が必要なポートにはマルチキャストルータポートを設定してください。
(9) IGMP即時離脱機能
IGMP即時離脱機能を使用した場合,IGMPv2 LeaveおよびIGMPv3 Report(離脱要求)メッセージを受信すると,該当ポートへのマルチキャスト通信をすぐに停止します。このため,本機能を使用する場合は,接続ポートに各マルチキャストグループの受信者の端末を1台だけ設置することを推奨します。
接続ポートに同一マルチキャストグループの受信者の端末を複数台設置した場合は,一時的にほかの受信者へのマルチキャスト通信が停止します。この場合,受信者からのIGMP Report(加入要求)メッセージを再度受信することで,マルチキャスト通信は再開します。
(10) QoSとの共存
IGMP snooping/MLD snoopingとQoS(受信側)は,同一VLAN内で共存できません。
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