コンフィグレーションガイド Vol.1
本装置ではswrt_multicast_tableコマンドを設定することによって,IPv4マルチキャストとIGMP snoopingの両方を同一のVLAN上で同時に使用できます。IPv4マルチキャストとIGMP snoopingを同時に使用する場合,該当するVLANに必ずIPv4マルチキャストを使用してください。
- <この項の構成>
- (1) IPアドレスの学習
- (2) IPv4マルチキャストパケットのレイヤ2中継
- (3) IPv4マルチキャストパケットのレイヤ3中継
- (4) IPv4マルチキャスト同時使用時のSpecific Query送信
(1) IPアドレスの学習
IGMP snoopingが設定されたVLANでIGMPメッセージを受信することによってマルチキャストIPアドレスをダイナミックに学習します。学習したマルチキャストIPアドレスの情報はIPv4マルチキャストのマルチキャスト中継エントリに設定します。
(a) エントリの登録
IGMPv1/IGMPv2 ReportメッセージおよびIGMPv3 Report(加入要求)メッセージを受信すると,メッセージに含まれるマルチキャストグループアドレスからマルチキャストIPアドレスを学習し,IGMPv1/IGMPv2/IGMPv3 Reportメッセージを受信したポートにだけマルチキャストグループ宛てのトラフィックを転送するエントリを作成します。
(b) エントリの削除
学習したマルチキャストIPアドレスは次のどれかの場合に,すべてのポートにグループメンバーが存在しなくなった時点で削除されます。
- IGMPv2 Leaveメッセージを受信した場合
IGMPv2 Leaveメッセージを受信したポートに対して,本装置からGroup-Specific Queryメッセージを1秒間隔で2回送信します(Group-Specific Queryメッセージの送信は,本装置が代表クエリアのときだけです)。応答がない場合にエントリからこのポートだけを削除します(このポートへのマルチキャストトラフィックの中継を抑止します)。VLAN内のすべてのポートにグループメンバーが存在しなくなった場合にエントリ自体を削除します。
IGMP即時離脱機能を使用している場合は,IGMPv2 Leaveメッセージを受信すると,エントリから該当ポートをすぐに削除します。
- IGMPv3 Report(離脱要求)メッセージを受信した場合
IGMPv3 Report(離脱要求)メッセージでマルチキャストアドレスレコードタイプがCHANGE_TO_INCLUDE_MODEのIGMPv3 Report(離脱要求)メッセージを受信した場合,受信したポートに対して,本装置からGroup-Specific Queryメッセージを1秒間隔で2回送信します(Group-Specific Queryメッセージの送信は,本装置が代表クエリアのときだけです)。応答がない場合にエントリからこのポートだけを削除します(このポートへのマルチキャストトラフィックの中継を抑止します)。VLAN内のすべてのポートにグループメンバーが存在しなくなった場合にエントリ自体を削除します。マルチキャストアドレスレコードタイプがBLOCK_OLD_SOURCESのIGMPv3 Reportメッセージを受信した場合は,本装置からGroup-and-Source-Specific Queryメッセージを1秒間隔で2回送信します(Group-and-Source-Specific Queryメッセージの送信は,本装置が代表クエリアのときだけです)。Group-Source-and-Specific Queryメッセージの応答に関わらず,エントリはタイムアウトで削除処理を行います。
IGMP即時離脱機能を使用している場合は,マルチキャストアドレスレコードタイプがCHANGE_TO_INCLUDE_MODEのIGMPv3 Report(離脱要求)メッセージを受信すると,エントリから該当ポートをすぐに削除します。
- 注
- タイムアウト時間は,Query Interval(QQICフィールドの値)×2+Query Response Intervalで算出します。
- IGMPv1/IGMPv2/IGMPv3 Report(加入要求)メッセージを受信してから一定時間経過した場合
マルチキャストルータは直接接続するインタフェース上にグループメンバーが存在するかを確認するため,定期的にQueryメッセージを送信します。本装置はルータからのIGMP Queryメッセージを受信した場合,VLAN内の全ポートに中継します。IGMP Queryメッセージに対する応答がない場合,エントリからこのポートだけを削除します。すべてのポートから応答がない場合は,エントリ自体を削除します。
本装置では,エントリを削除するタイムアウト時間を260秒(デフォルト値)としています。260秒間IGMPv1/IGMPv2/IGMPv3 Report(加入要求)メッセージを受信しない場合,対応するエントリを削除します。
IGMPv3で運用しているVLANで他装置が代表クエリアの場合,タイムアウト時間は代表クエリアからのIGMPv3 Queryメッセージ(QQICフィールド)から算出します。自装置が代表クエリアの場合またはIGMPv2で運用している場合は,デフォルト値となります。この場合,該当するVLANではQuery Intervalを125秒で運用してください。
- 注
- タイムアウト時間は,Query Interval(QQICフィールドの値)×2+Query Response Intervalで算出します。
(2) IPv4マルチキャストパケットのレイヤ2中継
IPv4マルチキャストパケットの受信VLAN内のレイヤ2中継はIPアドレスベースで処理します。IGMP snoopingの結果によるレイヤ2中継は,IGMP Report(加入要求)メッセージを受信したポートすべてに中継します。
(3) IPv4マルチキャストパケットのレイヤ3中継
IPv4マルチキャストによるVLAN間のレイヤ3中継時に,中継先のVLANでIGMP snoopingが動作している場合,レイヤ3中継されたマルチキャストトラフィックは,中継先のVLAN内でIGMP snoopingの学習結果に従って中継されます。
(4) IPv4マルチキャスト同時使用時のSpecific Query送信
IPv4マルチキャストが動作することで本装置がVLAN内の代表クエリアである場合,IGMP LeaveメッセージまたはIGMPv3 Report(離脱要求)メッセージ受信によるGroup-Specific QueryまたはGroup-and-Source-Specific Queryの送信は,受信ポートだけでなくVLAN内の全ポートに送信します。
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