トラブルシューティングガイド
IPv6 DHCPリレーの通信トラブルが発生する要因として考えられるのは,次の3種類があります。
- IPv6 DHCPリレーに関するコンフィグレーションの変更
- ネットワーク構成変更
- IPv6 DHCPサーバの障害
上記2.については,ネットワーク構成の変更前と変更後の差分を調べ,通信ができなくなるような原因がないか確認してください。
ここでは,クライアントの設定は確認されているものとし,上記1.および3.に示す「コンフィグレーションを変更したあと,IPv6 DHCPサーバから情報が配布されなくなった」および「コンフィグレーションおよびネットワーク構成は正しいのに,クライアントにプレフィックス(アドレス)が割り振られないため,IP通信ができない」というケースについて,障害部位および原因の切り分け手順を示します。
障害部位および原因の切り分け方法は,次のフローに従ってください。
図3-14 IPv6 DHCPリレーの障害解析手順
- <この項の構成>
- (1) ログおよびインタフェースの確認
- (2) 障害範囲の特定
- (3) 隣接装置とのNDP解決情報の確認
- (4) ユニキャスト経路情報の確認
- (5) フィルタ/QoS設定情報の確認
- (6) IPv6 DHCPリレー設定情報の確認
(1) ログおよびインタフェースの確認
クライアントにプレフィックス/アドレスが割り振られなくなる原因の一つにクライアント−サーバ間で通信ができなくなっていることが考えられます。本装置が表示するログやshow ipv6 interfaceコマンドによるインタフェースのup/down状態を確認してください。手順については「3.10.1 通信できない,または切断されている」を参照してください。
(2) 障害範囲の特定
本装置に障害がない場合は,通信していた相手との間のどこかに障害が発生している可能性があります。通信相手とのどこの部分で障害が発生しているか障害範囲を特定する手順を次に示します。
- 本装置にログインします。
- ping ipv6コマンドを使って通信できない両方の相手との疎通を確認してください。ping ipv6コマンドの操作例および実行結果の見方は「コンフィグレーションガイド」を参照してください。
- ping ipv6コマンドで通信相手との疎通が確認できなかった場合は,さらにping ipv6コマンドを使って本装置に近い装置から順に通信相手に向けて疎通を確認してください。
- ping ipv6コマンド実行の結果,障害範囲が隣接装置の場合は「(3) 隣接装置とのNDP解決情報の確認」に,リモート先の装置の場合は「(4) ユニキャスト経路情報の確認」に進んでください。
(3) 隣接装置とのNDP解決情報の確認
ping ipv6コマンドによって隣接装置との疎通が確認できないときは,NDPによるアドレスが解決できていないことが考えられます。本装置と隣接装置間のアドレス解決状態を確認する手順を次に示します。
- 本装置にログインします。
- show ipv6 neighborsコマンドを使って隣接装置間とのアドレス解決状態(NDPエントリ状態の有無)を確認してください。
- 隣接装置間とのアドレスが解決している(NDPエントリ情報あり)場合は,「(4) ユニキャスト経路情報の確認」に進んでください。
- 隣接装置間とのアドレスが解決していない(NDPエントリ情報なし)場合は,隣接装置と本装置のIPネットワーク設定が疎通できる設定になっているかを確認してください。
(4) ユニキャスト経路情報の確認
隣接装置とのアドレスが解決しているにもかかわらず通信できない,通信相手との途中の経路で疎通できなくなる,または通信相手までの経路がおかしいなどの場合は,本装置が取得した経路情報を確認する必要があります。確認手順を次に示します。
- 本装置にログインします。
- show ipv6 routeコマンドを使って本装置が取得した経路情報を確認してください。
- 本装置が取得した経路情報の中に,通信障害となっているインタフェースの経路情報がない場合やネクストホップアドレスが不正の場合は,「3.11 IPv6ユニキャストルーティングの通信障害」に進んでください。
- 本装置が取得した経路情報の中に,通信障害となっているインタフェースの経路情報がある場合は,通信できないインタフェースに設定している次の機能に問題があると考えられます。該当する機能の調査を行ってください。
- フィルタ/QoS機能
「(5) フィルタ/QoS設定情報の確認」に進んでください。
- IPv6 DHCPリレー
「(6) IPv6 DHCPリレー設定情報の確認」に進んでください。
(5) フィルタ/QoS設定情報の確認
本装置で,物理的障害がなく,経路情報も正しく設定されているにもかかわらず通信できない場合は,フィルタによって特定のパケットだけを廃棄する設定になっているか,QoS制御の帯域監視,廃棄制御またはシェーパによってパケットが廃棄されている可能性があります。
したがって,コンフィグレーションのフィルタおよびQoS制御の設定条件が正しいか,システム構築での帯域監視,廃棄およびシェーパのシステム運用が適切であるかを確認してください。手順については「3.25 フィルタ/QoSの設定により生じる通信障害」を参照してください。
(6) IPv6 DHCPリレー設定情報の確認
IPv6 DHCPサーバに貸し出し用プレフィックス/アドレスが十分に残っている場合,IPv6 DHCPリレーのコンフィグレーションの設定誤りによってクライアントにプレフィックス/アドレスが割り振られなかったという原因が考えられます。
次にコンフィグレーションの確認手順を示します。
- コンフィグレーションコマンドipv6 dhcp relay destinationには,IPv6 DHCPサーバもしくはIPv6 DHCPリレーのIPv6アドレス,またはIPv6 DHCPサーバの存在するネットワークへのインタフェースが設定されているか確認してください。
- クライアント側のインタフェースにコンフィグレーションコマンドipv6 dhcp relay destinationが設定されているか確認してください。
- 該当クライアントへプレフィックス/アドレスを貸与させたいIPv6 DHCPサーバのIPv6アドレス(またはインタフェース)が,コンフィグレーションコマンドipv6 dhcp relay destinationで設定されているかを確認してください。
- コンフィグレーションコマンドipv6 dhcp relay hop-limitに設定しているhop-limit値がクライアントから見て正しいhop値以上となっているかを確認してください。
All Rights Reserved, Copyright(C), 2005, 2012, ALAXALA Networks, Corp.