トラブルシューティングガイド
この項では,Autonomous Extensible Ring Protocolの障害について説明します。
Autonomous Extensible Ring Protocolは,リングトポロジーでのレイヤ2ネットワークの冗長化プロトコルで,以降,Ring Protocolと呼びます。
Ring Protocol運用時に通信ができない場合は,解析フローに従って,現象を把握し原因の切り分けを行ってください。
図3-3 解析フロー
Ring Protocol運用時に正常に動作しない場合,またはリングネットワークの障害を検出する場合は,該当のリングネットワークを構成するすべてのノードに対して,次の表に示す障害解析方法に従って,原因の切り分けを行ってください。
表3-16 Ring Protocolの障害解析方法
項番 確認内容・コマンド 対応 1 show axrpコマンドを実行し,Ring Protocolの動作状態を確認してください。 "Oper State"の内容に"enable"が表示されている場合,項番3へ。 "Oper State"の内容に"-"が表示されている場合,Ring Protocolが動作するために必要なコンフィグレーションに設定されていないものがあります。コンフィグレーションを確認してください。 "Oper State"の内容に"disable"が表示されている場合,Ring Protocolは無効となっています。コンフィグレーションを確認してください。 "Oper State"の内容に"Not Operating"が表示されている場合,Ring Protocolが動作していません。コンフィグレーションに矛盾(本装置の動作モード,および属性とリングポートの組み合わせが適切でないなど)がないか,コンフィグレーションを確認してください。コンフィグレーションに矛盾がない場合,AX6700S,AX6600SまたはAX6300Sは項番2へ。AX3800S,AX3600SまたはAX2400Sは項番3へ。 2 show loggingコマンドを実行し,Ring Protocolの初期動作としてMACアドレステーブルへのエントリ登録の正常性を確認してください。 "The MAC address entry can't be registered at hardware tables."のメッセージが出力されていない場合には,項番3へ。 "The MAC address entry can't be registered at hardware tables."のメッセージが出力されている場合には,Ring Protocolが動作する上で必要なMACアドレステーブルへのエントリ設定に失敗しています。マニュアル「メッセージ・ログレファレンス」の該当個所を参照し,[対応]の記述内容に従って対応してください。また,「4.1.2 MACアドレステーブルのリソース不足が発生した場合の対処」も参照してください。 3 show axrpコマンドを実行し,動作モードと属性を確認してください。 "Mode"と"Attribute"の内容がネットワーク構成どおりの動作モードと属性になっている場合には,項番4へ。 上記が異なる場合には,コンフィグレーションを確認してください。 4 show axrpコマンドを実行し,各VLANグループのリングポート,およびその状態を確認してください。 "Ring Port"と"Role/State"の内容がネットワーク構成どおりのポートと状態になっている場合には,項番5へ。 上記が異なる場合には,コンフィグレーションを確認してください。 5 show axrp detailコマンドを実行し,制御VLAN IDを確認してください。 "Control VLAN ID"の内容がネットワーク構成どおりのVLAN IDとなっている場合は,項番6へ。 上記が異なる場合には,コンフィグレーションを確認してください。
例:リングを構成する各装置で制御VLAN IDが異なっている。6 show axrp detailコマンドを実行し,VLANグループに属しているVLAN IDを確認してください。 "VLAN ID"の内容がネットワーク構成どおりのVLAN IDとなっている場合は,項番7へ。 上記が異なる場合には,コンフィグレーションを確認してください。
例:リングを構成する各装置でVLANグループに属しているVLAN IDが異なっている。7 show axrp detailコマンドを実行し,ヘルスチェックフレームの送信間隔のタイマ値とヘルスチェックフレームの保護時間のタイマ値を確認してください。 ヘルスチェックフレームの保護時間のタイマ値"Health Check Hold Time"が,ヘルスチェックフレームの送信間隔のタイマ値"Health Check Interval"より大きい(伝送遅延も考慮されている)場合は,項番8へ。 ヘルスチェックフレームの保護時間のタイマ値がヘルスチェックフレームの送信間隔のタイマ値より小さい,または等しい(伝送遅延が考慮されていない)場合には,コンフィグレーションを確認し,設定を見直してください。 8 show vlan detailコマンドを実行し,Ring Protocolで使用しているVLANとそのポートの状態を確認してください。 VLANおよびそのポートの状態に異常がない場合は,項番9へ。
また,スパニングツリーまたはGSRPを併用する構成の場合には項番10も,多重障害監視機能を適用する構成の場合には項番11も確認してください。異常がある場合は,コンフィグレーションの確認も含め,その状態を復旧してください。 9 フィルタ,QoS制御の設定を確認してください。 フィルタ,QoS制御によって,Ring Protocolで使用する制御フレームが廃棄されている可能性があります。「3.25.1 フィルタ/QoS設定情報の確認」を参照し,確認してください。また,マニュアル「コンフィグレーションガイド」を参照してください。 10 スパニングツリー,またはGSRPを併用する構成の場合,仮想リンクの設定を確認してください。 仮想リンクの設定がネットワーク構成どおりの設定となっているか,コンフィグレーションを確認してください。
- Ring Protocolとスパニングツリー,またはGSRPを併用している装置で,仮想リンクの設定がされているか確認してください。
- リングネットワーク全体の装置で,仮想リンクに使用しているVLANがRing ProtocolのVLANグループに設定されているか確認してください。
11 多重障害監視機能を適用している場合は,show axrp detailコマンドを実行し,多重障害監視の監視モードを確認してください。 共有ノードに"monitor-enable",その他の装置に"transport-only"が設定されている場合は,項番12へ。 上記が異なる場合には,コンフィグレーションを確認してください。 12 show axrp detailコマンドを実行し,バックアップリングIDと多重障害監視用VLAN IDを確認してください。 "Backup Ring ID"と"Control VLAN ID"がネットワーク構成どおりのバックアップリングIDと多重障害監視用VLAN IDになっている場合は,項番13へ。 上記が異なる場合には,コンフィグレーションを確認してください。 13 show axrp detailコマンドを実行し,多重障害監視フレーム送信間隔のタイマ値,および多重障害監視フレームを受信しないで多重障害発生と判断するまでの保護時間のタイマ値を確認してください。 "Multi Fault Detection Hold Time"が,"Multi Fault Detection Interval"より大きい(伝送遅延も考慮されている)ことを確認してください。 上記が異なる場合には,コンフィグレーションを確認してください。
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