解説書 Vol.1

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5.3.4 トラフィック制御

本装置が行うトラフィック制御機能には,次に示す4種類があります。

  1. キュー制御
    パケットをキューイングするとき,キューイング優先度によってキューイング容量をクラス分けすれば,キュー廃棄を制御する機能です。また,送信パケットにDEビットを付加し,フレームリレー網での廃棄可能性を制御することもできます。
  2. PVC帯域制御
    PVCごとに帯域保証を行う機能で,最低レート保証とピークレート制限とがあります。
  3. 送信制御
    パケットの優先度に応じて送信順序を制御する機能です。優先度は8種類で,出力優先制御,最低帯域保証,均等保証の3種類があります。
  4. 輻輳制御
    フレームリレー網の輻輳状態によって,PVC単位でピークレートを動的に制御する機能です。

フレームリレー網へパケットを送信する動作は次の3段階に分けることができます。

  1. 送信回線,PVC,キューイング優先度,出力優先度決定
    フォワーディング,アドレス解決,QoS機能によって,送信回線,PVC,キューイング優先度,出力優先度を決定します。
  2. 送信キューイング
    送信パケットを送信キューにキューイングします。このとき,キューが輻輳している場合は送信パケットを廃棄します。
  3. 送信スケジューリング
    送信キューからパケットを取り出す順序を決定して,回線に送信します。

パケット送信動作とトラフィック制御機能との関係を次の表に示します。また,本装置では,PVCごとに出力優先クラスに対応する8個の送信キューを持っています。

表5-29 パケット送信動作とトラフィック制御機能との関係

送信動作 関連するトラフィック制御機能
送信回線,PVC,キューイング優先度,出力優先度決定
(フォワーディング,アドレス解決,Qos機能)
送信キューイング
  • キュー制御
送信スケジューリング
  • PVC帯域制御(最低レート保証とピークレート制限)
  • 送信制御機能(出力優先制御/最低帯域保証/均等保証)
  • 輻輳制御

(凡例) −:該当しない


トラフィック制御機能の詳細を次に示します。

<この項の構成>
(1) キュー制御
(2) PVC帯域制御
(3) 送信制御機能(出力優先制御/最低帯域保証/均等保証)
(4) 輻輳制御

(1) キュー制御

キューイング優先度は4種類あります。キューイング優先度1が最も廃棄されやすく,キューイング優先度4が最も廃棄されにくくなります。本装置では,各PVCの優先度キューのキュー長を物理回線単位に合計し,物理回線単位の優先度ごとのキュー長を管理し,これに対してキュー制御を行います。なお,キューイング優先度ごとの最大キュー長値を決定する廃棄モードは,qos-discard-modeコマンドによって,NIF単位で指定します。

また,キューイング優先度に基づいてDEビットを設定します。このDEビットは,Q.922アドレスフォーマット内の1ビットで,該当するパケットがフレームリレー網で優先廃棄するパケットであることを示します。このため,DEビット=1にして送信すると,フレームリレー網で廃棄されやすくなります。なお,この機能はdlciコマンドのde_packet_classオプションで設定します。

(2) PVC帯域制御

最低レート保証とピークレート制限があります。どちらも,1物理回線の通信帯域を共有するPVC間のトラフィック調整を行うための機能です。構成定義情報でPVCごとに値を設定します。

最低レート保証値は該当するPVCで保証する最低スループット値で,ピークレート制限値は該当するPVCで送信できる最大スループット値です。最低レート保証とピークレート制限を行う必要がない場合は,値を指定する必要はありません。なお,各PVCの最低レート保証値の合計が物理回線速度より小さい場合は,余剰帯域を全PVCが使用します。

(3) 送信制御機能(出力優先制御/最低帯域保証/均等保証)

PVC内でのパケット取り出し順序を制御する機能です。

取り出し方法は次の3種類があります。

  1. 出力優先制御
    出力優先度の高いキューに積まれたパケットをすべて送信するまで,より低いキューに積まれたパケットは送信しない方法です。
  2. 最低帯域保証
    キューごとに指定された帯域部分を保証して送信する方法です。この方法は,PVC帯域制御で最低レート保証を行っているPVCだけに適用できます。
  3. 均等保証
    各キューから順番に1パケットずつ均等に送信する方法です。

これらの送信制御方法はPVCごとにどれか一つを指定します。PVC帯域制御の最低レート保証と送信制御方法の組み合わせを次の表に示します。

表5-30 PVC帯域制御の最低レート保証と送信制御方法の組み合わせ

PVC帯域制御の最低レート 送信制御方法
出力優先制御 最低帯域保証 均等保証
保証あり
保証なし ×

(凡例) ○:適用できる ×:適用できない


送信スケジューリングの例を次の図に示します。なお,DLCIごとのキューは実際には8個ありますが,図では2個に簡略化しています。

図5-37 送信スケジューリングの例

[図データ]

この図の例では,最低レート保証を行うのはPVC1とPVC2であり,そのほかのPVCでは最低レート保証を行いません。このため,余剰帯域は15(20-3-2)であり,それをすべてのPVCが使用します。各PVC内では,送信制御方式(出力優先制御,最低帯域保証,均等保証)の指定に従って送信スケジューリングを行います。

(4) 輻輳制御

フレームリレー網の輻輳状態に対応してPVCのピークレートを動的に変化させ,スループットを規制する機能です。輻輳制御の詳細を次に示します。

(a) BECNによる輻輳検出と送信スループットの規制

BECNによって輻輳を検出した場合の状態と回復について説明します。

(b) CLLMメッセージによる輻輳検出と送信スループットの規制

CLLMメッセージによって輻輳を検出した場合の状態と回復について説明します。

(c) 輻輳制御の例

網輻輳検出による送信スループット制御の例を次の図に示します。

図5-39 送信スループット制御の例

[図データ]

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