運用コマンドレファレンス Vol.3


show ip route

ルーティングテーブルで保持する経路情報を表示します。

ルーティングテーブルには,ユニキャストルーティングプロトコルで学習した経路情報があります。

[入力形式]

show ip route [[all-routes] [-FSimpaPTAscB]] [vrf {<vrf id> | all}]
              [<protocol>] [<address> longer-prefixes]
show ip route [all-routes] [vrf {<vrf id> | all}] [<address>]
show ip route [vrf {<vrf id> | all}] [<protocol>] [<address>] summary

[入力モード]

一般ユーザモードおよび装置管理者モード

[パラメータ]

vrf {<vrf id> | all}

VRFの経路情報を表示します。<vrf id>指定時は指定VRFの経路情報だけ,all指定時はグローバルネットワークを含む全VRFの経路情報を表示します。<vrf id>にはコンフィグレーションコマンドで設定されたVRF IDを指定してください。

本パラメータ省略時の動作

グローバルネットワークの経路情報を表示します。

all-routes

代替経路を含め,すべての経路情報を標準形式(= -Smpai指定)で表示します。

表示形式はオプション(-FSimpaPTAscB)を指定すれば変更できます。

-F

経路情報をフル形式で表示します。(= -PTAscB指定)

-S

経路情報を最少形式で表示します。(宛先ネットワーク,ネクストホップアドレスだけ表示)

-i

送出インタフェース名を表示します。

-m

経路情報のメトリック(Metric,Metric2)を表示します。

-p

経路情報の学習元プロトコルを表示します。

-a

経路情報のエージング情報を表示します。

-P

経路情報のディスタンス値(distance,distance2,distance3)を表示します。

-T

経路情報のタグ情報を表示します。

-A

経路情報のAS_PATH属性を表示します。

-s

経路情報の状態を表示します。

-c

経路情報のCOMMUNITIES属性を表示します。

-B

経路情報のLOCAL_PREF属性を表示します。

<protocol>

指定した種別の経路情報を表示します。

<protocol>には次の種別が指定できます。

  • connected:直結経路

  • ospf:OSPFの全経路表示

    ospfを指定した場合は,次の種別を指定できます。ただし,種別指定後にsummary指定した場合は,OSPF全体の情報を表示します。

    (入力例 ospf intra-area)

    ・intra-area:エリア内経路

    ・inter-area:エリア間経路

    ・external:AS外経路

    ・nssa:NSSAのAS外経路

  • ospf_ase:OSPFのAS外経路

  • rip:RIP経路

  • bgp:BGP4経路

  • static:スタティック経路

  • summary_routes:集約経路

  • extra-vrf:他VRFまたはグローバルネットワークからインポートされた経路

  • other:その他の経路(内部生成経路で上記の種別に一致しない経路)

<address>

<address>で宛先ネットワークを指定した場合,指定した宛先ネットワークに含まれるすべての経路の詳細情報を表示します。

<address>は次のどれかの形式で指定できます。

  • <ip address>

  • <ip address> <mask>

  • <ip address>/<masklen>

<ip address>には宛先アドレスを,<mask>,<masklen>にはネットワークマスクを指定します。<ip address>,<mask>はIPv4アドレスで,<masklen>は0〜32の範囲で指定してください。

<address>にネットワークマスクの指定がある場合,指定した<address>に完全一致(exact-match)する経路の詳細情報を表示します。

<address>にネットワークマスクの指定がない場合,指定した<address>に最長一致(longest-match)する経路の詳細情報を表示します。

longer-prefixes

指定した宛先ネットワークに含まれるすべての経路情報を表示します。

summary

各プロトコルが保有するアクティブ経路数と非アクティブ経路数を表示します。

アクティブ経路数はフォワーディングテーブルに登録対象となる経路数を示します。

各パラメータ省略時の動作

本コマンドでは,パラメータを指定してその条件に該当する情報だけを表示できます。パラメータを指定しない場合は,条件を限定しないで情報を表示します。複数のパラメータを指定した場合は,それぞれの条件に同時に該当する情報を表示します。

すべてのパラメータ省略時の動作

グローバルネットワークのアクティブ経路(フォワーディングテーブルに登録対象となる経路)情報を標準形式(= -Smpai指定)で表示します。

表示形式はオプション(-FSimpaPTAscB)を指定すれば変更できます。

[実行例1]show ip route [vrf {<vrf id> | all}] [[all-routes] [-FSimpaPTAscB]] [<protocol>] [<address> longer-prefixes]の例

図10‒1 標準形式でのアクティブ経路情報の表示
>show ip route
Date 20XX/12/20 12:00:00 UTC
Total: 106 routes
Destination        Next Hop        Interface      Metric  Protocol   Age
172.16.178/25      172.16.178.21   Eth1/3         0/0     Connected  365d
172.16.178.21/32   172.16.178.21   Eth1/3         0/0     Connected  365d
192.168.20/24      172.16.101.115  Eth1/4         3/0     RIP        5s
192.168.30/24      172.16.101.115  Eth1/4         0/0     Static     90d 20h
                   172.16.171.116  Eth1/5         -       -          -
>

注 経路がマルチパス化されている場合,2番目以降のパスはNextHop,Interfaceだけ表示します。

図10‒2 フル形式でのアクティブ経路情報の表示
>show ip route -F
Date 20XX/12/20 12:00:00 UTC
Total: 106 routes
Destination        Next Hop        Interface     Metric   Protocol   Age
172.16.178/25      172.16.178.21   Eth1/3        0/0      Connected  365d    , Distance: 0/0/0, Tag: 0, AS-Path: IGP (Id 1), Communities: -, LocalPref: -, <Int Active>
172.16.178.21/32   172.16.178.21   Eth1/3        0/0      Connected  365d    , Distance: 0/0/0, Tag: 0, AS-Path: IGP (Id 1), Communities: -, Localpref: -, <NoAdvise Int Active>
172.16.20/24       172.16.178.115  Eth1/3        3/0      RIP         5s     , Distance: 100/0/0, Tag: 0, AS-Path: IGP (Id 1), Communities: -, LocalPref: -, <Int Active Gateway>
172.16.30/24       172.16.178.115  Eth1/3        0/0      Static     90d 20h , Distance: 60/0/0, Tag: 0, AS-Path: IGP (Id 1), Communities: -, LocalPref: -, <Int Active Gateway>
                   172.16.171.116  Eth1/5        -        -          -
172.16.100/24      172.16.100.1    Eth1/6        -/-      BGP         6m 44s , Distance: 170/0/0, Tag: 0, AS-Path: 65531 10 IGP (Id 1), Communities: 65531: 65532, LocalPref: 100, <Ext Active Gateway>
>

[実行例1の表示説明]

表10‒1 ルーティングテーブルで保持する経路情報の表示内容

表示項目

表示内容

表示詳細情報

VRF

VRF ID

対象がグローバルネットワークの場合は表示されません。

Total xxx routes

VRF内の経路数

xxx:VRF内の経路数

Status Codes

経路情報の状態

* valid:有効な経路情報

r:コンフィグレーションコマンドmaximum routesの<limit>パラメータで設定した経路数の上限値を超えた経路

> active:経路選択によって選択された経路情報

Total

経路数

Destination

宛先ネットワーク

宛先アドレス/ネットワークマスク長

Next Hop

ネクストホップアドレス

Reject経路およびNull宛て経路では"- - - -"で表示されます。

Interface

送出インタフェース名

Reject経路では"- - - -"で表示されます。

Metric

経路のメトリック

xxx/yyy:

  • xxx:第1メトリック値

    yyy:第2メトリック値

  • ProtocolがOSPF ext1,OSPF ext2,OSPF nssa1,OSPF nssa2の場合は,TYPEによって次を表示します。

    TYPE1の場合

     第1メトリック値=メトリック値+Cost値

     第2メトリック値="-"を表示

    TYPE2の場合

     第1メトリック値=メトリック値

     第2メトリック値=Cost値

  • ProtocolがOSPF intraまたはOSPF interの場合は,次を表示します。

    第1メトリック値=Cost値

    第2メトリック値="-"を表示

Protocol

経路の学習元プロトコル

Connected:直結経路

OSPF intra:OSPFのエリア内経路

OSPF inter:OSPFのエリア間経路

OSPF ext1:OSPFのAS外経路(TYPE1)

OSPF ext2:OSPFのAS外経路(TYPE2)

OSPF nssa1:OSPFのNSSAのAS外経路(TYPE1)

OSPF nssa2:OSPFのNSSAのAS外経路(TYPE2)

RIP:RIP経路

BGP:BGP経路

Static:スタティック経路

Summary:集約経路

Extra-VRF:他VRFまたはグローバルネットワークからインポートされた経路

Other:その他の経路(内部生成経路で上記の種別に一致しない経路)

Age

経路のエージング時間

経過日数および時間:

xxxxd:日(100日〜49708日)

xxd xxh:日,時(1日0時間〜99日23時間)

xxh xxm:時,分(1時間0分〜23時間59分)

xxm xxs:分,秒(1分0秒〜59分59秒)

xxs:秒(0〜59秒)

Distance

経路のディスタンス

xxx/yyy/zzz:

  • xxx:第1ディスタンス値

  • yyy:第2ディスタンス値

  • zzz:第3ディスタンス値

Tag

経路のタグ

AS Path

経路のAS_PATH属性

xxx(Id yyy):

  • xxx:IGP/EGP/Incomplete

  • yyy:show ip bgp pathsで表示されるASパスのID番号

Communities

経路のCOMMUNITIES属性

COMMUNITIES属性を表示します。

no-advertise

no-export

local-AS

xx:yy(xx,yy共に10進表示)

その他(16進表示)

情報がない場合は"-"を表示します。

LocalPref

経路のLOCAL_PREF属性

情報がない場合は"-"を表示します。

<...>

経路の状態

NotInstall(フォワーディングテーブルに登録しない経路)

NoAdvise(広告対象外経路)

Int(内部経路)

Ext(外部経路)

Pending(RIPのホールドダウン処理によって,一時的に経路広告を抑止している経路)

Delete(削除された経路)

Hidden(無効扱いされた経路)

OnList(各ルーティングプロトコルに対して経路変更を通知中の状態)

Gateway(フォワーディングに使用される経路)

Reject(フォワーディングをunreachableとして拒否する経路)

IfSubnetMask(RIP学習経路で学習したインタフェースのサブネットマスクを適用した経路)

Active(有効経路)

Suppressed(ルート・フラップ・ダンプニングでの抑止中経路)

Remote(リモートゲートウェイ経路)

Stale(グレースフル・リスタートでのstale経路)

Initial(有効経路状態に遷移中の経路)

Release(ルーティングテーブルからの削除待ち経路)

Flash(変更があった経路)

NoAggregate(集約元から除外する経路)

Vrrp(VRRP経路)

Dntfwd(中継抑止経路)

[実行例2]show ip route [all-routes] [vrf {<vrf id> | all}] <address>の例

特定ネットワーク(172.16.178/25)宛てのアクティブ経路を詳細表示します。

図10‒3 特定経路情報の詳細表示
>show ip route 172.16.178.0/25
Date 20XX/12/20 12:00:00 UTC
Route codes: * = active,    + = changed to active recently
            ' ' = inactive,  - = changed to inactive recently
            r = RIB failure
 
Route 172.16.178/25
Entries 1
 
* NextHop 172.16.178.21 , Interface   : Eth1/1
     Protocol <Static>
     Source Gateway ----
     Metric/2     : 0/0
     Distance/2/3 : 0/0/0
     Tag : 0, Age : 365d
     AS Path : IGP (Id 1)
     Communities: -
     LocalPref : -
     RT State: <Int Active>
>

注 経路がマルチパス化されている場合,NextHop,Interfaceを複数行表示します。

[実行例2の表示説明]

表10‒2 特定経路情報の表示内容

表示項目

表示内容

表示詳細情報

Route

宛先ネットワーク

宛先アドレス/ネットワークマスク

VRF

VRF ID

対象がグローバルネットワークの場合は表示されません。

Entries

該当経路の登録エントリ数

Route codes

経路情報の状態

*:アクティブ経路

+:最近アクティブに変更された経路

-:最近非アクティブに変更された経路

' ':非アクティブ経路

r:コンフィグレーションコマンドmaximum routesの<limit>パラメータで設定した経路数の上限値を超えた経路

Next Hop

ネクストホップアドレス

Reject経路およびNull宛て経路では"- - - -"で表示されます。

Interface

送出インタフェース名

Reject経路では"- - - -"で表示されます。

Source Gateway

ゲートウェイアドレス

Protocol

経路の学習元プロトコル

show ip routeのprotocolの項参照

Distance/2/3

経路のディスタンス

xxx/yyy/zzz:

  • xxx:第1ディスタンス値

  • yyy:第2ディスタンス値

  • zzz:第3ディスタンス値

Metric/2

経路のメトリック

show ip routeのMetricの項参照

Tag

経路のタグ

Age

経路のエージング時間

show ip routeのAgeの項参照

AS Path

経路のAS_PATH属性

show ip routeのAS Pathの項参照

Communities

経路のCOMMUNITIES属性

show ip routeのCommunitiesの項参照

LocalPref

経路のLOCAL_PREF属性

show ip routerのLocalPrefの項参照

RT State

経路の状態

show ip routeの<...>の項参照

[実行例3]show ip route [vrf {<vrf id> | all}] [<protocol>] [<address>] summaryの例

図10‒4 各プロトコルで学習した経路数のプロトコル別表示
>show ip route summary
Date 20XX/12/20 12:00:00 UTC
Protocol     Active Routes  InActive Routes
Connected    10             0
OSPF         15             5
  intra-area        10               0
  inter-area        0                0
  external-1        5                5
  external-2        0                0
  nssa-1            0                0
  nssa-2            0                0
RIP          10             0
BGP          100            0
Static       5              0
Summary      5              0
Extra-VRF    0              0
Other        2              0
Total        148            5
>

[実行例3の表示説明]

表10‒3 各プロトコルで学習した経路数の表示内容

表示項目

表示内容

表示詳細情報

VRF

VRF ID

対象がグローバルネットワークの場合は表示されません。

Protocol

学習元プロトコル名称

Connected:直結経路数

OSPF:OSPFの全経路数

  • Intra-area:エリア内の経路数

  • Inter-area:エリア間の経路数

  • external-1:AS外経路(TYPE1)の経路数

  • external-2:AS外経路(TYPE2)の経路数

  • nssa-1:NSSAのAS外経路(TYPE1)の経路数

  • nssa-2:NSSAのAS外経路(TYPE2)の経路数

RIP:RIP経路数

BGP:BGP経路数

Static:スタティック経路数

Summary:集約経路数

Extra-VRF:他VRFまたはグローバルネットワークからインポートされた経路

Other:その他の経路(内部生成経路で上記の種別に一致しない経路)

Total:経路数の合計(各プロトコル経路数の合計値)

Active Routes

アクティブ経路数

フォワーディングテーブルに登録対象となる経路数

InActive Routes

非アクティブ経路数

フォワーディングテーブルに登録対象外となる経路数(代替経路含む)

[通信への影響]

なし

[応答メッセージ]

表10‒4 show ip routeコマンドの応答メッセージ一覧

メッセージ

内容

A program error occurred. Retry the command. (error = <error message>)

プログラムエラーが発生しました。コマンドを再実行してください。

<error message>:エラー部位

The command is not authorized by the RADIUS/TACACS+ server or the configuration.

このコマンドはRADIUSサーバ,TACACS+サーバ,またはコンフィグレーションで承認されていません。

The connection with the unicast routing program (rtm) failed. Retry the command.

ユニキャストルーティングプログラムとの通信が失敗しました。コマンドを再実行してください。

The specified route does not exist. (IP address = <ip address>)

指定経路が存在しません。

<ip address>:IPアドレス

The specified route does not exist. (IP address = <ip address>, mask = <mask>)

指定ネットワークが存在しません。

<ip address>:IPアドレス

<mask>:ネットワークマスク

The specified VRF does not exist. (VRF = <vrf id>)

指定VRFが存在しません。

<vrf id>:VRF ID

The unicast routing program (rtm) is not responding. Retry the command.

ユニキャストルーティングプログラムからの応答がありません。コマンドを再実行してください。

[注意事項]

なし