運用コマンドレファレンス Vol.3


traceroute

宛先ホストまでUDPメッセージが通ったルート(通ったゲートウェイのルートとゲートウェイ間の応答時間)を表示します。

[入力形式]

traceroute <host> [numeric] [direct] [verbose] [gateway <gateway address>...] [ttl <ttl>] [port <port>] [probes <count>] [[specific-route] source <source address>] [waittime <time>] [packetsize<size>] [vrf <vrf id>] [dscp <dscp>]

[入力モード]

一般ユーザモードおよび装置管理者モード

[パラメータ]

<host>

テスト対象(IP送信先)の宛先ホスト名またはホストIPアドレスを指定します。

vrf <vrf id>を指定する場合,<host>にはIPアドレスだけが指定でき,宛先ホスト名は指定できません。

numeric

ゲートウェイのアドレスをホスト名とIPアドレスではなくIPアドレスだけで表示します。

本パラメータ省略時の動作

ホストのIPアドレスを名前に変換して表示します。

direct

プローブパケットを接続されているネットワーク上のホストに直接送出します。通常のルーティングテーブルを使用しません。そのホストが直接接続されたネットワーク上にない場合にはエラーが返ります。このオプションは,経路を持たないインタフェースを使ってホストにtracerouteを実行する場合に使用できます。

本パラメータ省略時の動作

通常のルーティングテーブルを使用して送信します。

verbose

冗長出力を有効にします。TIME_EXCEEDEDとUNREACHABLE以外の受信したICMPパケットを表示します。

本パラメータ省略時の動作

TIME_EXCEEDEDおよびUNREACHABLEだけを出力します。

gateway <gateway address>

ソースルートゲートウェイ指定します。最大8個です。

本パラメータ省略時の動作

ソースルートゲートウェイを設定しません。

ttl <ttl>

送出されるプローブパケットの最大time-to-live(最大ホップ数)をセットします。指定できる値は2〜255です。

本パラメータ省略時の動作

最大ホップ数は30となります。

port <port>

使用するUDPパケットのポート番号を指定します。プローブパケットのポート番号は<port>+1から始まり,プローブパケットごとに1ずつ増加します。

本パラメータ省略時の動作

ポート番号は33434となります(プローブパケットのポート番号は33435から始まります)。

probes <count>

"ttl"ごとの探索の回数を<count>に指定します。指定できる値は1〜2147483647です。

本パラメータ省略時の動作

探索の回数は3となります。

source <source address>

送出されるプローブパケットのソースアドレス(送出するアドレス)として,引数のIPアドレス(ホスト名ではなく,数字で指定してください)を使用します。複数のIPアドレスを持つホストで,プローブパケットに別のソースアドレスを持たせるのに使用できます。指定したIPアドレスが,このホストのインタフェースのアドレスのうちの一つでない場合,エラーが返され何も送出されません。

本パラメータ省略時の動作

本装置が選択した送信元IPアドレスが使用されます。

specific-route

sourceオプションとともにマルチパス経路で使用します。<source address>で指定したIPアドレスを出力パケットの送信元アドレスとして使用し,そのIPアドレスを設定している回線から送信します。指定できるIPアドレスは,マルチパスとなっているインタフェースの自IPアドレスです。

本パラメータ省略時の動作

特定の経路を設定しません。

waittime <time>

プローブパケットの応答待ち時間を秒単位で指定します。指定できる値は2〜86400です。

本パラメータ省略時の動作

待ち時間は5秒となります。

packetsize <size>

プローブパケットのデータサイズをバイト単位で指定します。指定できる値は40〜32768です。

本パラメータ省略時の動作

データサイズは40バイトとなります。

vrf <vrf id>

VRFを指定してルート表示します。<vrf id>にはコンフィグレーションコマンドで設定されたVRF IDを指定してください。

本パラメータ省略時の動作

グローバルネットワークルートを表示します。

dscp <dscp>

<dscp>で指定した値をIPヘッダのDifferentiated Services(Type of Service)フィールドのDSCP値として設定します。指定できる値は0〜63です。

本パラメータ省略時の動作

0が設定されます。

すべてのパラメータ省略時の動作

指定された<host>へのルートを表示します。

[実行例]

図2‒34 UDPメッセージのルート表示
>traceroute 192.168.3.24 numeric 
traceroute to 192.168.3.24 (192.168.3.24), 30 hops max, 40 byte packets
 1  192.168.2.101  0.612 ms *  0.532 ms
 2  192.168.3.24  0.905 ms  0.816 ms  0.807 ms
>

[表示説明]

なし

[通信への影響]

なし

[応答メッセージ]

表2‒34 tracerouteコマンドの応答メッセージ一覧

メッセージ

内容

A host name and VRF cannot be specified at the same time.

VRFと同時にホスト名称を指定できません。

packet too short (<receive> bytes) from <host>

指定したホストからのパケット長が短過ぎます。

<receive> 受信したデータ長

<host> ホスト名またはIPアドレス

sendto: <error message>

ソケットへのデータ送信に失敗しました。

<error message> エラーメッセージ

The command is not authorized by the RADIUS/TACACS+ server or the configuration.

このコマンドはRADIUSサーバ,TACACS+サーバ,またはコンフィグレーションで承認されていません。

traceroute: <address> is not a valid local address.

送信元IPアドレスとして<address>を選択しましたが,本装置で有効なアドレスではありません。

<address> IPアドレス

traceroute: icmp socket: <error message>

icmpソケットオープンに失敗しました。

<error message> エラーメッセージ

traceroute: raw socket: <error message>

rawソケットオープンに失敗しました。

<error message> エラーメッセージ

traceroute: unknown host <host>

ホスト名が間違っています。正しいホスト名を入力してください。

<host> ホスト名

traceroute: Warning: <host> has multiple addresses; using <address>

指定した<host>は複数のアドレスを持っていましたが,<address>を採用しました。

<host> ホスト名

<address> IPアドレス

traceroute: wrote <host> <send> chars, ret=<sent>

指定したホストへパケットが送信できません。

<host> ホスト名またはIPアドレス

<send> 送信するデータ長

<sent> 送信したデータ長

[注意事項]

  1. DNSサーバのIPアドレスが正しく設定されていない場合,ホスト名の参照時にDNSサーバとの通信ができないことを検知するまでに時間が掛かり,実行結果が表示されるまでの時間が長くなることがあります。DNSサーバを設定していない場合は,この現象は発生しません。

  2. QoS制御が有効になっている場合は,dscpパラメータを指定してもQoS制御の影響を受けます。