12.1 QoS制御構造
ネットワークを利用したサービスの多様化に伴って,通信品質を保証しないベストエフォート型のトラフィックに加え,実時間型・帯域保証型のトラフィックが増加しています。本装置のQoS制御を使用することによって,トラフィック種別に応じた通信品質を提供できます。
本装置のQoS制御は,回線の帯域やキューのバッファ容量などの限られたネットワーク資源を有効に使用できます。アプリケーションごとに要求されるさまざまな通信品質を満たすために,QoS制御を使用してネットワーク資源を適切に分配します。
本装置のQoS制御の機能ブロックを次の図に示します。
図に示したQoS制御の各機能ブロックの概要を次の表に示します。
表12‒1 QoS制御の各機能ブロックの概要
機能部位
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機能概要
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QoSフロー
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フロー検出
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MACヘッダやプロトコル種別,IPアドレス,ポート番号などの条件に一致するフローを検出します。
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ポリサー
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フローごとに帯域を監視して,帯域を超えたフローに対してペナルティを与えます。
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マーカー
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VLAN Tagヘッダのユーザ優先度やIPヘッダのDSCPを書き換えます。
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優先度変更
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フローに対して優先クラスや,廃棄されやすさを示す廃棄クラスを変更します。
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廃棄
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フロー検出したフローを廃棄します。
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シェーパユーザ決定
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フローごとに階層化シェーパユーザを決定します。
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ポートシェーパ
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廃棄制御
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フレームの優先度とキューの状態に応じて,該当フレームをキューイングするか廃棄するかを制御します。
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スケジューリング
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各キューからのフレームの出力順序を制御します。
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帯域制御
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各ポートの出力帯域を制御します。
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階層化シェーパ
【OP-SHPS】
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シェーパユーザ決定(自動決定)
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ランダム振り分けやVLAN IDマッピングによって,シェーパユーザを自動で決定します。
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ユーザ優先度マッピング
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ユーザ優先度によってキュー番号を決定します。
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廃棄制御
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フレームの優先度とキューの状態に応じて,該当フレームをキューイングするか廃棄するかを制御します。
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スケジューリング
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各キューからのフレームの出力順序を制御します。
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帯域制御
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各ポートの出力帯域を制御します。さらに,シェーパユーザごとに出力帯域を制御します。
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QoSフローでは,フロー検出したフローに対してポリサー,マーカー,優先度変更,シェーパユーザ決定,または廃棄を実施します。
ポートシェーパでは,フレームの優先度に基づいて廃棄制御,スケジューリングおよび送信時の帯域制御を実施します。
階層化シェーパでは,上記の動作に加えて,シェーパユーザ決定,およびユーザ優先度マッピングを実施します。【OP-SHPS】