運用コマンドレファレンス Vol.3
pingコマンドは,目的のIPアドレスを持つ装置に対して通信可能であるかどうかを判定するために使用します。
[入力形式]
ping <host> [numeric] [summary] [record-route] [direct] [verbose] [count <count>] [interval <wait>] [pad-byte <pattern>] [packetsize <size>] [{[specific-route] source <source address> | [source <source address>] nexthop <nexthop address>}] [ttl <ttl>] [vrf <vrf id>] [dscp <dscp>] ping <host> {compact | simple} [numeric] [record-route] [direct] [count <count>] [interval <wait>] [pad-byte <pattern>] [packetsize <size>] [{[specific-route] source <source address> | [source <source address>] nexthop <nexthop address>}] [ttl <ttl>] [vrf <vrf id>] [dscp <dscp>]
[入力モード]
一般ユーザモードおよび装置管理者モード
[パラメータ]
- <host>
- 宛先ホスト名またはIPアドレスを指定します。
- vrf <vrf id>を指定する場合,<host>にはIPアドレスだけが指定でき,宛先ホスト名は指定できません。
- compact
- 実行結果を,次の記号で簡潔に表示します。パラメータ指定時は,ping送信回数の初期設定値が5回となります。
- !:応答あり(ICMP Echo Reply)
- .:応答なし
- U:あて先到達不可能(ICMP Destination Unreachable)
- C:発信元抑制(ICMP Source Quench)
- &:TTLオーバー(ICMP Time Exceeded)
- ?:ICMPパケットタイプ判定不可能
- なお,送信間隔時間内に応答がなかった場合は,応答なし(タイムアウト)と判定されます。
- また,simpleパラメータ,summaryパラメータおよびverboseパラメータと同時には指定できません。
- simple
- 実行結果を,次の記号で簡潔に表示します。本パラメータ指定時は,ping送信回数の初期設定値が5回となります。
- !:応答あり(ICMP Echo Reply)
- .:応答なし
- なお,「応答なし」は,応答がなかった(echo replyに抜けがあった)あと,あらためて応答を受信したときに,「応答あり」とまとめて一度に表示します。そのため,応答がない間はリアルタイムには表示されません。
- また,compactパラメータ,summaryパラメータおよびverboseパラメータと同時には指定できません。
- numeric
- ホストのIPアドレスを名前に変換しないで,そのまま表示します。
- 本パラメータ省略時の動作
- ICMPエラー受信時,ホストのIPアドレスを名前に変換して表示します。
- summary
- 出力を抑制します。開始時と終了時の要約行だけ表示します。
- 本パラメータ省略時の動作
- 1応答で1行の通常表示となります。
- record-route
- 指定ホストまでの到達経路を記録します。ECHO_REQUESTパケット中にRECORD_ROUTEオプションを付け,返送パケット上の経路バッファを表示します。IPヘッダには経路を9個収める大きさしかないことに注意してください。また多くのホストはこのオプションを無視するか切り捨てます。
- 本パラメータ省略時の動作
- RECORD_ROUTEオプションを使用しません。
- direct
- 通常のルーティングテーブルを無視して,直接接続されているネットワーク上のホストに対して送信します。指定接続されたネットワーク上にホストが存在しない場合には,エラーを返します。このオプションは経路情報を持たないインタフェースを経由してローカルホストにpingを実行する場合に使用します。
- 本パラメータ省略時の動作
- 通常のルーティングテーブルを使用して送信します。
- verbose
- 冗長出力を有効にします。ECHO_RESPONSE以外の受信ICMPパケットや,本コマンド以外の受信ICMPパケットも表示されます。
- 本パラメータ省略時の動作
- ECHO_RESPONSEおよびそのほかのエラーだけを表示します。
- count <count>
- <count>で指定した回数だけパケットを送信して終了します。中断したい場合は[Ctrl+C]を入力してください。指定できる値は1〜2147483647です。ただし,simpleパラメータ指定時の送信回数は最大65536回となります。
- 本パラメータ省略時の動作
- 無限に送信します。ただし,compactパラメータまたはsimpleパラメータ指定時の送信回数は5回となります。
- interval <wait>
- <wait>で指定した秒数だけパケットの送信間隔を空けます。指定できる値は0.01〜0.09,0.1〜0.9および1〜2147483です。0.01秒から0.09秒までは0.01秒単位,0.1秒から0.9秒までは0.1秒単位,1秒から2147483秒までは1秒単位で指定できます。
- 本パラメータ省略時の動作
- 送信間隔は1秒となります。
- pad-byte <pattern>
- 送信するパケットを埋めるpadバイトを指定します。padバイトは16バイトを上限とします。これはネットワーク上でデータ依存の問題を診断するときに有効です。例えば,pad-byte ffはすべて1の送信パケットを生成します。指定できる値と範囲は16進数で1〜32桁です。
- 本パラメータ省略時の動作
- 00〜ffでインクリメントしながらpadを生成します。
- packetsize <size>
- 送信するデータのバイト数を指定します。指定できる値は1〜65467です。
- 本パラメータ省略時の動作
- 送信するデータのバイト数は56バイトです。これはICMPヘッダデータの8バイトと合わせて64バイトになります。
- {[specific-route] source <source address> | [source <source address>] nexthop <nexthop address>}
- [specific-route] source <source address>
- <source address>で指定したIPアドレスを出力パケットの送信元アドレスとして使用します。<source address>に指定できるIPアドレスは本装置に設定されているIPアドレスだけです。
- specific-routeパラメータを指定した場合は,マルチパス経路の宛先のときに特定の経路へだけパケットを送信します。パケットの送信インタフェースは<source address>で指定したIPアドレスが設定されているインタフェースです。
- specific-routeパラメータを指定しない場合は,特定の経路を指定しないでパケットを送信します。
- [source <source address>] nexthop <nexthop address>
- <nexthop address>で指定したIPアドレス宛てにパケットを送信します。
- <source address>を指定した場合は,<source address>で指定したIPアドレスを出力パケットの送信元アドレスとして使用します。<source address>に指定できるIPアドレスは本装置に設定されているIPアドレスだけです。
- <source address>を指定しない場合は,本装置が選択した送信元IPアドレスを使用してパケットを送信します。
- 本パラメータ省略時の動作
- 通常のルーティングテーブルに従ってパケットを送信します。
- ttl <ttl>
- <ttl>で指定した値をIPヘッダのttlフィールドに設定します。設定可能な値は1〜255です。
- 本パラメータ省略時の動作
- <host>で指定したアドレスがユニキャストアドレスであれば255が,マルチキャストアドレスであれば1が設定されます。
- vrf <vrf id>
- VRFを指定して表示します。<vrf id>にはコンフィグレーションコマンドで設定されたVRF IDを指定してください。
- 本パラメータ省略時の動作
- グローバルネットワークを表示します。
- dscp <dscp>
- <dscp>で指定した値をIPヘッダのDifferentiated Services(Type of Service)フィールドのDSCP値として設定します。指定できる値は0〜63です。
- 本パラメータ省略時の動作
- 0が設定されます。
- すべてのパラメータ省略時の動作
- グローバルネットワークを対象に1応答で1行の通常表示となります。
[実行例]
図2-29 デフォルト値(試行回数無限,データサイズ56バイト,送信間隔1秒)でのエコーテスト
>ping 192.168.0.1 PING 192.168.0.1 (192.168.0.1): 56 data bytes 64 bytes from 192.168.0.1: icmp_seq=0 ttl=255 time=0.286 ms 64 bytes from 192.168.0.1: icmp_seq=1 ttl=255 time=0.271 ms 64 bytes from 192.168.0.1: icmp_seq=2 ttl=255 time=0.266 ms ^C --- 192.168.0.1 PING Statistics --- 3 packets transmitted, 3 packets received, 0.0% packet loss round-trip min/avg/max = 0.266/0.274/0.286 ms >図2-30 試行回数3回,データサイズ120バイト,送信間隔2秒でのエコーテスト
>ping 192.168.0.1 count 3 packetsize 120 interval 2図2-31 compactパラメータ指定,試行回数10回でのエコーテスト
>ping 192.168.0.1 compact count 10 PING 192.168.0.1 (192.168.0.1): 56 data bytes !!!!!!!!!! 10 packets transmitted, 10 packets received, 0.0% packet loss round-trip min/avg/max = 0.481/0.515/0.57 ms >図2-32 simpleパラメータ指定,試行回数100回,送信間隔0.5秒でのエコーテスト
>ping 192.168.0.1 simple count 100 interval 0.5 PING 192.168.0.1 (192.168.0.1): 56 data bytes !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!.........................!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 100 packets transmitted, 75 packets received, 25.0% packet loss round-trip min/avg/max = 0.481/0.515/0.57 ms >図2-33 デフォルト値(試行回数無限,データサイズ56バイト,送信間隔1秒)でのエコーテストで,ICMPパケットの送信に失敗
> ping 192.168.1.1 PING 192.168.1.1 (192.168.1.1): 56 data bytes sendto: No route to host sendto: No route to host sendto: No route to host ^C ----192.168.1.1 PING Statistics---- 3 packets transmitted, 0 packets received, 100.0% packet loss
[表示説明]
表2-32 pingコマンドの表示内容
表示項目 表示内容 sendto: <message> ICMPパケットの送信に失敗
<message>:失敗理由
[通信への影響]
なし
[応答メッセージ]
表2-33 pingコマンドの応答メッセージ一覧
メッセージ 内容 A host name and VRF cannot be specified at the same time. VRFと同時にホスト名称を指定できません。 Bad/invalid number of packets countで指定した送信回数が多過ぎます。送信回数を少なくしてください。 Can't set source interface/address: Can't assign requested address 指定したIPアドレスは本装置に設定されていません(sourceオプション時)。 Cannot resolve "<host>" (Unknown host) 指定したホストのアドレス解決に失敗しました。
<host>:ホスト名packet too short (<receive> bytes) from <host> 指定したホストからのパケット長が短過ぎます。
<receive>:受信したデータ長
<host>:ホスト名またはIPアドレスrecvfrom: <error message> ソケットからのデータ受信に失敗しました。
<error message>:エラーメッセージThe command is not authorized by the RADIUS/TACACS+ server or the configuration. このコマンドはRADIUSサーバ,TACACS+サーバ,またはコンフィグレーションで承認されていません。
[注意事項]
- pingコマンドを中断したい場合は[Ctrl+C]を入力してください。なお,simpleパラメータ指定時に中断した場合は,その時点で未受信のecho replyに対応した「応答なし」の表示"."を中断後に表示するため,「応答なし」の表示の個数が正確ではないことがあります。
- compactパラメータまたはsimpleパラメータ指定時は,summaryパラメータおよびverboseパラメータと同時には指定できません。
- compactパラメータまたはsimpleパラメータ指定時は,pingの無限回数送信はできません。
- intervalを小さくした場合は,送受信されないで「応答なし」の表示となることがあります。そのため,使用環境に応じて調整してください。
- intervalを小さくした場合に,コンソールなどの通信速度の遅い端末から本コマンドを実行した場合,表示が遅いため「応答なし」の表示となることがあります。その場合は,通信速度の速いリモート運用端末から実行するか,simpleまたはsummaryパラメータを指定して実行してください。
- intervalを小さくした場合に,実際に送信される各パケットの送信間隔については,装置の負荷状態によるため,厳密にはintervalで指定した時間どおりとはなりません。pingテスト全体としての平均時間で見た場合にintervalで指定された送信間隔となるように送信されます。
- simpleパラメータはcompactパラメータのような送信間隔ごとのタイムアウトはありません。そのため,「応答なし」は,応答がなかった(echo replyに抜けがあった)あとに,あらためて応答を受信したときに,「応答あり」とまとめて一度に表示します。応答がない間はリアルタイムには表示されません。
- DNSサーバのIPアドレスが正しく設定されていない場合,ホスト名の参照時にDNSサーバとの通信ができないことを検知するまでに時間が掛かり,実行結果が表示されるまでの時間が長くなることがあります。DNSサーバを設定していない場合は,この現象は発生しません。
- QoS制御が有効になっている場合は,dscpパラメータを指定してもQoS制御の影響を受けます。
All Rights Reserved, Copyright(C), 2014, 2020, ALAXALA Networks, Corp.