コンフィグレーションガイド Vol.2


27.1.6 Linktrace

Linktraceはレイヤ2レベルで動作するtraceroute相当の機能です。同一MA内のMEP-MEP間またはMEP-MIP間を経由する装置の情報を収集し,ルート情報を出力します。

Linktrace Message(CFM PDUの一種)を送信し,返ってきた応答をルート情報として収集します。

宛先にLinktrace Messageを送信した例を次の図に示します。

図27‒23 宛先にLinktrace Messageを送信

[図データ]

Linktrace Messageは宛先までMIPを経由して転送されます。MIPは転送する際に,自装置のどのポートで受信して,どのポートで転送したのかを応答します。送信元装置はルート情報として応答メッセージを保持します。

宛先にLinktrace Messageを転送した例を次の図に示します。

図27‒24 宛先にLinktrace Messageを転送

[図データ]

応答を返したMIPは宛先までLinktrace Messageを転送します。装置Cのように,MEPまたはMIPが設定されていない装置は応答を返しません(応答を返すには一つ以上のMIPが設定されている必要があります)。

宛先のMEPまたはMIPまでLinktrace Messageが到達すると,宛先のMEPまたはMIPは到達したことと,どのポートで受信したのかを送信元に応答します。

送信元では,保持した応答をルート情報として出力して,宛先までのルートを確認します。

Linktraceは装置単位に応答します。例えば,装置内に設定されたMIPが一つでも複数でも,どちらの場合も同じように,受信ポートと転送ポートの情報を応答します。

LinktraceはCCの学習内容を使用するため,事前にCCを動作させておく必要があります。また,宛先にMIPを指定する場合は,事前にMIPのポートのMACアドレスを調べておく必要があります。

(a) Linktraceによる障害の切り分け

Linktraceの実行結果によって,障害が発生した装置やポートなどを絞り込めます。

■ タイムアウトを検出した場合

Linktraceでタイムアウトを検出した例を次の図に示します。

図27‒25 Linktraceでタイムアウトを検出した例

[図データ]

この例では,装置AがLinktraceでタイムアウトを検出した場合,ネットワーク上の受信側のポートが通信できない状態が考えられます。Linktrace Messageが装置Bから装置Cに転送されていますが,装置Cが通信できない状態になっていて,応答を返さないため,タイムアウトになります。

■ 転送不可を検出した場合

Linktraceで通信不可を検出した例を次の図に示します。

図27‒26 Linktraceで通信不可を検出した例

[図データ]

装置AがLinktraceでの転送不可を検出した場合,ネットワーク上の送信側のポートが通信できない状態が考えられます。これは,装置Cが装置D(宛先)にLinktrace Messageを転送できなかった場合,装置Aに送信側ポートが通信できない旨の応答を返すためです。

(b) Linktraceの応答について

Linktrace Messageはマルチキャストフレームです。

CFMが動作している装置でLinktrace Messageを転送する際には,MEP CCMデータベースを参照してどのポートで転送するか決定します。

CFMが動作していない装置ではLinktrace Messageをフラッディングします。このため,CFMが動作していない装置がネットワーク上にある場合,宛先のルート以外の装置からも応答が返ります。