トラブルシューティングガイド


5.4.1 VRRP構成で通信できない

VRRP構成で通信できない場合は,次の表に示す障害解析方法に従って原因を切り分けてください。

表5‒4 VRRPの障害解析方法

項番

確認内容・コマンド

対応

1

同一の仮想ルータを構成する相手装置と本装置で仮想ルータの状態を確認して,マスタとなっている装置が1台だけであり,ほかの装置はバックアップになっていることを確認してください。

  • show vrrpstatus

仮想ルータの状態が正しい場合は,項番2へ。

仮想ルータの状態が正しくない場合は,項番3へ。

2

仮想ルータの配下にほかのルータを経由しないで端末が接続されている場合,各端末のネットワーク設定でデフォルトゲートウェイとして仮想ルータの仮想IPアドレスが設定されていることを確認してください。

  • 本装置を含めた通信経路上の装置での経路情報を確認してください。

  • 仮想ルータの配下にある各端末のネットワーク設定で,デフォルトゲートウェイとして仮想ルータの仮想IPアドレスが設定されていない場合は,仮想ルータの仮想IPアドレスをデフォルトゲートウェイに設定してください。

通信経路上の装置での経路情報に問題がない場合は,項番5へ。

3

仮想ルータの状態がINITIALでないことを確認してください。

  • show vrrpstatus detail

仮想ルータの状態がINITIALの場合は,次の点を確認してください。

  • 現在の優先度が0でない場合,Admin Stateに表示されている非動作の要因を取り除いてください(非動作要因については,「運用コマンドレファレンス」を参照してください)。

  • 現在の優先度が0,かつAdmin Stateが(TRACK DOWN)の場合,トラッキング連携によって優先度が0になっています。トラック状態が想定される状態でない場合は,「6.3 トラッキング機能のトラブル」を参照してください。

仮想ルータの状態がINITIALでない場合は,項番4へ。

4

仮想ルータが設定されているインタフェースが運用中であることを確認してください。

  • show port

  • show channel-group

  • show vlan detail

インタフェース状態がUpでもForwardingでもない場合は,「3 ネットワークインタフェースのトラブルシュート」を参照してください。

インタフェース状態がUpまたはForwardingの場合は,項番5へ。

5

グループ切替機能が設定されているか確認してください。

  • show vrrpstatus detail

グループ切替機能が設定されている場合は,項番6へ。

グループ切替機能が設定されていない場合は,項番7へ。

6

従っているプライマリ仮想ルータのVRIDとVLAN TagのTPIDが仮想ルータを構成している装置間で一致しているか確認してください。

  • show vrrpstatus

  • show ip interface

プライマリ仮想ルータのVRIDとVLAN TagのTPIDが仮想ルータを構成する装置間で異なる場合,複数の仮想ルータがマスタになります。仮想ルータを構成する装置のコンフィグレーションは必ず合わせてください。

プライマリ仮想ルータのVRIDとVLAN TagのTPIDが仮想ルータを構成する装置間で一致している場合は,項番7へ。

なお,項番7以降は,プライマリ仮想ルータについて確認してください。

7

仮想ルータを構成するルータ間の通信を,実IPv4アドレスまたはIPv6アドレスで確認してください。

  • ping

  • ping ipv6

仮想ルータを構成するルータ間が実IPv4アドレスまたはIPv6アドレスで通信できない場合は,「5.1 IPv4ネットワークの通信障害」および「5.2 IPv6ネットワークの通信障害」を参照してください。

仮想ルータを構成するルータ間が実IPv4アドレスまたはIPv6アドレスで通信できる場合は,項番8へ。

8

フィルタまたはQoSによってADVERTISEMENTパケットが廃棄されていないか確認してください。

確認方法と対応については,「8.1 パケット廃棄の確認」を参照してください。

フィルタまたはQoSの設定がない場合,同一の仮想ルータを構成する相手装置の動作を確認してください。

ADVERTISEMENTパケットが廃棄されていない場合は,項番9へ。

9

ADVERTISEMENTパケットの送信間隔だけ時間を置いて次のコマンドを実行して,ADVERTISEMENTパケットの統計情報が増加するか確認してください。

  • show vrrpstatus statistics

  • 統計情報の<number of packets> with bad advertisement intervalが増加する場合は,本装置と相手装置でADVERTISEMENTパケット送信間隔の設定値が一致していることを確認してください。

  • 統計情報の<number of packets> with authentication failedが増加する場合は,本装置と相手装置で認証パスワードの設定内容が一致していることを確認してください。

  • 統計情報の<number of packets> with bad ip ttlが増加する場合は,本装置と相手装置間にほかのルータがないことを確認してください。

  • 統計情報の<number of packets> with bad ipv6 hoplimitが増加する場合は,本装置と相手装置間にほかのルータがないことを確認してください。

  • 統計情報の<number of packets> with bad ip address listが増加する場合は,仮想IPアドレスの設定が同じであることを確認してください。

  • 統計情報の<number of packets> with bad ipv6 addressが増加する場合は,仮想IPアドレスおよびVRRP動作モードの設定が同じであることを確認してください。

  • 統計情報の<number of packets> with bad authentication typeが増加する場合は,本装置と相手装置で認証パスワードの設定有無を確認してください。

  • 統計情報の<number of packets> with packet length errorが増加する場合は,本装置と相手装置でVRRP動作モードの設定が同じであることを確認してください。

  • 統計情報の<number of packets> with invalid typeが増加する場合は,本装置と相手装置でVRRP動作モードの設定が同じであることを確認してください。

ADVERTISEMENTパケットが正常に受信されている場合は,相手装置を確認してください。

ADVERTISEMENTパケットが受信されていない場合は,項番10へ。

10

イーサネットおよび装置の負荷を確認してください。

  • 同一の仮想ルータを構成する相手装置が接続されているイーサネットの統計情報を確認してください。

    show interfaces

  • CPU使用率を確認してください。

    show cpu bcu

同一の仮想ルータを構成する相手装置が接続されているイーサネットのInput rateおよびOutput rateが高く,回線の負荷が高い場合,および確認したCPU使用率が高い場合は,次に示す対策をしてください。

  • 回線がループしている場合,ループ構成を見直してください。

  • コンフィグレーションコマンドvrrp timers advertiseでADVERTISEMENTパケット送信間隔を長めに設定してください。

  • コンフィグレーションコマンドvrrp preempt delayで自動切り戻し抑止時間を設定してください。

イーサネットの負荷が低い場合は,同一の仮想ルータを構成する相手装置の動作を確認してください。