運用コマンドレファレンス Vol.1


tftp

本装置と接続されているリモート運用端末との間でUDPでファイル転送をします。この機能は,TFTP Option Extension(RFC2347,2348,2349)がサポートされたTFTPサーバとの間で,アップデートファイルの転送を行うために使用します。

[入力形式]

tftp [<host> [{/ipv4 | /ipv6}][/source-interface <source address>] [/vrf <vrf id>] [<port>]]

[入力モード]

一般ユーザモードおよび装置管理者モード

[パラメータ]

<host>

リモート運用端末を指定します。ホスト名,IPv4アドレス,IPv6アドレス,またはインタフェース名付きIPv6アドレス(リンクローカルアドレスだけ)が指定できます。

本パラメータ省略時の動作

tftpプロンプトを表示します。この状態ではリモート運用端末は指定されていないのでconnectコマンドで指定してください。

{/ipv4 | /ipv6}
/ipv4

IPv4限定で接続します。

/ipv6

IPv6限定で接続します。

本パラメータ省略時の動作

IPv4またはIPv6を限定しないで接続します。

/source-interface <source address>

tftp接続に使用する送信元IPアドレスを設定します。IPv4またはIPv6アドレスを指定できます。

本パラメータ省略時の動作

本装置が選択した送信元IPアドレスが使用されます。

/vrf <vrf id>

指定したVRFに接続します。<vrf id>にはコンフィグレーションコマンドで設定されたVRF IDを指定してください。

<host>にホスト名を指定する場合,本パラメータは指定できません。

本パラメータ省略時の動作

グローバルネットワークに接続します。

<port>

接続先のポート番号を指定します。

本パラメータ省略時の動作

ポート番号として69が使用されます。

すべてのパラメータ省略時の動作

tftpプロンプトを表示します。この状態ではリモート運用端末と接続されていないので,connectコマンドでコネクションを確立してください。

[実行例]

IPアドレス192.168.0.1を持つリモート運用端末とファイルをやりとりします。
> tftp 192.168.0.1

tftpコマンド実行後,リモート運用端末とは実際に通信を開始しないで,tftpプロンプトを表示します。指定した接続先に問題がある場合にも,エラーを出力してtftpプロンプト表示になります。この場合は,connectコマンドを使用して再度接続先を設定するか,quitコマンドでいったんtftpコマンドを終了してください。

  1. ファイル転送用コマンドの入力

    コマンドラインに以下のプロンプトを表示します。

    tftp>

    ファイルの転送方向に応じてファイル転送用コマンドを入力して[Enter]キーを押下してください。

    ファイル転送用コマンド入力形式を以下に示します。

    get <remote-file> [<local-file>]

    リモート運用端末から本装置にファイルを転送します。local-fileを省略すると,ファイル名はリモート運用端末上のファイル名と同一になります。

    put <local-file> [<remote-file>]

    本装置からリモート運用端末にファイルを転送します。remote-fileを省略すると,ファイル名は本装置上のファイル名と同一になります。

  2. ファイル転送用コマンド以外のコマンドの入力

    プロンプト"tftp>"が表示されているとき,get,putのほかに以下に示すコマンドを実行できます。

    connect <host> [port]

    指定したアドレスのTFTPサーバに接続します。接続先のポート番号を指定することもできます。

    mode

    現在のファイル転送形式を確認できます。

    quit

    tftpコマンドを終了します。

    trace

    トレース出力モードのon/offを切り替えます。トレース出力モードがonの場合には,TFTPサーバとのパケットトレースが表示されます。デフォルトではoffです。

    status

    ファイル転送形式,接続先,タイムアウトなどの状況が表示されます。

    binary

    ファイル転送形式をbinary(octet)に設定します(デフォルト)。

    ascii

    ファイル転送形式をascii (netascii)に設定します。

    ? [<command>]

    引数commandで指定されたコマンドのヘルプメッセージを表示します。引数が省略されたときは,使用可能なコマンドの一覧を表示します。

[表示説明]

なし

[通信への影響]

なし

[応答メッセージ]

表3‒5 tftpコマンドの応答メッセージ一覧

メッセージ

内容

?Invalid command

指定コマンドは見つかりません。

?Invalid help command <command>

(指定文字が)該当するヘルプコマンドは見つかりません。

<command>:コマンド名

A host name and VRF cannot be specified at the same time.

VRFと同時にホスト名称を指定できません。

Error code <number>: <message>

その他のTFTPエラーメッセージを表示しています。

<number>:エラーコード

<message>:エラー内容

Error code 1: File not found

指定ファイルが見つかりません。

Error code 2: Access violation

指定ファイルにはアクセスできません。

Error code 3: Disk full or allocation exceeded

ディスクが満杯または割り当て超過しています。

Error code 6: File already exists

ファイルがすでに存在しています。

getting from <host>:<remote file> to <local file> [<mode>]

<host>上のファイル<remote file>を<local file>として取得しています(転送モードは<mode>です)。

<host>:リモートホスト

<remote file>:リモート上のファイル名

<local file>:ローカル上のファイル名

<mode>:ファイル転送モード

No target machine specified, Use connect command.

接続先が設定されていません。connectコマンドで設定してください。

putting <local file> to <host>:<remote file> [<mode>]

ファイル<local file>を<host>へ<remote file>として転送しています(転送モードは<mode>です)。

<local file>:ローカル上のファイル名

<host>:リモートホスト

<remote file>:リモート上のファイル名

<mode>:ファイル転送モード

tftp: <file name>: Is a directory

指定ファイルはディレクトリです。

<file name>:ファイル名

tftp: <file name>: Permission denied

指定ファイルへのアクセス権限がありません。

<file name>:ファイル名

tftp: bind: Can't assign requested address

不正な送信元IPアドレスが設定されています。

tftp: bind: Invalid argument

不正な送信元IPアドレスが設定されています。

tftp: No address associated with hostname

アドレス解決ができなかったため,ホストに接続できませんでした。

tftp: quit for Ctrl+Z pushed.

[Ctrl+Z]キー押下によってtftpコマンドを終了しました。

tftp: sendto: No route to host

経路がないためリモートホストに接続できません。

tftp: servname not supported for ai_socktype

不正なポート番号が入力されました。

The command is not authorized by the RADIUS/TACACS+ server or the configuration.

このコマンドはRADIUSサーバ,TACACS+サーバ,またはコンフィグレーションで承認されていません。

Transfer timed out.

転送がタイムアウトしました。サーバまでの経路やサーバの設定などを確認してください。

[注意事項]

  1. tftpコマンドを実行した直後や,tftp>モードでconnectコマンドで接続先を指定した直後には接続先サーバのアドレスを取得する以外に,実際には通信は行われません。tftp>モードでget/putコマンドを指定したときに,通信を開始します。経路がないなどの通信エラーもこの段階で出力されます。

  2. TFTPサーバ側で適切な取得許可や書き込み許可が設定されていない場合,Access violationなどのエラーが出て転送に失敗します。

  3. コマンド入力を受け付けなくなった場合は,[Ctrl+Z]を入力して終了してください。

  4. 接続先にはTFTP Option Extension(RFC2347,2348,2349)がサポートされているTFTPサーバを使用してください。サポートされていないTFTP(RFC1350)サーバとは,アップデートファイルなどの大きなファイルのやりとりができず,通常はTransfer timed out.となります。