コンフィグレーションガイド Vol.2


7.5.6 リンクアグリゲーションを用いた場合の障害監視時間の設定

リングポートをリンクアグリゲーションで構成した場合に,ヘルスチェックフレームが転送されているリンクアグリゲーション内のポートに障害が発生すると,リンクアグリゲーションの切り替えまたは縮退動作が完了するまでの間,制御フレームが廃棄されます。このため,マスタノードの障害監視時間(health-check holdtime)がリンクアグリゲーションの切り替えまたは縮退動作が完了する時間よりも短いと,マスタノードがリングの障害を誤検出し,経路の切り替えを行います。この結果,ループが発生するおそれがあります。

リングポートをリンクアグリゲーションで構成した場合は,マスタノードの障害監視時間をリンクアグリゲーションによる切り替えまたは縮退動作が完了する時間よりも大きくする必要があります。マスタノードの障害監視時間は30ミリ秒以上を目安として設定してください。

なお,LACPによるリンクアグリゲーションを使用する場合は,LACPDUの送信間隔の初期値がlong(30秒)となっているため,初期値を変更しないまま運用すると,ループが発生するおそれがあります。LACPによるリンクアグリゲーションを使用する際は,LACPDUの送信間隔をshort(1秒)に設定して,マスタノードの障害監視時間には4秒より大きい値を設定してください。

図7‒23 リンクアグリゲーション使用時の障害検出

[図データ]

  1. マスタノードが送信するヘルスチェックフレームは,リンクアグリゲーション内のP1を経由して通信しています。

  2. P1で障害が発生したため,リンクアグリゲーションとして縮退動作を実施します。縮退動作が完了するまで,フレームを廃棄します。

  3. 縮退動作が完了するまではヘルスチェックフレームも廃棄されるため,マスタノードはヘルスチェックフレームのタイムアウトによって障害を検出して,障害動作を実施します。

  4. リンクアグリゲーションの縮退動作が完了して,P2を経由して通信することでループが発生します。