運用コマンドレファレンス Vol.2
[機能]
pingコマンドは,目的のIPアドレスを持つ装置に対して通信可能であるかどうかを判定するために使用します。
[入力モード]
一般ユーザモードおよび装置管理者モード
[入力形式]
ping <host> [numeric] [summary] [record-route] [direct] [verbose] [count <count>] [interval <wait>] [preload <count>] [pad-byte <pattern>] [packetsize <size>] [[specific-route] source <Source Address>] [ttl <ttl>] ping <host> compact [numeric] [record-route] [direct] [count <count>] [interval <wait>] [pad-byte <pattern>] [packetsize <size>] [[specific-route] source <Source Address>] [ttl <ttl>] ping <host> simple [numeric] [record-route] [direct] [count <count>] [interval <wait>] [pad-byte <pattern>] [packetsize <size>] [[specific-route] source <Source Address>] [ttl <ttl>]
[パラメータ]
- <host>
- 宛先ホスト名またはIPアドレスを指定します。
- numeric
- ホストのIPアドレスを名前に変換せず,そのまま表示します。
- summary
- 出力を抑制します。開始時と終了時の要約行だけ表示します。
- record-route
- 指定ホストまでの到達経路を記録します。ECHO_REQUESTパケット中に RECORD_ROUTEオプションをつけ,返信パケット上の経路バッファを表示します。IPヘッダには経路を9個収める大きさしかないことに注意してください。また多くのホストはこのオプションを無視するか切り捨てます。
- direct
- 通常のルーティングテーブルを無視し,直接接続されているネットワーク上のホストに対して送信します。指定接続されたネットワーク上にホストが存在しない場合には,エラーが返されます。このオプションは経路情報を持たないインタフェースを経由してローカルホストにpingをかけるのに用いられます。
- verbose
- 詳細出力を有効にします。ECHO_RESPONSE以外の受信ICMPパケットも表示されます。
- なお,pingコマンド以外の受信ICMPパケットも表示されます。
- count <count>
- <count>で指定した回数のパケットを送信して終了します。中断したい場合は[Ctrl+C]を入力してください。なお,simpleパラメータ指定時の送信回数は最大65536回となります。指定できる値は1〜2147483647です。
- 本パラメータ省略時の動作
- 無限に送信します。ただし,compactパラメータまたはsimpleパラメータ指定時の送信回数は5回となります。
- interval <wait>
- <wait>で指定した秒数だけパケットの送信間隔を空けます。1秒から2147483647秒までは1秒単位で指定できます。0.1秒から0.9秒までは0.1秒単位で指定できます。また,0.01秒から0.09秒までは0.01秒単位で指定できます。指定できる値は0.01〜0.09,0.1〜0.9および1〜2147483647です。
- 本パラメータ省略時の動作
- 送信間隔は1秒となります。
- preload <count>
- <count>で指定した数だけパケットをできるだけ速く送信し,通常の動作に戻ります。指定できる値は1〜2147483647です。なお,本パラメータは通常の運用では使用しないでください。本パラメータを使用した場合,CPUの使用率や送信帯域を大幅に消費しますので,他プロセス,サービスまたは通信に影響を与えるおそれがあります。
- 本パラメータ省略時の動作
- preload送信しません。
- pad-byte <pattern>
- 送信するパケットを埋めるpadバイトを指定します。padバイトは16バイトを上限とします。これはネットワーク上でデータ依存の問題を診断するときに有効です。例えば,pad-byte ffはすべて1の送信パケットを生成します。指定できる値と範囲は16進数で1〜32桁です。
- packetsize <size>
- 送信するデータのバイト数を指定します。指定できる値は1〜65467です。
- 本パラメータ省略時の動作
- 送信するデータのバイト数は56バイトです。これはICMPヘッダデータの8バイトと合わせて64バイトになります。
- specific-route
- マルチパス経路の宛先の場合に,特定の経路へだけパケットを送信します。パケットの送信インタフェースはsourceオプションの<Source Address>で指定したIPアドレスが設定されているインタフェースです。
- source <SourceAddress>
- Source_Addressで指定したIPアドレスを出力パケットの送信元アドレスとして使用します。指定できるIPアドレスは本装置に設定されているIPアドレスだけです。
- ttl <ttl>
- <ttl>で指定した値をIPヘッダのttlフィールドに設定します。設定可能な値は1〜255です。
- 本パラメータ省略時の動作
- <host>で指定したアドレスがユニキャストアドレスであれば255が,マルチキャストアドレスであれば1が設定されます。
- compact
- 実行結果を,以下の記号を用いて簡潔に表示します。詳細出力を有効にした動作となるため,ECHO_RESPONSE以外の受信ICMPパケットや,pingコマンド以外の受信ICMPパケットも表示されます。本パラメータ指定時は,ping送信回数の初期設定値が5回となります。
- !:応答あり (ICMP Echo Reply)
- .:応答なし
- U:あて先到達不可能 (ICMP Destination Unreachable)
- C:発信元抑制 (ICMP Source Quench)
- &:TTLオーバー (ICMP Time Exceeded)
- ?:ICMPパケットタイプ判定不可能
- なお,送信間隔時間内に応答がなかった場合は,応答なし(タイムアウト)と判定されます。
- また,simpleパラメータ,summaryパラメータ,verboseパラメータおよびpreloadパラメータと同時には指定できません。
- simple
- 実行結果を,以下の記号を用いて簡潔に表示します。本パラメータ指定時は,ping送信回数の初期設定値が5回となります。
- !:応答あり(ICMP Echo Reply)
- .:応答なし
- なお,「応答なし」は,応答がなかった(echo replyに抜けがあった)あと,あらためて応答を受信したときに,「応答あり」とまとめて一度に表示します。そのため,応答がない間はリアルタイムには表示されません。
- また,compactパラメータ,summaryパラメータ,verboseパラメータおよびpreloadパラメータと同時には指定できません。
[実行例]
- デフォルト値(試行回数無限,データサイズ56バイト,送信間隔1秒)でエコーテストします。
図1-13 デフォルト値でのpingコマンド実行例
>ping 192.168.0.1[Enter]キー押下 64 bytes from 192.168.0.1: icmp_seq=0 ttl=255 time=0.286 ms 64 bytes from 192.168.0.1: icmp_seq=1 ttl=255 time=0.271 ms 64 bytes from 192.168.0.1: icmp_seq=2 ttl=255 time=0.266 ms ^C --- 192.168.0.1 ping statistics --- 3 packets transmitted, 3 packets received, 0% packet loss round-trip min/avg/max = 0.266/0.274/0.286 ms >- 試行回数3回,データサイズ120バイト,送信間隔2秒でエコーテストします。
図1-14 試行回数3回,データサイズ120バイト,送信間隔2秒のpingコマンド実行例
>ping 192.168.0.1 count 3 packetsize 120 interval 2 [Enter]キー押下- compactパラメータ指定,試行回数10回でエコーテストする。
図1-15 compactパラメータ指定,試行回数10回のpingコマンド実行例
>ping 192.168.0.1 compact count 10 PING 192.168.0.1 (192.168.0.1): 56 data bytes !!!!!!!!!! 10 packets transmitted, 10 packets received, 0% packet loss round-trip min/avg/max = 0.481/0.515/0.57 ms >- simpleパラメータ指定,試行回数100回,送信間隔0.5秒でエコーテストする。
図1-16 simpleパラメータ指定,試行回数100回,送信間隔0.5秒のpingコマンド実行例
>ping 192.168.0.1 simple count 100 interval 0.5 PING 192.168.0.1 (192.168.0.1): 56 data bytes !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!.........................!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! --- 192.168.0.1 ping statistics --- 100 packets transmitted, 75 packets received, 25.0% packet loss round-trip min/avg/max = 0.481/0.515/0.57 ms >
[ユーザ通信への影響]
なし
[応答メッセージ]
pingコマンドのコマンド応答メッセージを次の表に示します。
表1-18 pingコマンドのメッセージ一覧
メッセージ 内容 socket: <error message> ソケットオープンに失敗しました。
<error message> エラーメッセージunknown protocol icmp icmpプロトコル情報取得に失敗しました。 sendto: <error message> ソケットへのデータ送信に失敗しました。
<error message> エラーメッセージwrote <host> <send> chars, ret=<sent> 指定したホストへパケットが送信できません。
<host> ホスト名またはIPアドレス
<send> 送信するデータ長
<sent> 送信したデータ長recvfrom: <error message> ソケットからのデータ受信に失敗しました。
<error message> エラーメッセージpacket too short (<recv> bytes) from <host> 指定したホストからのパケット長が短すぎます。
<recv> 受信したデータ長
<host> ホスト名またはIPアドレスbind: Can't assign requested address 指定したIPアドレスは本装置に設定されていません(sourceオプション時)。 Bad/invalid number of packets countで指定した送信回数が多過ぎます。送信回数を少なくしてください。
[注意事項]
- pingコマンドを中断したい場合は[Ctrl+C]を入力してください。なお,simpleパラメータ指定時に中断した場合は,その時点で未受信のecho replyに対応した「応答なし」の表示"."を中断後に表示するため,「応答なし」の表示の個数が正確ではないことがあります。
- compactパラメータまたはsimpleパラメータ指定時は,summaryパラメータ,verboseパラメータおよびpreloadパラメータとの同時指定はできません。
- compactパラメータまたはsimpleパラメータ指定時は,pingの無限回数送信はできません。
- intervalを小さくした場合は,送受信されないで「応答なし」の表示となることがあります。そのため,使用環境に応じて調整してください。
- intervalを小さくした場合に,コンソールなどの通信速度の遅い端末から本コマンドを実行したとき,表示が遅いため「応答なし」の表示となることがあります。その場合は通信速度の速いリモート運用端末から実行するか,simpleまたはsummaryパラメータを指定して実行してください。
- simpleパラメータはcompactパラメータのような送信間隔ごとのタイムアウトはありません。そのため,「応答なし」は,応答がなかった(echo replyに抜けがあった)あとに,あらためて応答を受信したときに,「応答あり」とまとめて一度に表示します。応答がない間はリアルタイムには表示されません。
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