運用コマンドレファレンス Vol.2
[機能]
指定したIPアドレスに到達するためのLSP,または指定したVCが使用するLSPが通信可能であるかどうかを判定します。
[入力モード]
一般ユーザモードおよび装置管理者モード
[入力形式]
ping mpls { <Address> [vpn <VPN ID>] | vc <VC ID> | lsp-id <Ingress LSP ID> } [packetsize <Size>] [count <Count>] [interval <time>] [wait <time>] [reply-mode {ipv4 | ipv4-router-alert}] [reply-tos <tos>] [ttl <ttl>] [exp <EXP bits>] [primary-lsp | secondary-lsp]
[パラメータ]
- <Address>
- <Address>は以下のどれかの形式で指定できます。
- <IPv4 Address>
- <IPv4 Address> <Mask>
- <IPv4 Address>/<Masklen>
- <IPv4 Address>には試験するターゲットIPv4アドレスを,<Mask>,<Masklen>にはネットワークマスクを指定します。<IPv4 Address>,<Mask>はドット記法で,<Masklen>は0〜32の範囲で指定してください。
- ネットワークマスクの指定がある場合,指定した<Address>に完全一致(exact-match)する経路のFECを使用します。
- ネットワークマスクの指定がない場合,指定した<Address>に最長一致(longest- match)する経路のFECを使用します。
- vpn <VPN ID>
- 試験するVPNのVPN IDを指定します。
- 設定可能な値の範囲は,1〜1000000または1〜14文字の文字列です。
- vc <VC ID>
- 試験するVCの番号を指定します。
- 設定可能な値の範囲は,1〜4294967295です。
- lsp-id <Ingress LSP ID>
- 試験するLSP IDを指定します。
- 設定可能な値の範囲は,1〜10000です。
- packetsize <Size>
- shimヘッダを含んだパケットサイズを指定します。デフォルトでパケットサイズは,84バイトです。設定可能な値の範囲は,89〜9216(バイト)です。
- count <Count>
- <Count>で指定した回数だけパケットを送信して終了します。本オプションを指定しない場合,無限に送信し続けます。中断したい場合は[Ctrl+C]を入力してください。
- 設定可能な値の範囲は,1〜2147483647(回)です。
- interval <time>
- <time>で指定した秒数だけパケットの送出間隔を空けます。デフォルトでは送出間隔は1秒です。設定可能な値の範囲は,1〜3600(秒)です。
- wait <time>
- <time>で指定した秒数だけパケットの応答を待ちます。デフォルトで応答待ち時間は1秒です。設定可能な値の範囲は,1〜3600(秒)です。
- reply-mode {ipv4 | ipv4-router-alert}
- LSP pingのreplyパケットのモードを指定します。デフォルトはipv4です。
- ipv4
- ipv4のUDPパケットで応答
- ipv4-router-alert
- ipv4のUDPパケット(router alertオプション付)で応答
- reply-tos <tos>
- replyパケットのIP tos値を指定します。デフォルトではIP tos指定のためのreply TOS Byte tlvを付与しません。
- 設定可能な値の範囲は,0〜255です。
- ttl <ttl>
- トップラベルのttl値の指定を行います。デフォルトは255です。
- 設定可能な範囲は,1〜255です。
- exp <EXP bits>
- トップラベルのexpビットの指定を行います。デフォルトは0です。
- 設定可能な範囲は,0〜7です。
- primary-lsp
- primary LSPを対象とする場合に指定します。lsp-id指定時だけ有効です。
- 本オプションが省略された場合,現在使用中のLSPを対象とします。
- secondary-lsp
- secondary LSPを対象とする場合に指定します。lsp-id指定時だけ有効です。
- 本オプションが省略された場合,現在使用中のLSPを対象とします。
[実行例]
図8-23 デフォルト値でping mplsコマンド実行する
>ping mpls 10.0.0.0/24 [Enter]キー押下 Route to 10.0.0.0/24 S from 192.168.0.7 : seq=1 time=100.001ms code=3(1) S from 192.168.0.7 : seq=2 time=97.102ms code=3(1) S from 192.168.0.7 : seq=3 time=123.304ms code=3(1) S from 192.168.0.7 : seq=4 time=110.075ms code=3(1) S from 192.168.0.7 : seq=5 time=105.870ms code=3(1) ^C --- lsp ping statistics --- 5 packets transmitted, 5 packets received, 0% packet loss round-trip min/avg/max = 97.102/107.270/123.304 ms >ping mpls vc 7 [Enter]キー押下 Route to vc 7 timeout S from 192.168.0.7 : seq=2 time=97.102ms code=3(1) S from 192.168.0.7 : seq=3 time=123.304ms code=3(1) S from 192.168.0.7 : seq=4 time=110.075ms code=3(1) S from 192.168.0.7 : seq=5 time=105.870ms code=3(1) ^C --- lsp ping statistics --- 5 packets transmitted, 4 packets received, 20% packet loss round-trip min/avg/max = 97.102/109.087/123.304 ms図8-24 デフォルト値でping mplsコマンド実行する(VPN指定)
>ping mpls 10.0.0.0/8 vpn 100 [Enter]キー押下 Route to 10.0.0.0/8 (vpn:100) S from 192.168.0.7 : seq=1 time=100.001ms code=3(1) S from 192.168.0.7 : seq=2 time=97.102ms code=3(1) S from 192.168.0.7 : seq=3 time=123.304ms code=3(1) S from 192.168.0.7 : seq=4 time=110.075ms code=3(1) S from 192.168.0.7 : seq=5 time=105.870ms code=3(1) ^C --- lsp ping statistics --- 5 packets transmitted, 5 packets received, 0% packet loss round-trip min/avg/max = 97.102/107.270/123.304 ms図8-25 デフォルト値でping mplsコマンド実行する(LSP ID指定)
>ping mpls lsp-id 10000 [Enter]キー押下 Route to lsp-id 10000 from 192.168.0.7 : seq=1 time=100.001ms code=4(1) from 192.168.0.7 : seq=2 time=97.102ms code=4(1) from 192.168.0.7 : seq=3 time=123.304ms code=4(1) from 192.168.0.7 : seq=4 time=110.075ms code=4(1) from 192.168.0.7 : seq=5 time=105.870ms code=4(1) ^C --- lsp ping statistics --- 5 packets transmitted, 0 packets received, 100% packet loss
[表示説明]
表8-31 ping mplsコマンドの表示内容
表示項目 意味 Route to <IPv4 address>/<Masklen> FEC指定の場合に表示します。 Route to <IPv4 address>/<Masklen> (vpn:<VPN ID>) VPNのFEC指定の場合に表示します。 Route to vc <VC ID> VC指定の場合,試験対象のVC IDを表示します。 Route to lsp-id <LSP ID> LSP ID指定の場合,試験対象のLSP IDを表示します。 S Egressノードから正常な応答(リターンコード3)が返ってきた場合に表示します(Successを表します)。それ以外の場合は何も表示しません。 from <IP address> replyパケットの送信元IPアドレスを表示します。 timeout 応答待ち時間内にreplyを受信しない場合に表示します。 seq シーケンス番号を表示します。 time requestパケット送信後,replyパケットを受信までの経過時間を表示します。(ms) code(<sub code>) replyパケットのリターンコードおよびサブコード(処理したラベルの段数)を表示します。 packets transmitted 送信したrequestパケット数を表示します。 packets received Egressから受信した正常な(リターンコード3の)replyパケット数を表示します。 % packet loss パケット破棄率を表示します。Egressノードから受信した正常な(リターンコード3の)replyパケット以外は破棄パケットとして計上します。 round-trip min/avg/max ラウンドトリップ時間を表示します。Egressノードから受信した正常な(リターンコード3の)replyパケット以外は計上されません。また,Egressノードからの正常な応答がない場合は表示しません。 表8-32 ping mplsのリターンコード一覧
コード 内容 0 リターンコードなし 1 形式が異常なecho requestを受信した 2 未サポートTLVを含むecho requestを受信した 3 <サブコード>段目のFECに対するEgressノードでecho requestを受信した 4 <サブコード>段目のFECに対するマッピングを持っていない 5 受信ラベルと内容が一致しないDownstream Mapping TLVを持つecho requestを受信した 6 上流LSRが自アドレスを知らない
(Static LSPで出力インタフェースとしてUnnumberedインタフェースを使用した場合など)7 予約 8 LSP上のLSRだが,FECに対するEgressノードではない。<サブコード>段目のラベルをswapしてパケットを転送する 9 LSP上のLSRだが,FECに対するEgressノードではない。<サブコード>段目のラベルをswapして送信するインタフェースがMPLS転送不可能 10 FECに対するマッピングを持っているが,実際の受信ラベルがマッピングの受信ラベルと異なる 11 <サブコード>段目のラベルが存在しない 12 <サブコード>段目のラベルを決定したプロトコルが不明 13 VPNラベルのTTLが小さいため,pingがEgressノードに達しない 注 <サブコード>は処理したラベルの段数が表示されます。
[ユーザ通信への影響]
なし
[応答メッセージ]
表8-33 ping mplsコマンド応答メッセージ
メッセージ内容 意味 socket: <error message> ソケットオープンに失敗しました。
<error message> エラーメッセージbind: <error message> ソケットのbindに失敗しました。
<error message> エラーメッセージgetsockname: <error message> ソケットのgetsocknameに失敗しました。
<error message> エラーメッセージsetsockopt: <error message> ソケットのsetsockoptに失敗しました。
<error message> エラーメッセージsendto: <error message> ソケットへのデータ送信に失敗しました。
<error message> エラーメッセージrecvmsg: <error message> ソケットからのデータ受信に失敗しました。
<error message> エラーメッセージCorresponding FEC does not found. 指定したアドレス宛のFECが存在しません。 Corresponding VPN ID does not found. 指定したVPN IDが存在しません。 Corresponding VC ID does not found. 指定したVCが存在しません。 Corresponding LSP ID does not found. 指定したLSP IDが存在しません。 Specified size is greater than MTU size. size should be smaller than <MTU size>. 実際の送信先論理ポートのMTUを超えているため送信できません。<MTU size>より小さい値を設定してください。 Primary-lsp or secondary-lsp option can only specify for static LSP. primary-lspまたはsecondary-lsp指定は,static LSP時だけ有効です。 Primary-lsp is not configured. primary-lspが登録されていません。 Secondary-lsp is not configured. secondary-lspが登録されていません。 Can't execute this command in standby BCU. 待機系BCUでこのコマンドは実行できません。 No enough memory. コマンドを実行するための十分なメモリがありません。しばらくして再投入してください。 Can't execute MPLS program is initializing. MPLSプログラムが初期設定処理中のためコマンドを受け付けられません。しばらくして再投入してください。 MPLS is not active. MPLSプログラムが動作していません。MPLSの動作条件およびコンフィグレーションを確認してください。 MPLS is configured to be disabled. コンフィグレーション中でnoの設定がされています。コンフィグレーションを確認してください。 MPLS is suppressing. MPLSが終了処理中です。コンフィグレーションを確認してください。 Connection failed to MPLS. MPLSプログラムとの通信が失敗しました。コマンドを再投入してください。頻発する場合は,restart mplsコマンド(「restart mpls【OP-MPLS】」参照)でMPLSプログラムを再起動してください。 Outgoing interface is down. 出力インタフェースがDOWNしています。 Outgoing interface does not found. 出力インタフェースが見つかりません。 LSP is not available. LSPが利用可能ではありません。 Tunnel LSP is not available. Tunnel LSPが利用可能ではありません。 VC label is not available. VCラベルが利用可能ではありません。 Corresponding FEC is for Egress/Core. 指定したFECはEgress/Coreの持つFECです。IngressのFECを指定してください。
[注意事項]
- ping mplsコマンドを中断したい場合は,[CTRL+C]を入力してください。
- EgressノードもLSP ping機能を実装している必要があります。未実装の場合はタイムアウトになります。
- replyメッセージを受信するためには,LSP上のノードがrequestメッセージの送信元アドレスに対するIP経路を持っている必要があります。requestメッセージの送信元アドレスは装置アドレス(local-address)を優先的に選択し,装置アドレスが設定されていなければ,出力インタフェースのアドレスを使用します。
- static LSP,またはグローバルBGP経路のフローマップによるLSPに対するpingの場合,EgressノードにはLSPの情報が存在しないため,リターンコード3のreplyメッセージを受信することはありません。replyの送信元IPアドレスを基にEgressノードからのreplyかどうかを判断してください。
- 実際の送信先インタフェースのMTUを超えるパケットサイズを指定した場合は,コマンドがエラーになります。
- デフォルトのパケットサイズはVC指定の場合は100バイト,vpn指定の場合は96バイトになります。VC指定またはvpn指定でパケットサイズにデフォルトのパケットサイズ+5バイト未満の値を指定した場合,パケットサイズをデフォルトのパケットサイズとして扱います。
- reply-tos指定時,パケットサイズが8バイト増加します。
- static LSPで非アクティブ系にLSP pingを実行した場合,LSP単位の統計情報には加算されません。
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