解説書 Vol.1

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17.6.5 QoS制御との連携

LSPはFECごとに設定されますが,一般的なFECは宛先IPアドレスまたはIPプレフィックスです。基本的に宛先IPアドレスが同一であれば,トラフィックの種別に関係なく同一LSPに沿って転送されます。この場合でも,入口エッジルータで検出したトラフィックフローをMPLSヘッダの一部(EXP bits)に対応づけ,LSPに沿った各ルータでEXP bitsに従ってキュー制御・送信制御を行うことによって,MPLS網内のQoS制御を実現できます。

また,より細かなクラスにわけたQoSを実現するため,QoS情報をLSPに対応づけることもできます。スタティックLSPは,出力ラベル値を明示的に指定することから,プロトコル拡張をすることなく,L-LSPに相当する動作を実現できます。入口ルータでは,検出したトラフィックフローのクラスに対して,出力ラベル値と出力インタフェースを指定することで,出力スタティックLSPを対応づけます。LSPに沿った各ルータでは,入力ラベル値と入力インタフェースによってキュー制御・送信制御を行います。EXP bitsを用いた方法では最大で8クラスまで指定できますが,LSPに対応づけることで,よりきめ細かなQoSが実現できるようになります。本装置ではQoS情報をLSPに対応づける機能のことを,MPLSポリシールーティング機能と呼びます。本装置のMPLS網内QoS制御を次の図に示します。

図17-8 本装置のMPLS網内QoS制御(EXP bitsを用いた場合)

[図データ]

図17-9 本装置のMPLS網内QoS制御(MPLSポリシールーティング機能を用いた場合)

[図データ]

出口エッジルータでは,通常のIPパケット中継と同等のQoS制御を行います。入口エッジルータのトラフィックフロー検出では,TOSフィールド値を検出条件にできるので,MPLSのEXP bitsによるQoS制御を,Diff-servによるDSCP値設定と組み合わせて利用することもできます。本装置のQoS制御の詳細については,「解説書 Vol.2 1. QoS制御」〜「解説書 Vol.2 2. Diff-serv機能」を参照してください。

EXP bitsで指定できる範囲は,0〜7の8段階です。Diff-servと連携させた場合の,出力優先度およびキューイング優先度とDSCP値との対応とEXP bitsの対応の例を,次の図に示します。

図17-10 優先度とDSCP値およびEXP bitsのマッピング例

[図データ]

なお,スタティックLSPを使用してQoS制御を実現する場合は,DSCP値を出力ラベル値にマッピングすることで8段階よりもよりきめ細かいQoS制御が実現できます。

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