コンフィグレーションコマンドレファレンス Vol.1
本コマンドはルーティングプロトコルRIPngに関する動作情報を設定します。本コマンドはIPv6専用コマンドです。
[入力モード]
グローバルコンフィグモード
[入力形式]
- 情報の設定・変更
- ripng [{ yes | no }]
- >>移行モード:ripng
- 情報の削除
- delete ripng [interface <Interface Name>]
- 情報の表示
- show ripng
[サブコマンド入力形式]
- グローバル情報の設定・変更
- preference <Preference>
- defaultmetric <Metric>
- tag { as | <Tag> }
- updatetime <time>
- agingtime <time>
- holdcount <count>
- inherit-metric
- fast-reroute gen-secondary-route
- gen-secondary-route
- グローバル情報の削除
- delete preference
- delete defaultmetric
- delete tag
- delete updatetime
- delete agingtime
- delete holdcount
- delete inherit-metric
- delete fast-reroute gen-secondary-route
- delete gen-secondary-route
- インタフェース情報の設定・変更
- interface <Interface Name>...
- >>移行モード:ripng interface
- インタフェース情報の削除
- delete interface
[モード階層]
ripng └─ ripng interface
[パラメータ]
- {yes | no}
- RIPngを使用するかしないかを指定します。yesを指定した場合,interfaceサブコマンドで指定したインタフェースでRIPngが動作します。interfaceサブコマンドで何も指定していない場合は,すべてのインタフェースでRIPngが動作します。
- 本パラメータ省略時の初期値
yes(ただし,ripngコマンドを入力しない場合の初期値はnoです)
- 値の設定範囲
yesまたはno
[サブコマンド]
- preference <Preference>
- RIPngで学習した経路情報のプレファレンス値を指定します。importコマンドで指定するプレファレンス値が本サブコマンドより優先します。
- 本サブコマンド省略時の初期値
初期値は100です。
- 値の設定範囲
<Preference>に2〜255(10進数)を指定します。2は最高の優先度,255は最低の優先度を示します。
- defaultmetric <Metric>
- 他のプロトコルで学習した経路情報をRIPngで広告する場合のメトリック値を指定します。exportコマンドで設定したメトリック値が本サブコマンドより優先します。
- 本サブコマンド省略時の初期値
初期値は16です。
- 値の設定範囲
<Metric>に1〜16(10進数)を指定します。
- tag {as | <Tag>}
- RIPngのパケットにエンコードして広告するtag値を指定します。asを指定すると外部経路のAS Pathの先頭のAS番号をtagにエンコードしてその経路を広告します。また,<Tag>を指定すると<Tag>で示された値をエンコードして広告します。
- 本サブコマンド省略時の初期値
初期値は0です。
- 値の設定範囲
as,または<Tag>を指定します。<Tag>には1〜65535(10進数)を指定します。
- updatetime <Time>
- 周期広告タイマ値を指定します。周期広告タイマはジッタ制御によって指定値の±50%の範囲で動的に変動します。
- 本サブコマンド省略時の初期値
30秒
- 値の設定範囲
<Time>に1〜60(10進数:秒)を指定します。
- agingtime <Time>
- エージングタイマ値を指定します。
- 本サブコマンド省略時の初期値
180秒
- 値の設定範囲
<Time>に1〜360(10進数:秒)を指定します。
- holdcount <Count>
- ホールドダウン広告(メトリック16の広告)を行う回数を指定します。ホールドダウンタイマ値は,本ホールドダウン広告回数と周期広告タイマの積となります。
- 本サブコマンド省略時の初期値
4回
- 値の設定範囲
<Count>に1〜8(10進数)を指定します。
- inherit-metric
- 他のルーティングプロトコルの経路情報をRIPngで広告する際,メトリック値を引き継ぐことを指定します。
- 本サブコマンド省略時の初期値
省略時はメトリックを引き継ぎません。
- 値の設定範囲
なし
- fast-reroute gen-secondary-route
- 高速経路切替機能で使用する第2優先経路をルーティングテーブルに登録します。
- optionsコマンドのfast-rerouteパラメータが設定されていない場合は,第2優先経路の登録は行いません。
- 本サブコマンド省略時の初期値
第2優先経路情報をルーティングテーブルに登録しません。
- 値の設定範囲
なし
- gen-secondary-route
- 第2優先経路をルーティングテーブルに登録します。
- 本サブコマンド省略時の初期値
第2優先経路情報をルーティングテーブルに登録しません。
- 値の設定範囲
なし
- interface <Interface Name>...
- 動作情報を設定するインタフェースのインタフェース名を指定します。「情報の削除」で本サブコマンドを指定した場合,当該インタフェース情報に複数のインタフェース名が指定されている場合は,指定インタフェース名を削除します。また,当該インタフェースに一つのインタフェース名しか指定されていない場合は,当該インタフェース情報を削除します。
- 本サブコマンド省略時の初期値
なし(省略不可)
- 値の設定範囲
<Interface Name>に全インタフェースを示すallまたは個別のインタフェースを示すインタフェース名を指定します。<Interface Name>...では,複数のインタフェース名を指定できます。ただし,設定済みのインタフェース名を重複して指定しないでください。
[入力例]
- 情報の設定
- RIPng共通情報の設定
- RIPng共通情報(プレファレンス150,デフォルトメトリック2)を設定します。
(config)# ripng [ripng] (config)# preference 150 [ripng] (config)# defaultmetric 2 [ripng] (config)# exit (config)# show ripng ripng yes preference 150 defaultmetric 2 (config)#
- RIPngインタフェース情報の設定
- 複数のインタフェースを持つルータで,インタフェース名:Department1,TokyoOsakaでRIPngを動作させます。
(config)# ripng [ripng] (config)# interface Department1 [ripng interface Department1] (config)# ripin [ripng interface Department1] (config)# ripout [ripng interface Department1] (config)# exit [ripng] (config)# interface TokyoOsaka [ripng interface TokyoOsaka] (config)# ripin [ripng interface TokyoOsaka] (config)# ripout [ripng interface TokyoOsaka] (config)# exit [ripng] (config)# exit (config)# show ripng ripng yes preference 150 defaultmetric 2 interface Department1 ripin ripout interface TokyoOsaka ripin ripout (config)# apply (config)#- 情報の変更
- RIPng共通情報の変更
- プレファレンス値を120に変更します。
(config)# show ripng ripng yes preference 150 defaultmetric 2 interface Department1 ripin ripout interface TokyoOsaka ripin ripout (config)# ripng [ripng] (config)# preference 120 [ripng] (config)# exit (config)# show ripng ripng yes preference 120 defaultmetric 2 interface Department1 ripin ripout interface TokyoOsaka ripin ripout (config)#
- RIPngインタフェース情報の変更
- インタフェース1でRIPngパケット送出時のメトリック加算値を1に設定します。
(config)# ripng [ripng] (config)# interface Department1 [ripng interface Department1] (config)# metricout 1 [ripng interface Department1] (config)# exit [ripng] (config)# exit (config)# show ripng ripng yes preference 120 defaultmetric 2 interface Department1 ripin ripout metricout 1 interface TokyoOsaka ripin ripout (config)# apply (config)#- 設定情報の表示
RIPng情報を表示します。
(config)# show ripng ripng yes preference 120 defaultmetric 2 interface Department1 ripin ripout metricout 1 interface TokyoOsaka ripin ripout (config)#- 設定情報の削除
preferenceおよびmetricoutサブコマンドを削除します。
RIPngインタフェース情報を削除します。
(config)# show ripng ripng yes preference 120 defaultmetric 2 interface Department1 ripin ripout metricout 1 interface TokyoOsaka ripin ripout (config)# ripng [ripng] (config)# delete preference [ripng] (config)# interface Department1 [ripng interface Department1] (config)# delete metricout [ripng interface Department1] (config)# exit [ripng] (config)# exit (config)# show ripng ripng yes defaultmetric 2 interface Department1 ripin ripout interface TokyoOsaka ripin ripout (config)# apply (config)#
RIPng情報を削除します。
(config)# show ripng ripng yes defaultmetric 2 interface Department1 ripin ripout interface TokyoOsaka ripin ripout (config)# ripng [ripng] (config)# delete interface Department1 [ripng] (config)# exit (config)# show ripng ripng yes defaultmetric 2 interface TokyoOsaka ripin ripout (config)# apply (config)#
(config)# show ripng ripng yes defaultmetric 2 interface TokyoOsaka ripin ripout (config)# delete ripng (config)# show ripng (config)# apply (config)#
[関連コマンド]
import(インポート・フィルタ情報)
export(エキスポート・フィルタ情報)
aggregate(経路集約情報)
apply(ルーティングプロトコルコンフィグレーション反映)
[注意事項]
- system config_update autoが定義されていない時に本コマンドを使用しコンフィグレーションの変更を行った場合は,applyコマンドを投入してください。
- interface(ripngモード)コマンドでインタフェース情報を設定した場合,RIPngパケットの送信対象はインタフェース情報を設定したインタフェースだけとなります。インタフェース情報を指定していないインタフェースではRIPngパケットの送信は行いませんので注意してください。なお,RIPngパケットの受信はインタフェース情報でnoripinサブコマンドを明示的に指定していない場合,受信動作を行います。
項番 インタフェース情報 RIPngパケット送信 RIPngパケット受信 − 当該インタフェース 1 設定なし − あり
(全インタフェース)あり
(全インタフェース)2 設定あり 設定あり 設定条件に従う
(当該インタフェース)設定条件に従う
(当該インタフェース)3 設定なし なし
(当該インタフェース)あり
(当該インタフェース)- interface(ripngモード)コマンドでallおよび個別のインタフェース名を共に指定し,かつ同一のサブコマンドを指定した場合,当該インタフェースに対しては個別指定の情報が優先されます。また,個別指定で同一インタフェースを重複して指定できません。
- 周期広告時間(updatetime),エージング時間(agingtime)を設定する場合は,次に示す条件内で指定してください。なお,周期広告時間は各条件(条件1,および条件2)を共に満たす必要があります。
- 【周期広告時間】
- 条件1:周期広告時間 ≧ 0.0003×隣接ルータ数×最大経路エントリ数
- 条件2:周期広告時間 ≧ ( 200×最大経路エントリ数 ) ÷ 最低回線速度
- 【エージング時間】
- エージング時間 ≧ 3×対向装置の周期広告時間
- 周期広告時間の算出例を次に示します。
- 【周期広告時間の算出例】
- 隣接ルータ数50,最低回線速度64kbit/s(8000バイト/秒),最大経路エントリ数1000時の最低周期広告時間の例を次に示します。
- 条件1:周期広告時間
- ≧ 0.0003×隣接ルータ数×最大経路エントリ数
- ≧ 0.0003×50×1000
- ≧ 15(秒)
- 条件2:周期広告時間
- ≧ ( 200×最大経路エントリ数 ) ÷ 最低回線速度
- ≧ ( 200×1000 ) ÷ 8000
- ≧ 25(秒)
- 上記条件1,2から,最低周期広告時間は,条件1,条件2を共に満たす25(秒)となります。
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