コンフィグレーションコマンドレファレンス Vol.1
本コマンドはルーティングプロトコルRIPに関する動作情報を設定します。本コマンドはIPv4専用コマンドです。
MPLSの場合,本コマンドで入力するRIP情報は,VPNごとに一つのブロックになります。入力形式でVPNについて操作対象を指定するときは,vpn <VPN ID>をインデックス・キーとして入力します。
[入力モード]
グローバルコンフィグモード
[入力形式]
- 情報の設定・変更
- rip [vpn <VPN ID>] [{ yes | no }]
- >>移行モード:rip
- 情報の削除
- delete rip [vpn <VPN ID>] [interface <IP Address>]
- 情報の表示
- show rip [vpn <VPN ID>]
[サブコマンド入力形式]
- グローバル情報の設定・変更
- broadcast
- preference <Preference>
- defaultmetric <Metric>
- needhold
- updatetime <time>
- agingtime <time>
- holdcount <count>
- inherit-metric
- targetgateways <Host Address>...
- trustedgateways <Host Address>...
- fast-reroute gen-secondary-route
- gen-secondary-route
- グローバル情報の削除
- delete broadcast
- delete preference
- delete defaultmetric
- delete needhold
- delete updatetime
- delete agingtime
- delete holdcount
- delete inherit-metric
- delete targetgateways [<Host Address>...]
- delete trustedgateways [<Host Address>...]
- delete fast-reroute gen-secondary-route
- delete gen-secondary-route
- インタフェース情報の設定・変更
- interface <Interface Address>...
- >>移行モード:rip interface
- インタフェース情報の削除
- delete interface
[モード階層]
rip └─ rip interface
[パラメータ]
- vpn <VPN ID>【OP-MPLS】
- RIPを動作させるプライベート・ネットワークのVPN識別子を指定します。
- 本パラメータ省略時の初期値
グローバル・ネットワーク(非VPN)に対し,RIP情報を設定します。
- 値の設定範囲
<VPN ID>に1〜1000000(10進数),または14文字以内の文字列を指定します。
- { yes | no }
- RIPを使用するかしないかを指定します。yesを指定した場合,interfaceサブコマンドで設定したインタフェースでRIPが動作します。interfaceサブコマンドで何も指定していない場合は,すべてのインタフェースでRIPが動作します。
- 本パラメータ省略時の初期値
yes(ただし,ripコマンドを入力しない場合の初期値はnoです)
- 値の設定範囲
yesまたはno
[サブコマンド]
- broadcast
- 動作中のインタフェースが一つの場合もRIPパケットを送信したい場合は,本サブコマンドを指定します。
- 本サブコマンド省略時の初期値
動作中のインタフェースが一つしかない場合,RIPパケットを送信しません。
- 値の設定範囲
なし
- preference <Preference>
- RIPで学習した経路情報のプレファレンス値を指定します。importコマンドで指定するプレファレンス値が本サブコマンドより優先します。
- 本サブコマンド省略時の初期値
初期値は100です。
- 値の設定範囲
<Preference>に2〜255(10進数)を指定します。2は最高の優先度,255は最低の優先度を示します。
- defaultmetric <Metric>
- 他のプロトコルで学習した経路情報をRIPで広告する場合のメトリック値を指定します。exportコマンドで設定したメトリック値が本サブコマンドより優先します。
- 本サブコマンド省略時の初期値
初期値は16です。
- 値の設定範囲
<Metric>に1〜16(10進数)を指定します。
- needhold
- ホールドダウン中に新しい経路を学習しても,ホールドダウンが完了するまで新しい経路に切り替えないことを指定します。
- 本サブコマンド省略時の初期値
ホールドダウン中に新しい経路を学習した場合,新しい経路に切り替えます。
- 値の設定範囲
なし
- updatetime <Time>
- 周期広告タイマ値を指定します。
- 本サブコマンド省略時の初期値
30秒
- 値の設定範囲
<Time>に1〜60(10進数:秒)を指定します。
- agingtime <Time>
- エージングタイマ値を指定します。
- 本サブコマンド省略時の初期値
180秒
- 値の設定範囲
<Time>に1〜360(10進数:秒)を指定します。
- holdcount <Count>
- ホールドダウン広告(メトリック16の広告)を行う回数を指定します。ホールドダウンタイマ値は,本ホールドダウン広告回数と周期広告タイマの積となります。
- 本サブコマンド省略時の初期値
4回
- 値の設定範囲
<Count>に1〜8(10進数)を指定します。
- inherit-metric
- 他のルーティングプロトコルの経路情報をRIPで広告する際,メトリック値を引き継ぐことを指定します。
- 本サブコマンド省略時の初期値
省略時はメトリックを引き継ぎません。
- 値の設定範囲
なし
- targetgateways <Host Address>...
- RIPパケットを送信する相手ゲートウェイを指定します。
- 本サブコマンド省略時の初期値
相手ゲートウェイを指定しません。
- 値の設定範囲
<Host Address>にIPv4アドレス(ドット記法,または,ホスト名称)を指定します。複数のIPv4アドレスを指定できます。また,複数行に分けて指定できます。ただし,同一のアドレスを重複して指定できません。
定義済みの行へのアドレスの追加はできません。また,1行に複数のアドレスを指定した場合,特定のアドレスだけ削除することはできません。すべてのアドレスを指定して情報を削除してください。
- targetgatewayに対するパケット送信(ブロードキャスト型インタフェース)について次に示します。
1 interface定義が一つも無し 全インタフェースに対してブロードキャストで送信,targetgatewayのあるネットワークへブロードキャストとユニキャストの両方で送信するため,targetgateway以外のゲートウェイに対しても送信する。 2 targetgatewayのネットワークと接続するinterfaceにripout,noripout指定無し 該当ネットワークへブロードキャストとユニキャストの両方で送信するため,targetgateway以外のゲートウェイに対しても送信する。 3 targetgatewayのネットワークと接続するinterfaceにripout指定あり ブロードキャストとユニキャストの両方で送信するため,targetgateway以外のゲートウェイに対しても送信する。 4 targetgatewayのネットワークと接続するinterfaceにnoripout指定あり ユニキャストで送信するためtargetgatewayに対してだけ送信する。
- trustedgateways <Host Address>...
- RIPパケットを受信する相手ゲートウェイを指定します。
- 本サブコマンド省略時の初期値
相手ゲートウェイを指定しません。
- 値の設定範囲
<Host Address>にIPv4アドレス(ドット記法,または,ホスト名称)を指定します。複数のIPv4アドレスを指定できます。また,複数行に分けて指定できます。ただし,同一のアドレスを重複して指定できません。
定義済みの行へのアドレスの追加はできません。また,1行に複数のアドレスを指定した場合,特定のアドレスだけ削除することはできません。すべてのアドレスを指定して情報を削除してください。
- trustedgatewayからのパケット受信について次に示します。
1 interface指定無し 当該ゲートウェイからのパケット受信だけ有効 2 trustedgatewayのネットワークと接続するinterfaceにripin,noripin指定無し 当該ゲートウェイからのパケット受信だけ有効 3 trustedgatewayのネットワークと接続するinterfaceにripin指定あり 当該ゲートウェイからのパケット受信だけ有効 4 trustedgatewayのネットワークと接続するinterfaceにnoripin指定あり すべてのゲートウェイからのパケット受信は無効
- fast-reroute gen-secondary-route
- 高速経路切替機能で使用する第2優先経路をルーティングテーブルに登録します。
- optionsコマンドのfast-rerouteパラメータが設定されていない場合は,第2優先経路の登録は行いません。
- 本サブコマンド省略時の初期値
第2優先経路情報をルーティングテーブルに登録しません。
- 値の設定範囲
なし
- gen-secondary-route
- 第2優先経路をルーティングテーブルに登録します。
- 本サブコマンド省略時の初期値
第2優先経路情報をルーティングテーブルに登録しません。
- 値の設定範囲
なし
- interface <Interface Address>...
- 動作情報を設定するインタフェースのIPアドレスを指定します。該当インタフェースがブロードキャスト型(イーサネット)の場合は,該当インタフェースのIPアドレスを設定します。ポイント−ポイント型の場合は,該当インタフェースに接続する相手装置のインタフェースのIPアドレスを設定します。
- 「情報の削除」で本サブコマンドを指定した場合,当該インタフェース情報に複数のIPアドレスが指定されている場合は,指定IPアドレスを削除します。また,当該インタフェース情報に一つのIPアドレスしか指定されていない場合は,当該インタフェース情報を削除します。
- 本サブコマンド省略時の初期値
なし(省略不可)
- 値の設定範囲
<Interface Address>に全インタフェースを示すallまたは個別のインタフェースを示すIPアドレス(ドット記法,インタフェース名称,または最大15文字のホスト名称)を指定します。<Interface Address>...では,複数のIPアドレスを指定できます。ただし,設定済みのIPアドレスを重複して指定しないでください。
[入力例]
- 情報の設定
- RIP共通情報の設定
- RIP共通情報(broadcast指定,プレファレンス150,デフォルトメトリック2,targetgateways,trustedgateways)を設定します。
(config)# rip yes [rip] (config)# broadcast [rip] (config)# preference 150 [rip] (config)# defaultmetric 2 [rip] (config)# targetgateways 172.16.178.100 172.16.178.101 [rip] (config)# targetgateways 172.16.179.100 172.16.179.101 [rip] (config)# trustedgateways 172.16.178.100 172.16.178.101 [rip] (config)# trustedgateways 172.16.179.100 172.16.179.101 [rip] (config)# exit (config)# show rip rip yes broadcast preference 150 defaultmetric 2 targetgateways 172.16.178.100 172.16.178.101 targetgateways 172.16.179.100 172.16.179.101 trustedgateways 172.16.178.100 172.16.178.101 trustedgateways 172.16.179.100 172.16.179.101 (config)#
- RIPインタフェース情報の設定
- 複数のインタフェースを持つルータで,インタフェース172.16.178.1,172.16.179.1だけでRIPを動作させます。
(config)# rip [rip] (config)# interface 172.16.178.1 [rip interface 172.16.178.1] (config)# ripin [rip interface 172.16.178.1] (config)# ripout [rip interface 172.16.178.1] (config)# exit [rip] (config)# interface 172.16.179.1 [rip interface 172.16.179.1] (config)# ripin [rip interface 172.16.179.1] (config)# ripout [rip interface 172.16.179.1] (config)# exit [rip] (config)# exit (config)# show rip rip yes broadcast preference 150 defaultmetric 2 interface 172.16.178.1 ripin ripout interface 172.16.179.1 ripin ripout (config)# apply (config)#- 情報の変更
- RIP共通情報の変更
- プレファレンス値を120に変更します。
(config)# show rip rip yes broadcast preference 150 defaultmetric 2 interface 172.16.178.1 ripin ripout interface 172.16.179.1 ripin ripout (config)# rip [rip] (config)# preference 120 [rip] (config)# exit (config)# show rip rip yes broadcast preference 120 defaultmetric 2 interface 172.16.178.1 ripin ripout interface 172.16.179.1 ripin ripout (config)#
- RIPインタフェース情報の変更
- インタフェース172.16.179.1でRIPパケット送出時のメトリック加算値を1に設定します。
(config)# rip [rip] (config)# interface 172.16.179.1 [rip interface 172.16.179.1] (config)# metricout 1 [rip interface 172.16.179.1] (config)# exit [rip] (config)# exit (config)# show rip rip yes broadcast preference 120 defaultmetric 2 interface 172.16.178.1 ripin ripout interface 172.16.179.1 ripin ripout metricout 1 (config)# apply (config)#- 設定情報の表示
RIP情報を表示します。
(config)# show rip rip yes broadcast preference 120 defaultmetric 2 targetgateways 172.16.178.100 172.16.178.101 targetgateways 172.16.179.100 172.16.179.101 trustedgateways 172.16.178.100 172.16.178.101 trustedgateways 172.16.179.100 172.16.179.101 interface 172.16.178.1 ripin ripout interface 172.16.179.1 ripin ripout metricout 1 (config)#- 設定情報の削除
preferenceおよびmetricoutパラメータを削除します。
RIPインタフェース情報を削除します。
(config)# show rip rip yes broadcast preference 120 defaultmetric 2 interface 172.16.178.1 ripin ripout interface 172.16.179.1 ripin ripout metricout 1 (config)# rip [rip] (config)# delete preference [rip] (config)# rip interface 172.16.179.1 [rip interface 172.16.179.1] (config)# delete metricout [rip interface 172.16.179.1] (config)# exit [rip] (config)# exit (config)# show rip rip yes broadcast defaultmetric 2 interface 172.16.178.1 ripin ripout interface 172.16.179.1 ripin ripout (config)# apply (config)#
targetgatewaysおよびtrustedgatewaysパラメータを削除します。
(config)# show rip rip yes broadcast defaultmetric 2 interface 172.16.178.1 ripin ripout interface 172.16.179.1 ripin ripout (config)# rip [rip] (config)# delete interface 172.16.179.1 [rip] (config)# exit (config)# show rip rip yes broadcast defaultmetric 2 interface 172.16.178.1 ripin ripout (config)# apply (config)#
RIP情報を削除します。
(config)# show rip rip yes broadcast defaultmetric 2 targetgateways 172.16.178.100 172.16.178.101 targetgateways 172.16.179.100 172.16.179.101 trustedgateways 172.16.178.100 172.16.178.101 trustedgateways 172.16.179.100 172.16.179.101 (config)# rip [rip] (config)# delete targetgateways 172.16.179.100 172.16.179.101 [rip] (config)# exit (config)# show rip rip yes broadcast defaultmetric 2 targetgateways 172.16.178.100 172.16.178.101 trustedgateways 172.16.178.100 172.16.178.101 trustedgateways 172.16.179.100 172.16.179.101 interface 172.16.178.1 ripin ripout (config)# rip [rip] (config)# delete trustedgateways [rip] (config)# exit (config)# show rip rip yes broadcast defaultmetric 2 targetgateways 172.16.178.100 172.16.178.101 interface 172.16.178.1 ripin ripout (config)# apply (config)#
(config)# show rip rip yes broadcast defaultmetric 2 interface 172.16.178.1 noripin noripout (config)# delete rip (config)# show rip (config)# apply (config)#
[関連コマンド]
import(インポート・フィルタ情報)
export(エキスポート・フィルタ情報)
aggregate(経路集約情報)
apply(ルーティングプロトコルコンフィグレーション反映)
[注意事項]
- system config_update autoが定義されていない時に本コマンドを使用しコンフィグレーションの変更を行った場合は,applyコマンドを投入してください。
- interface(ripモード)コマンドでインタフェース情報を設定した場合,RIPパケットの送信対象はインタフェース情報を設定したインタフェースだけとなります。インタフェース情報を指定していないインタフェースではRIPパケットの送信は行いませんので注意してください。なお,RIPパケットの受信はインタフェース情報でnoripinサブコマンドを明示的に指定していない場合,受信動作を行います。
項番 インタフェース情報 RIPパケット送信 RIPパケット受信 − 当該インタフェース 1 設定なし − あり
(全インタフェース)あり
(全インタフェース)2 設定あり 設定あり 設定条件に従う
(当該インタフェース)設定条件に従う
(当該インタフェース)3 設定なし なし
(当該インタフェース)あり
(当該インタフェース)- interface(ripモード)コマンドでallおよび個別のIPアドレスを共に指定し,かつ同一のサブコマンドを指定した場合,当該インタフェースに対しては個別指定の情報が優先されます。また,個別指定で同一インタフェースを重複して指定できません。
- 周期広告時間(updatetime),エージング時間(agingtime)を設定する場合は,次に示す条件内で指定してください。なお,周期広告時間は各条件(条件1,および条件2)を共に満たす必要があります。
- 【周期広告時間】
- 条件1:周期広告時間 ≧ 0.0003×隣接ルータ数×最大経路エントリ数
- 条件2:周期広告時間 ≧ ( 200×最大経路エントリ数 ) ÷ 最低回線速度
- 【エージング時間】
周期広告時間の算出例を次に示します。
- エージング時間 ≧ 3×対向装置の周期広告時間
- 【周期広告時間の算出例】
- 隣接ルータ数50,最低回線速度64kbit/s(8000バイト/秒),最大経路エントリ数1000時の最低周期広告時間の例を次に示します。
- 条件1:周期広告時間
- ≧ 0.0003×隣接ルータ数×最大経路エントリ数
- ≧ 0.0003×50×1000
- ≧ 15(秒)
上記条件1,2から,最低周期広告時間は,条件1,条件2を共に満たす25(秒)となります。
- 条件2:周期広告時間
- ≧ ( 200×最大経路エントリ数 ) ÷ 最低回線速度
- ≧ ( 200×1000 ) ÷ 8000
- ≧ 25(秒)
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