コンフィグレーションガイド Vol.3

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7.11.7 使用上の注意事項

  1. 障害による系切替の場合,系切替が完了しグレースフル・リスタートによる再学習を始めるよりも前に,隣接装置が切断を検出することがあります。各プロトコルの切断検出時間を,系切替所要時間よりも長くなるようにしてください。デフォルト値で運用したときのプロトコル別の切断検出までの最短時間の目安値を次に示します。
    OSPF,OSPFv3: 25秒
    BGP4,BGP4+ : 100秒
  2. 系切替所要時間はインタフェース数に依存します。系切替所要時間の目安値を次の表に示します。

    表7-11 系切替所要時間の目安値

    インタフェース数 系切替所要時間(秒)
    250 55
    1000 80
    2000 145
    3000 205
    4000 300

    注※ 同一インタフェースそれぞれにIPv4アドレスとIPv6アドレスを設定した場合。


    なお,この目安値は,DHCPサーバ,VRRP,NTP,マルチキャストルーティングプロトコルなど,ほかのレイヤ3機能が同時動作していない場合のものです。これらの機能が同時に動作する場合は,系切替所要時間が長くなることがあります。
  3. 運用コマンドによる系切替でグレースフル・リスタートを使用する場合,各プロトコルのリスタート時間を,系切替所要時間よりも長くなるように指定してください。
  4. OSPF・OSPFv3のリスタート時間を,系切替所要時間と経路学習時間の和よりも長くしてください。これは,経路情報を同期するためには,系切替を完了してIPインタフェースのUp/Down状態が確認できるようになる必要があるためです。
  5. BGP4・BGP4+のリスタート時間を,系切替所要時間とコネクション確立にかかる時間の和よりも長くしてください。これは,BGP4・BGP4+ピアのコネクションを確立するためには,系切替を完了してIPインタフェースの状態を確認できるようになる必要があるためです。さらに,BGP4,BGP4+で直接接続されていない内部ピア接続によりピアアドレス宛ての経路情報をIGPによって交換している場合,BGP4・BGP4+のリスタート時間を,OSPF・OSPFv3のリスタート時間とピアのコネクション確立にかかる時間の和よりも長くしてください。これは,BGP4・BGP4+ピアのコネクションを確立するためには,ピアアドレスを解決するIGPがグレースフル・リスタートにより経路を学習しておく必要があるためです。
  6. グレースフル・リスタート時の経路保留時間(コンフィグレーションコマンドrouting options graceful-restart time-limitの指定値)を,各プロトコルのリスタート時間よりも長く設定してください。OSPF,OSPFv3では,リスタート時間が,経路計算の実施を待つ時間の上限となります。したがって,経路保留時間がリスタート時間以下の場合,経路計算によってフォワーディングテーブルを更新するより先に,保留経路(更新されていないフォワーディングテーブル)の削除が実行されるので,通信が停止します。また,BGP4とBGP4+では,リスタート時間がBGPコネクションの再確立を待つ時間の上限となるので,再確立が最も遅い場合は,リスタート時間後にBGP4ピアからの経路学習を開始します。経路学習およびフォワーディングテーブルを更新する時間のため,BGP4とBGP4+のリスタート時間は経路保留時間より60秒程度短い値を設定してください。なお,目安の設定値は経路数および隣接するBGP4ピア数に依存します。
  7. グレースフル・リスタート中はコンフィグレーションを変更しないでください。グレースフル・リスタート中にコンフィグレーションを変更するとグレースフル・リスタートに失敗することがあります。
  8. グレースフル・リスタート中は,グレースフル・リスタートの補助機能が動作しません。
  9. グレースフル・リスタート中に隣接ルータで障害が発生した場合,グレースフル・リスタートに失敗することがあります。
  10. グレースフル・リスタート手順が成功しても,隣接装置で,本装置から学習した経路情報を保持できなかった場合,通信が停止することがあります。

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