10.1.1 OSPFの特長
OSPFは,通常一つのAS内で経路を決定するときに使用します。OSPFでは,AS内のすべての接続状態から構成するトポロジのデータベースが各ルータにあり,このデータベースに基づいて最短経路を計算します。そのため,OSPFはRIPと比較して,次に示す特長があります。
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経路情報トラフィックの削減
OSPFでは,ルータ間の接続状態が変化したときだけ,接続状態の情報を他ルータに通知します。そのため,OSPFはRIPのように定期的にすべての経路情報を通知するルーティングプロトコルと比較して,ルーティングプロトコルが占有するトラフィックが小さくなります。なお,OSPFでは30分周期で,自ルータの接続状態の情報だけを他ルータに通知します。
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ルーティングループの抑止
OSPFを使用しているすべてのルータは,同じデータから成るデータベースを保持しています。各ルータは,共通のデータに基づいて経路を選択します。したがって,RIPのようなルーティングループ(中継経路の循環)は発生しません。
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コストに基づく経路選択
OSPFでは,宛先に到達できる経路が複数存在する場合,宛先までの経路上のコストの合計が最も小さい経路を選択します。これによって,RIPと異なり経路へのコストを柔軟に設定できるため,中継段数に関係なく望ましい経路を選択できます。
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大規模なネットワークの運用
OSPFでは,コストの合計が16777214以内の経路を扱えます。そのため,メトリックが1〜15の範囲であるRIPと比較して,より大規模で経由ルータ数の多い経路が存在するネットワークの運用に適しています。
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可変長サブネット
OSPFは,経路情報にサブネットマスクを含むため,RIP-1とは異なり,サブネット分割してあるネットワークを宛先として取り扱えます。